グリーン投資とは、環境問題の改善に貢献する事業や企業を対象とした投資のことです。
例えば、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの利用、工場やビルの省エネルギー化、持続可能な水管理、電気自動車 (EV) や燃料電池車 (FCV) などの低炭素交通システムの構築など、地球環境の保全に貢献する様々なプロジェクトや企業が投資対象となります。
グリーン投資は、従来の投資とは異なり、経済的リターンに加えて、社会全体への貢献も期待できる点が特徴です。
企業は、グリーン投資を通じて環境負荷を低減し、持続可能な社会の実現に貢献することで、企業価値を高めることができます。
また、投資家も、社会貢献と収益拡大の両方の恩恵を受けることができます。
グリーン投資は、その対象範囲が広く、多岐にわたる投資手法が存在します。
主な投資対象としては、以下のようなものがあります。
●再生可能エネルギー:
太陽光発電、風力発電、地熱発電、水力発電など、再生可能エネルギーの導入・開発を行う企業やプロジェクトへの投資
●省エネルギー:
エネルギー効率の高い製品・サービスを提供する企業や、工場やビルなどの省エネルギー化に取り組む企業への投資
●持続可能な交通:
電気自動車 (EV) や燃料電池車 (FCV) などの開発・普及、公共交通機関の整備など、環境負荷の低い交通システムの構築に貢献する企業やプロジェクトへの投資
●環境保護:
森林保全、水質浄化、廃棄物処理など、環境保護に貢献する企業やプロジェクトへの投資
●グリーンボンド:
企業や地方自治体が、環境改善効果のある事業に要する資金を調達するために発行する債券への投資
グリーン投資は、投資家だけでなく、企業や社会全体にとっても多くのメリットをもたらします。
一方で、いくつかのデメリットも存在します。
メリット
●社会貢献:環境問題の解決に貢献することで、持続可能な社会の実現に寄与できる
●収益拡大:環境問題への関心の高まりから、グリーン投資は長期的な成長が見込める
●企業価値向上:環境への取り組みを強化することで、企業イメージやブランド力の向上につながる
●リスク低減:環境規制の強化や気候変動による事業リスクを低減できる
デメリット
●情報不足:グリーン投資に関する情報はまだ十分に整備されていない
●グリーンウォッシュ:表面上は環境配慮をうたっているものの、実際には環境負荷が高い事業や企業への投資リスク
●投資リスク:新技術や未成熟な市場への投資は、リスクが高い場合がある
日本では、2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、グリーン投資のさらなる普及を促進する方針を打ち出しました。
政府は、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、再生可能エネルギーの導入拡大や水素社会の実現、グリーンモビリティの普及など、14の重点分野を特定しました。
資源循環関連産業として、バイオマス素材の高機能化や用途の拡大・低コスト化に向けた技術開発・実証を推進などが挙げられています。
2030年までにバイオプラスチックを約200万トン導入を目標としています。
また、2兆円の「グリーンイノベーション基金」を創設し、企業の研究開発や設備投資を支援しています。
さらに、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、内外の環境投資資金を呼び込むため、金融市場の枠組みをつくり、脱炭素に向けた社債などの取引が活発に行われる「グリーン国際金融センター」を日本に実現することを目指しています。
しかし、日本のグリーン投資市場は、欧米諸国に比べて規模が小さく、課題も多く残されています。
GDPでは世界3位であるにもかかわらず、グリーン投資額では世界で11位と、経済規模に比して非常に少ない状況です。
情報開示の不足やグリーンウォッシュへの懸念、投資家側の理解不足などが、グリーン投資の普及を阻害する要因となっています。
グリーン投資を促進するため、政府や民間では様々な制度や取り組みが行われています。
●グリーン投資スキーム(GIS):
京都議定書第17条に基づく排出量取引の仕組みです。
各国に割り当てられた温室効果ガスの排出量(AAU)の取引によって得た利益を、排出削減など環境問題対策に限って使用するというものです。
