印刷物を作成する際、紙選びは仕上がりの品質を大きく左右する重要な要素です。数ある印刷用紙の中でも、「微塗工紙(びとこうし)」は、そのバランスの良さから様々な用途で活用されています。
微塗工紙とは、その名の通り、紙の表面に塗工材(コーティング剤)を「わずかに」塗布した紙のことを指します。全く塗工されていない「非塗工紙(上質紙など)」と、比較的多くの塗工材が塗布されている「コート紙(アート紙・コート紙)」の中間に位置づけられる紙です。
塗工量が少ないため、コート紙ほどの強い光沢はありませんが、非塗工紙に比べて表面が平滑で、インキの発色が良く、印刷再現性に優れています。また、非塗工紙に近い筆記適性も持ち合わせている場合があり、用途の幅が広いのが特徴です。具体的には、両面に塗布される塗工量は合計で1平方メートルあたり約12g程度が一般的です。これはコート紙(約20g/m²)やアート紙(約40g/m²)と比較すると少ない量です。この塗工量の違いが、それぞれの紙の特性を生み出しています。
まず、基本的な読み方を確認しましょう。
と読みます。印刷業界や製紙業界では日常的に使われる言葉ですが、一般的にはあまり馴染みがないかもしれません。この機会にぜひ覚えておきましょう。「塗工」とは、紙の表面に顔料や接着剤などを混ぜ合わせた塗料を塗る加工のことです。
紙は大きく「塗工紙」と「非塗工紙」に分類されます。この違いは、表面に塗工材が塗布されているかどうかにあります。
このように、塗工の有無によって、見た目の質感、印刷適性、筆記性などが大きく異なります。微塗工紙は、この両者の「良いところどり」を目指した紙と言えるかもしれません。
微塗工紙とコート紙は、どちらも「塗工紙」のカテゴリーに含まれますが、主な違いは塗工量の差にあります。
簡単に言えば、印刷品質(特に色の鮮やかさや光沢)を最優先するならコート紙、コストを抑えつつも一定の印刷品質を保ちたい、あるいは落ち着いた雰囲気にしたい場合は微塗工紙、という選択が考えられます。
微塗工紙は、その特性から幅広い印刷物に使用されています。ここでは、具体的な用途や、選ぶ際のポイントとなる斤量、代表的な銘柄について解説します。
微塗工紙のバランスの良さは、多くの印刷物で重宝されています。主な用途としては以下のようなものが挙げられます。
これらの用途に共通するのは、「コスト」「印刷品質」「可読性」のバランスを取りたいというニーズです。微塗工紙は、まさにそのニーズに応えることができる紙種と言えるでしょう。
紙を選ぶ際には、「斤量(きんりょう)」も重要な要素です。斤量とは、簡単に言うと紙の厚さや重さの目安となる数値です。
日本では、一定の寸法(主に四六判:788mm×1091mm、または菊判:636mm×939mm)の紙を1,000枚重ねた時の重さ(kg)で表されます。同じ種類の紙であれば、斤量が大きいほど厚く、重くなります。
微塗工紙の斤量は、銘柄によって様々ですが、一般的には以下のような範囲が多く見られます(四六判換算)。
(※上記はあくまで目安です。実際の斤量ラインナップは銘柄により異なります。)
例えば、一般的なコピー用紙(上質紙)の斤量が四六判換算で55kg程度であることを考えると、用途に応じて様々な厚さが選べることがわかります。斤量が大きいほど、しっかりとした手触りになり、裏写りもしにくくなりますが、その分コストは上がります。用途に合わせて最適な斤量を選ぶことが大切です。
微塗工紙について調べていると、「マットコート」や「微塗工マット」という言葉を目にすることがあります。これは、微塗工紙の仕上げ(表面の質感)に関連する言葉です。
つまり、「微塗工紙」という大きな分類の中に、「マットな質感を持つ微塗工紙(微塗工マット)」が存在する、と理解すると分かりやすいでしょう。
マット調の紙は、光の反射が少ないため文字が読みやすく、しっとりとした高級感や、温かみのある印象を与える効果があります。写真やイラストも、光沢紙とは違った落ち着いた雰囲気で表現できます。
この記事では、「微塗工紙」について、その基本的な定義から、コート紙や非塗工紙との違い、具体的な用途、斤量、マットコートとの関係性までを解説してきました。
微塗工紙は、塗工量が少なく(約12g/m²)、コート紙ほどの光沢はないものの、非塗工紙よりも印刷適性に優れ、コストパフォーマンスも良いという特徴を持つ、非常にバランスの取れた紙です。
チラシ、カタログ、雑誌本文、書籍表紙など、幅広い用途に対応できる汎用性の高さが魅力です。
マット調の製品が多く、落ち着いた雰囲気や高級感を演出したい場合にも適しています。
印刷物を作成する際には、その目的やデザイン、予算に合わせて、微塗工紙を選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。
参考文献・出典元
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