紙の繊維

紙は日本工業規格(JIS)にて「植物繊維、その他の繊維を膠着させて製造したもの」と定義されている。
水中で溶かした繊維を密着させ、平らにこし、脱水・乾燥をさせたものが紙の成り立ちになる。

植物繊維と紙

紙の原料として植物繊維(セルロース繊維)は優れている。
古くから紙作りに活用され、現在も幅広い用途に使用されている。

繊維が絡みやすく、紙の強度を高める

植物繊維の主成分である セルロース は長く細い繊維状の構造を持ち、水とともに絡み合いやすい性質がある。
これにより、紙を作る際に接着剤を使わなくても、繊維同士が絡み合って強度のあるシート状になる。

加工しやすく、均一な紙を作れる

植物繊維は化学処理や機械処理によって柔軟になり、形を変えやすくなる。
そのため厚さや質感を調整しやすく、滑らかで均一な紙を作ることができる。

吸水性と乾燥性に優れている

植物繊維は水を吸収しやすく、乾燥すると繊維同士が強く結合する特性があるため、この性質を利用して抄紙を行うことで、しっかりとした紙を作ることができる。

軽くて丈夫な紙を作れる

植物繊維は比重が小さいため、軽い紙が作れる。
同時に繊維の長さや密度を調整することで、強度のある紙も作ることができる。

再生可能で環境に優しい

木材や草本植物(竹、麻、バガスなど)から得られる植物繊維は、再生可能資源でありリサイクルが可能。
環境負荷が比較的少ない素材。

木材繊維の分類

木材繊維(セルロース繊維)は針葉樹と広葉樹に分類され、それぞれ特徴があります。

針葉樹

例:マツ、スギ、モミなど

  • 繊維の特徴
  • 長い繊維で紙に強度を与える
  • しなやかで絡みやすいため、丈夫な紙に適する
  • パルプの歩留まりがよく、繊維の収率高い

広葉樹

例:ユーカリ、シラカバ、カエデなど

  • 繊維の特徴
  • 短い繊維で紙のなめらかさが向上
  • インクの発色がよく、表面が均一に仕上がる
  • 繊維の絡みが弱いため、強度は針葉樹より低い

混合パルプ

針葉樹と広葉樹のパルプを混ぜることで、強度と滑らかさのバランスをとる

紙の種類

紙は原料や製造方法によってさまざまに分類される。

原料による分類

  • 木材パルプ紙:一般的なコピー用紙、新聞紙、雑誌用紙など
  • 非木材紙:竹紙、バガス紙(サトウキビ)、和紙(楮、三椏)など
  • リサイクル紙:古紙を利用した再生紙

用途による分類

  • 印刷・筆記用紙
  • 包装紙
  • 特殊紙

製造方法による分類

  • 機械抄き紙:工場で大量生産される一般的な紙
  • 手すき紙:和紙など手作業で作られる紙

紙の繊維 まとめ

紙の種類は用途や原料によって異なり、木材の繊維も性質に応じて使い分けられている。
用途に合わせた紙の選び方が求められる。

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