プラスチック汚染とは、廃棄物となったプラスチックによって引き起こされる環境汚染のこと。
原因となるのは不法に廃棄されたプラスチックや、紫外線や波の影響で細かい破片となったいわゆるマイクロプラスチックと呼ばれるもの。
これらが堆積することによって土壌や海洋環境の悪化や景観への悪影響のほか、生態系の危機を引き起こす。
プラスチック汚染の原因の一つとして挙げられるのが、世界的なプラスチック製品の大量生産と消費である。
ワンウェイプラスチック(使い捨てプラスチック)製品の増加により、リサイクルや廃棄が追い付かない場合がある。
これにより適切に処理されなかった廃棄物が自然環境に放置されてしまい、特に廃棄物処理のインフラが未整備な発展途上国では、廃棄物が河川や海岸に流れこむ事例が多発している。※1
海洋におけるプラスチック汚染は深刻な問題であり、プラスチック製品が長期間分解されずに自然環境下に残るため、海洋生物にとって大きな危険をもたらす。
また、5ミリ以下の微小なサイズとなったマイクロプラスチックは、鳥や魚の体内に蓄積され最終的に人体までたどり着く。
プラスチックには有害物質が付着しやすく、蓄積することで健康への被害があると懸念されている。※2
プラスチックは地球規模での気候変動にも影響を与えている。プラスチックの生産と廃棄には大量のエネルギーが必要であり、これが二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を増加させている。
世界での廃プラスチックのうち14~18%がリサイクル、24%が焼却、残りは不法に投棄または焼却されている。※3
日本では2023年のプラスチック単純焼却は8%だが、サーマルリサイクル利用が64%と焼却を伴うリサイクル方法も多くの割合を占めている。※4
このような状況を改善するためには政府・企業・消費者それぞれの立場での取り組みが必要となる。
政府は法規制の強化や廃棄物処理インフラの整備を進め、企業は製品設計の段階からリサイクルしやすい素材や代替え素材を使用し、使い捨てプラスチックの削減に努める必要がある。
また、消費者は日常生活でのプラスチック使用を見直し、リサイクルや再利用を積極的に行うことが求められる。
現在、国際的な取り組みとしても、プラスチック廃棄物の削減に向けた条約や合意が進められている。
★国際プラスチック条約
2024年にかけて、海洋プラスチック汚染を始めとするプラスチック汚染対策に関する法的拘束力のある国際文書(条約)について議論するための政府間交渉委員会(INC)が行われている。※5
これらの取り組みが効果を上げるためには、各国が協力して実効性のある対策を講じることが不可欠である。
関連項目:国際プラスチック条約とは?
※1 独立行政法人国際協力機構 「海洋プラスチック問題に対するJICAの取り組み」(2025/1/9)
https://www.jica.go.jp/activities/issues/env_manage/pamphlet/__icsFiles/afieldfile/2023/10/02/marine_plactic.pdf
※2 環境省 「令和2年版環境・循環型社会・生物多様性白書」(2025/1/9)
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r02/html/hj20010103.html
※3 環境省 「プラスチックを取り巻く国内外の状況<第3回資料>」P17(2025/1/9)
https://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-03/y031203-s1r.pdf
※4 一般社団法人プラスチック循環利用協会 「2023年プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」(2025/1/9)
https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf2.pdf
※5 環境省 「海洋プラスチック汚染を始めとするプラスチック汚染対策に関する条約」(2025/1/9)
https://www.env.go.jp/water/inc.html
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