日本でも、京都議定書の目標達成計画に対し、GISを活用し、ウクライナやチェコで2009年3月にそれぞれ3000万トンと4000万トンの購入契約を結びました。
その後、ラトビア、ポーランドなどの国と排出権購入契約を締結しました。
●グリーンボンド:
国内外のグリーンプロジェクトに要する資金を調達するために発行する債券。
低い金利で調達できる債券であり、使用用途は再生可能エネルギーの導入や省エネルギー化などのプロジェクトに限定されます。
●グリーンローン:
環境に配慮した事業を行う企業に対して、金融機関が融資する際に適用される特別な金利や条件を設定したローン。
グリーンローンとグリーンボンドとの違いは、資金調達の方法です。
グリーンローンは金融機関によるグリーンプロジェクト実施企業、自治体への融資です。
対して、グリーンボンドは、ICMA(国際資本市場協会)発行のグリーンボンド原則にしたがって、グリーンプロジェクトを実施する企業が債券を発行し、資金を集めます。
●グリーンイノベーション基金:
2050年カーボンニュートラル実現のため、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に2兆円の基金が設立されました。
この基金は、意欲的な目標を掲げる企業などを対象とし、研究開発から社会実装までを10年間継続的に支援します。
パリ協定の目標達成には、脱炭素社会の実現に向けて、再エネ等の既に脱炭素の水準(グリーン)にある事業への取組に加えて、温室効果ガス(GHG)多排出産業を中心に省エネ・燃料転換等を含む着実な脱炭素化に向けた移行(トランジション)への取組に対するファイナンスが重要となります。
産業分野としては、鉄鋼・化学・電力・ガス・石油・紙パルプ・セメント・自動車の分野でトランジションファイナンスがあります。
トランジションファイナンスは、グリーン投資と同様に、環境問題の解決に貢献しながら経済成長を促すための重要な役割を担っています。
グリーン投資と似た概念に「ESG投資」があります。
ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの要素を考慮した投資のことです。
グリーン投資は、ESG投資の中の「環境」要素に特化した投資といえます。
投資の種類 | 視点 | 対象 |
グリーン投資 | 環境問題の解決 | 再生可能エネルギー、省エネルギー、環境保護など |
ESG投資 | 環境、社会、ガバナンス | 環境問題に加え、人権、労働問題、企業統治なども考慮 |
世界的に気候変動問題への関心が高まる中、グリーン投資は今後ますます重要性を増していくと予想されます。
パリ協定の目標達成やSDGsの達成に向けて、世界各国でグリーン投資が促進されており、日本も積極的に取り組む必要があります。
情報開示の充実やグリーンウォッシュ対策、投資家への啓蒙活動などを通じて、グリーン投資市場の健全な発展を促していくことが重要です。
グリーン投資とは、環境問題の解決に貢献する事業や企業を対象とした投資です。
再生可能エネルギーや省エネルギー、環境保護など、様々な分野が投資対象となります。
グリーン投資は、経済的リターンに加えて、社会貢献や企業価値向上などのメリットも期待できます。
日本では、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、グリーン投資の重要性が高まっています。
グリーン投資を行う際には、グリーンウォッシュや情報不足などのリスクに注意する必要があります。
グリーン投資とは、環境問題の解決に貢献しながら、経済成長も実現できる投資手法です。
日本においても、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、グリーン投資の重要性が高まっています。
政府の政策や企業の取り組み、そして投資家一人ひとりの意識改革が、グリーン投資市場の成長を加速させ、持続可能な社会の実現に貢献していくと考えられます。
参考:経済産業省
事務局説明資料(グリーン社会の実現)
2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略
トランジション・ファイナンス
参考:IDEAS FOR GOOD
グリーン投資(GIS)とは・意味
参考:三菱UFJリサーチ&コンサルティング
グリーン投資
参考:三菱総合研究所
世界と日本のESG投資動向
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