抄紙とは?
抄紙とは、紙を製造する工程の一部であり、パルプ懸濁液から水分を取り除き、繊維を絡み合わせてシート状にすることです。製紙工程全体の初期段階を指し、良質な紙を製造するための基盤となる非常に重要なプロセスです。単に「紙を漉く(すく)」工程と表現されることもありますが、現代の製紙においては、機械による高速かつ連続的な生産が主流となっています。
抄紙の読み方は?
抄紙の読み方は「しょうし」です。「抄」の字は、訓読みで「すく」とも読みますが、この場合は音読みで「しょう」と読みます。
抄紙を英語でいうと?
抄紙は英語で "papermaking" と表現されます。これは、紙の製造全般を指す言葉です。より具体的に抄紙工程、つまり「パルプ懸濁液から水分を除去し、シート状にする」工程を指す場合は、"sheet formation" と表現することもあります。また、"paper machine operation" (抄紙機の操作)という表現も、文脈によっては抄紙工程を指すことがあります。
抄紙など紙ができるまでを解説
抄紙工程とは?具体的な流れを解説
抄紙工程は、大きく分けて以下の4つの段階で構成されます。それぞれの段階で、紙の品質を左右する重要な要素が制御されています。
- ヘッドボックス:
- パルプ懸濁液(紙料)を均一な流れでワイヤーパートへ送り出す役割を担います。
- ヘッドボックス内の圧力や流速を調整することで、紙の地合い(繊維の分布)や厚さを均一に保ちます。
- 近年のヘッドボックスは、コンピュータ制御によって高度な調整が可能になっています。
- ワイヤーパート(抄紙網):
- 紙料をワイヤー(網)の上に流し、重力や吸引力によって水分を濾(こ)し、湿った紙の層(湿紙)を形成します。
- パルプ懸濁液をワイヤー上に供給し、初期の脱水を行います。ここで紙の厚みや均一性が決まります。
- プレスパート:
- 湿紙をフェルトで挟み、ローラーで圧力をかけてさらに脱水します。
- この工程で、紙の強度や表面の滑らかさが向上します。
- プレスパートでは、湿紙を破壊することなく、効率的に脱水することが求められます。
- ドライヤーパート:
- 湿紙を加熱されたシリンダー(ドライヤーシリンダー)に通し、蒸気で乾燥させます。
- 乾燥によって、紙の水分は数%まで減少します。
- ドライヤーパートでは、紙の伸縮やカールを防ぎながら、均一に乾燥させることが重要です。
抄紙機 仕組みをわかりやすく解説
抄紙機は、上記の抄紙工程を連続的に行うための巨大な機械です。主な構成要素は以下の通りです。それぞれの要素が連携し、高品質な紙を効率的に生産しています。
- ヘッドボックス:紙料を均一に供給する。紙料の濃度、流速、噴出角度などを精密に制御します。
- ワイヤーパート(抄紙網):紙料から水分を濾し、湿紙を形成する。ワイヤーの速度や、脱水装置の配置・動作などが、紙の品質に影響を与えます。
- プレスパート:湿紙を圧搾し、脱水する。プレスロールの圧力やフェルトの種類などが、紙の強度や表面性に影響を与えます。
- ドライヤーパート:湿紙を加熱乾燥させる。ドライヤーシリンダーの温度や数、配置などが、紙の乾燥度合いや寸法安定性に影響を与えます。
- カレンダーパート:紙の表面を平滑にし、光沢を出す。ロールの材質や圧力、温度などが、紙の表面特性に影響を与えます。
- リールパート:完成した紙を巻き取る。巻き取り速度や張力などが、製品の品質に影響を与えます。
抄紙網とは
抄紙網の種類
- 長網抄紙機: 長い平らな金網の上にパルプ懸濁液を流し、水分を網の目から下へ落とします。振動を加えて繊維を均一に整えます
- 円網抄紙機: 円筒形の網を回転させてパルプ懸濁液を広げ、水圧差で繊維層を形成します。厚みのある紙を作るのに適しています
抄紙網は、紙の厚みや均一性、強度などに直接影響を与えるため、非常に重要な役割を果たします。
抄紙機を製造しているメーカーは?
日本の主要な抄紙機メーカーとしては、以下の企業が挙げられます。これらの企業は、長年にわたる技術開発と実績を持ち、国内外の製紙業界に貢献しています。
- IHI:重工業メーカーとして、抄紙機を含む産業機械の製造・販売を行っています。省エネルギー性や環境負荷低減に配慮した抄紙機の開発に力を入れています。
- 小林製作所: 紙・パルプ製造機械、環境関連機器などを手掛ける産業機械メーカーです。独自の技術とノウハウを活かし、顧客のニーズに合わせたカスタマイズされた抄紙機を提供しています。
抄紙と製紙の違いとは?
「抄紙」と「製紙」は、どちらも紙を作ることを意味しますが、厳密には指す範囲が異なります。
- 製紙:パルプ製造から抄紙、仕上げ加工まで、紙を製造する全工程を指します。つまり、原料の木材チップや古紙からパルプを作り、それを抄紙機でシート状にし、さらに塗工やカレンダー加工などの仕上げ工程を経て、最終的な製品となるまでの一連のプロセス全体を指します。
- 抄紙:製紙工程の一部であり、パルプ懸濁液から水分を除去し、シート状にする工程を指します。具体的には、ヘッドボックスからリールパートまでの、抄紙機で行われる工程を指します。
つまり、抄紙は製紙の中に含まれる、より限定的な工程を指す言葉です。製紙はより広義な言葉であり、抄紙はその一部であると理解すると良いでしょう。
抄紙とは?まとめ
抄紙は、紙の製造において、パルプ懸濁液から水分を除去し、繊維を絡み合わせてシート状にする重要な工程です。抄紙機は、ヘッドボックス、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパートなどの各部分が連携し、高速かつ連続的に紙を製造します。抄紙技術の進歩は、高品質な紙の安定供給を支え、私たちの生活や文化に大きく貢献しています。近年の抄紙技術は、省エネルギー化、環境負荷低減、高速化、高品質化が進み、多様なニーズに対応できるようになっています。
参考リンク
関連資料はこちら
デジタル時代だからこそ響く
アナログ表現物の魅力とは?
紙など実際に手に取れる媒体に印刷した、いわゆるアナログな印刷物。
紙の質感やギミックなど視覚以外でも訴求できたり、長期保存性が高いなどのメリットがあります。
関連記事はこちら
デジタル時代だからこそ響く印刷物の魅力とは?
デジタル技術が日常生活のあらゆる側面に浸透していますが、その中でアナログ表現物の独自の魅力も忘れてはいけません。
デジタル時代だからこそ響くアナログ表現物の魅力について探求し、その価値を再発見します。
紙のトータルソリューション(SHIFT ON paper)について
SHIFT ON paperとは
媒体としての紙の提供から、製品のコーディネートや環境対応対策まで、紙にまつわるあらゆる課題を解決します。