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2027年以降、日本企業のサステナビリティ情報開示が本格的に義務化されます。
その基準となるのが「SSBJ基準」です。
直接の適用対象は、まず時価総額の大きいプライム上場企業からです。
しかし「うちは対象外だから関係ない」とは言い切れません。
開示にはサプライチェーン全体の環境情報が含まれるため、取引先を通じて、企業規模を問わず自社の環境情報の把握と提供が求められるようになるからです。
本記事では、包装資材商社・メーカー、パッケージメーカーの担当者に向けて、SSBJ基準の概要と適用スケジュール、自社や取引先への影響、そして今から進めておきたい環境対応までを解説します。
そもそも、なぜいまサステナビリティ情報の開示が求められているのでしょうか。
背景には、国際的な潮流と、それを受けた日本国内の制度化という2つの流れがあります。
ESG投資の広がりによって、投資家は財務情報だけでなく、環境や社会への取り組みといった非財務情報も投資判断に用いるようになりました。
ところが、企業がサステナビリティ情報を開示する際の基準は統一されておらず、投資家にとって企業間で比較しにくいという問題を抱えていました。
そこでIFRS財団は、国際的な統一基準をつくるためISSB(国際サステナビリティ基準審議会)を設立し、IFRS S1号(全般的要求事項)とIFRS S2号(気候関連開示)を公表しました。
世界共通のものさしができたことが、日本国内の制度化につながっています。
日本では2022年7月にサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が設立され、2025年3月に日本初のサステナビリティ開示基準が確定・公表されました。
さらに2026年2月には「企業内容等の開示に関する内閣府令」等が改正・公布され、有価証券報告書におけるサステナビリティ情報の開示が制度として確定しています。
任意の取り組みから、法令に基づく義務へと位置づけが変わったことになります。
ここからは、本記事の中心となるSSBJ基準そのものを見ていきます。誰が何のために定めた基準なのか、どのような構成なのか、国際基準とどう関係するのかを順に整理します。
SSBJ基準とは、日本企業がサステナビリティに関する情報をどのように開示すべきかを定めた国内基準です。
策定したのは、2022年7月に設立されたサステナビリティ基準委員会(SSBJ)で、2025年3月5日に日本初のサステナビリティ開示基準として公表されました。
開示の骨格は、TCFD提言と同じく「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」という4つの柱で構成されます。
従来の任意開示基準と大きく異なるのは、法令に基づく義務を伴う基準である点です。
SSBJ基準は、次の3つの基準から成り立っています。
| 基準 | 位置づけ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 適用基準(ユニバーサル基準) | 全体の土台 | 基準全体をどう適用するかルールを定める |
| 一般基準(一般開示基準) | 横断的な開示 | サステナビリティ関連のリスク・機会全般の開示事項を定める |
| 気候基準(気候関連開示基準) | 気候分野の開示 | 温室効果ガス排出量など気候関連の開示事項を定める |
包装資材・パッケージ業界の担当者にとって特に関係が深いのは、温室効果ガス排出量の開示を求める気候基準です。
後述するとおり、この基準が取引先を通じた影響の起点になります。
SSBJ基準は、ISSBが公表したIFRS S1号・S2号をもとに開発されています。国際的な比較可能性を確保しつつ、日本の制度環境に合わせた調整が加えられている点が特徴です。
ISSB基準をそのまま適用するのではなく、取り入れる項目と取り入れない項目があります。海外に取引先を持つ企業にとっては、国際基準との整合が取れていることが実務上の利点になります。
読者の関心が最も高いのは「いつから、誰が対象になるのか」という点でしょう。
結論から言えば、2027年3月期から段階的に義務化され、直接の対象でない企業にも取引を通じて影響が及びます。
適用は、プライム上場企業の時価総額に応じて段階的に始まります。
| 適用時期 | 対象企業 |
|---|---|
| 2027年3月期 | 平均時価総額3兆円以上のプライム上場企業 |
| 2028年3月期 | 平均時価総額1兆円以上3兆円未満 |
