抄繊糸は、その名の通り、「紙を抄(す)いて作る繊維」を意味します。具体的には、和紙やクラフトパルプなどの紙を細く裁断し、それを撚り(より)合わせて糸にしたものです。紙から作られた糸と聞くと、弱くて水に溶けてしまうイメージがあるかもしれませんが、抄繊糸は従来の紙の概念を覆すほどの強度と機能性を持ち合わせています。
その起源は古く、奈良時代には紙衣(かみこ)として存在し、当時の公家の衣料や武士の陣羽織などに用いられていました。特に、和紙の原料となる楮(こうぞ)や三椏(みつまた)は、繊維が長く強靭であるため、糸にしても高い耐久性を持つことが知られていました。この伝統的な知恵と技術が、現代の抄繊糸へと受け継がれているのです。
抄繊糸は、「しょうせんし」と読みます。「抄」は「紙を抄く」という意味を持つ漢字であり、「繊」は「細かい、ほそい」という意味の「繊細」にも使われるように、「繊維」を表します。
その歴史は深く、一説には平安時代の『延喜式(えんぎしき)』という書物にも「紙衣」という記述が見られ、紙で作られた衣服が既に存在していたことがわかっています。江戸時代には、和紙の技術が発展し、紙糸を用いた衣服や生活用品が庶民の間でも広まりました。特に、軽くて通気性に優れた紙糸の特性は、高温多湿な日本の気候に適しており、重宝されていました。
現代では、これらの伝統技術に加えて、最新の紡績技術や加工技術が加わることで、より快適で機能的な抄繊糸が開発されています。例えば、特定の加工を施すことで、初期の硬さを軽減し、肌触りをより柔らかくする工夫がなされています。
抄繊糸の製造原理は、一般的な綿やポリエステルなどの繊維とは大きく異なります。綿が綿花から繊維を取り出し、それを紡いで糸にするのに対し、抄繊糸は「紙を抄く」という工程が非常に重要になります。
この独自の製法によって、抄繊糸は綿糸に比べて約1.5倍の強度を持つことが、ある実験データで示されています。さらに、紙の持つ天然の多孔質構造が、優れた吸湿・速乾性や軽量性、そして特有のシャリ感を生み出しています。
抄繊糸は、単なる紙の糸というだけでなく、その優れた機能性から多くの魅力を持っています。特に、和紙服という形で衣料品に利用されることで、その真価が発揮されます。以下に、抄繊糸の主な特徴を挙げます。
抄繊糸は多くのメリットを持つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。これらの特性を理解し、適切なケアを行うことで、長く愛用することができます。
抄繊糸の衣料品を長持ちさせるためには、正しい洗濯とケアが不可欠です。
これらの方法で適切にケアすれば、抄繊糸の特性を損なうことなく、長くその快適さを楽しむことができます。
OJO⁺は、抄繊糸のDNAを受け継ぎながら、独自の特許技術でその魅力を現代に蘇らせています。再生可能な木材パルプを主原料とし、独自の製法で加工することで、紙本来の清涼感や軽やかさを保ちつつ、従来の抄繊糸では難しかった高い強度と耐久性を実現。洗っても破れにくい、画期的な繊維へと進化しました。
肌にさらりと心地よい独特の風合いと、地球に優しいサステナブルな素材であることも大きな特徴です。ファッションやインテリア、生活雑貨など、幅広い分野でその可能性が花開いており、私たちの暮らしに自然と調和した新しい価値と快適さをもたらします。
抄繊糸は、和紙という日本の伝統的な素材から生まれた、次世代の機能性繊維です。その読み方は「しょうせんし」。軽量で吸湿速乾性に優れ、消臭効果も期待できるという、現代のライフスタイルにぴったりの特徴を持っています。価格や初期の硬さといったデメリットも存在しますが、それらを上回る快適性と、サステナブルな素材としての価値は非常に高いと言えます。
今後、和紙服やその他の製品で抄繊糸を目にする機会は増えていくでしょう。このユニークな素材の魅力を理解し、ぜひあなたの生活にも取り入れてみてください。
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