| 2029年3月期 | 平均時価総額5,000億円以上1兆円未満 |
| 未定 | 5,000億円未満は継続検討 |
また、開示基準の適用が始まった翌年からは、開示内容について第三者による保証も義務化される流れとなっています。
開示する情報には、監査に耐えうる正確性が求められるということです。
義務化の対象はプライム上場の大企業ですが、中堅・中小企業や非上場企業にも影響は及びます。
理由は、気候基準が温室効果ガス排出量の開示を求めている点にあります。
排出量のうちScope3(サプライチェーン全体の間接排出)には、サプライヤーからの調達に伴う排出が含まれます。
つまり、取引先である大企業が自社のScope3を算定・開示するために、包装資材の供給者に対して環境情報の提供を求めるという流れが生まれるのです。
企業規模を問わず、環境情報の把握が必要になるのはこのためです。
では、SSBJ基準は包装資材・パッケージ業界に具体的にどのような影響をもたらすのでしょうか。
日々の取引の場面に引き寄せて整理します。
大手企業と取引がある包装資材商社・メーカーでは、取引先が有価証券報告書でScope3を開示するために、調達している包装資材のデータ提供を求められる可能性があります。
具体的には、原材料の構成、製造・輸送に伴うCO2排出量、リサイクル素材の使用率といった情報です。
こうした求めに回答できないことは、取引上の不利につながりかねません。
裏を返せば、必要な情報を整備できている企業は「選ばれる理由」を持つことになります。
環境情報の整備は、守りだけでなく攻めの材料にもなるということです。
とはいえ、何をどこまで整理すればよいのか判断に迷うところです。まずは取引先から求められやすい項目から着手するのが現実的です。
最初から完璧を目指す必要はありません。
主要製品から順に、優先度の高い項目を整備していく進め方が現実的です。
情報開示への備えは、情報を整理するだけでは足りません。
開示できる中身そのものをつくること、つまり環境負荷を実際に下げる取り組みが伴って初めて意味を持ちます。
包装資材で実践できる環境対応は、大きく3つのテーマに整理できます。
包装資材を取り扱う企業が環境負荷低減に対応する際は、「廃棄物発生量の削減」「再生素材の使用を増やす」「再資源化」という3つの視点で考えると整理しやすくなります。
過剰包装の見直しや資材の軽量化・減量によって、そもそも廃棄物を発生させないという考え方です。
日本の包装資材の廃棄量は年間390万トン、1人あたりでは31.4kgにのぼり、世界でもワースト2位の水準とされています。削減の余地は決して小さくありません。
石油由来の素材から、紙やバイオマス素材、再生素材へと切り替える取り組みです。
プラスチックパッケージの原料である石油は、2020年時点で可採年数が約54年とされています。
有限な資源に依存し続けるリスクを考えれば、素材転換には合理性があります。
使用済みの資材を回収し、再び資源として活用する取り組みです。
国内の最終処分場の残余年数は23.5年と限られており、埋め立てに頼り続けることはできません。
廃棄せずに循環させる仕組みづくりが求められています。
具体的な打ち手として現実的なのが、環境に配慮したパッケージ素材への切り替えです。
紙化、環境対応樹脂、生分解性素材など、包装としての機能を保ちながら環境負荷を下げられる素材の選択肢は着実に広がっています。
素材を切り替えることは、そのまま「開示できる環境情報を持つこと」でもあります。
SSBJ基準への備えと、取引先に対する差別化を同時に実現できる点で、優先度の高い施策だといえます。
SSBJ基準は2027年3月期から段階的に義務化され、直接の対象でない企業にも取引先を通じて環境情報の提供が求められます。
企業規模にかかわらず、自社製品・原材料の環境情報を把握しておくことが、これからの取引の前提になっていくということです。
国際紙パルプ商事(KPP)では、環境対応素材の選定から調達、リサイクル・再資源化の仕組みづくりまで一貫してご支援しています。
素材の切り替えだけでなく、開示に必要な環境情報をどこから整理すべきかというご相談にも対応可能です。
何から着手すべきか迷われている場合は、まずは主要製品の素材構成の棚卸しからご一緒します。お気軽にご相談ください。
フォームが表示されるまでしばらくお待ち下さい。
恐れ入りますが、しばらくお待ちいただいてもフォームが表示されない場合は、こちらまでお問い合わせください。
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