持続可能な社会への貢献|企業の紙リサイクル戦略とは?

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近年、環境問題への意識が高まる中で、企業の社会的責任(CSR)としての環境配慮は不可欠な要素となっています。特に、日々大量に排出される紙ごみの問題は、多くの企業にとって喫緊の課題です。

本記事では、紙リサイクルの現状と重要性、そして具体的な実践方法について詳しく解説します。紙ごみの適切な処理は、資源の有効活用だけでなく、企業のイメージ向上やコスト削減にも繋がります。この機会に、貴社の事業活動における紙リサイクルの可能性を最大限に引き出し、持続可能な社会への貢献を目指しましょう。

クローズドリサイクル
設備導入なく開始も可能!

  • 企業が環境対応するべき理由
  • 生産から回収まで一元管理
  • 実際の採用事例もご紹介
目次

紙リサイクルの重要性と現在の取り組み

世界と日本の紙 リサイクル率

紙リサイクルは、資源の有効活用と環境負荷軽減のために非常に重要な活動です。世界的に見ても、製紙原料の約半分は回収された古紙が占めており、リサイクルは現代社会を支える基盤となっています。特に日本では、資源の乏しい国という背景もあり、古紙のリサイクルに積極的に取り組んできました。

世界と日本の紙のリサイクル率を比較すると、日本は非常に高い水準を維持していることが分かります。

項目 2022年 世界平均(推定) 2022年 日本(古紙回収率)
回収率 約60% 82.7%
利用率(消費量に対する古紙使用割合) 約50% 67.9%
備考 - 古紙発生量に対する回収量

参照:日本洋紙製紙業連合会、資源・リサイクル促進センター、環境省などの公開資料に基づき作成。

日本の古紙回収率は長年にわたり80%を超える高い水準を維持しており、これは国民一人ひとりの努力と、企業の協力体制があってこそ実現しています。しかし、回収された古紙が全て紙製品として利用されるわけではありません。古紙利用率も高い水準にありますが、最終的な製品になるまでのプロセスや、特定の種類の古紙がリサイクルできないといった課題も存在します。この高いリサイクル率は、国際的にも高く評価されており、日本の環境意識の高さを示す指標の一つと言えるでしょう。

リサイクルできない紙 種類との理由

一見すると全ての紙がリサイクル可能に思えますが、実はリサイクルできない種類の紙も存在します。これらの紙は、その素材や加工方法によって、通常の古紙回収ルートに乗せることが難しい、あるいはリサイクル工程で品質を損ねる可能性があるため、注意が必要です。

具体的なリサイクルできない紙の種類とその理由は以下の通りです。

種類 リサイクルできない主な理由
感熱紙(レシートなど) 熱に反応する特殊な化学物質が塗布されており、リサイクル工程で変色したり、再生紙の品質を低下させたりする可能性があるため。
カーボン紙、ノーカーボン紙 インクが繊維に染み込みやすく、再生工程で完全に除去することが難しいため。再生紙に黒い斑点が残る原因となる。
ワックス加工紙(牛乳パックの内側、ピザの箱など) ワックス(ロウ)やポリエチレンなどで防水加工が施されており、水に溶けにくいため、パルプ化の工程を妨げる。
金・銀箔紙、PP加工紙、ビニール加工紙 プラスチックや金属が貼り合わせられており、紙と異素材を分離することが困難なため。再生紙の品質を低下させる原因にもなる。
油脂や食品残渣が付着した紙(使用済ティッシュ、紙ナプキン、食品トレー、使用済みの紙コップ) 衛生上の問題や、油脂や食品残渣がリサイクル工程で機械を汚したり、カビや悪臭の原因となるため。
粘着テープ、シール、写真 粘着剤や化学物質がリサイクル工程で機械に付着したり、再生紙に不純物として混入する可能性があるため。
シュレッダー後の細かい紙 繊維が非常に短くなり、再生紙の強度を保つことが難しいため。また、細かい紙はリサイクル工場で他のゴミと混ざりやすいという課題もある。

これらの紙は、分別が不十分な場合、リサイクル可能な古紙全体の品質を低下させ、結果的にリサイクル率を下げる原因となることがあります。

それぞれの紙の特徴とリサイクル

ここからは主な4つの紙の特徴とリサイクルについて解説します。

再生紙はリサイクルできますか?

ほとんどの再生紙はリサイクルが可能です。再生紙も通常の紙と同様に、木材パルプや古紙を原料として作られています。再生紙が繰り返しリサイクルされることで、持続的な資源循環が実現されます。

ただし、再生紙の中には、特殊な加工が施されているもの(例:防水加工、特定のインク使用など)があり、それらはリサイクルが難しい場合があります。

一般的に、再生紙製品にはリサイクル可能であることを示すマークが付いていることが多く、分別時にはそのマークを確認することが推奨されます。

古紙はリサイクルできますか?

古紙は紙リサイクルの主要な対象です。新聞、雑誌、段ボール、牛乳パック、オフィス古紙など、様々な種類の古紙が回収され、製紙原料として利用されています。古紙は、回収後、種類ごとに分別され、不純物を取り除かれた上で、溶解されパルプに戻されます。このパルプが新しい紙製品の原料となるのです。古紙の分別は、リサイクル工程の効率を大きく左右するため、非常に重要です。

新聞紙はリサイクルできますか?

新聞紙は最もリサイクルしやすい古紙の一つであり、高く評価されています。新聞紙は繊維が長く、インクも比較的に除去しやすいため、高品質な再生紙の原料として重宝されています。回収された新聞紙は、主に新しい新聞紙や週刊誌、段ボール原紙などに再生されます。

ポスター等の紙はリサイクルできますか?

イベントやキャンペーンで大量に使用されるポスターやチラシなどの紙媒体も、種類によってはリサイクルが可能です。しかし、これらの多くは特殊な加工が施されているため、主に以下の点に注意が必要です。

一般的な印刷用紙に近い素材で、表面加工がされていないポスターやチラシであれば、他のオフィス古紙と同様にリサイクル可能です。企業が大量のポスターなどを排出する際には、事前に専門業者や自治体の分別ルールを確認し、適切な処理を行うことが重要です。

紙リサイクルで生まれる新たな価値

紙はリサイクル後何になる?再生品の多様性

リサイクルによって回収された古紙は、単に同じ種類の紙に戻るだけでなく、様々な新しい製品へと生まれ変わります。この多様性が、資源の有効活用に大きく貢献しています。

古紙が再生されてできる主な製品の例を以下に示します。

古紙の種類 再生される主な製品の例
新聞紙 新聞紙、週刊誌、コミックス、段ボール原紙、絶縁紙、トイレットペーパー、ティッシュペーパー
雑誌 雑誌、絵本、段ボール原紙、板紙、トイレットペーパー
段ボール 段ボール箱、板紙、建築用ボード、梱包材、緩衝材
牛乳パック(飲料用紙パック) トイレットペーパー、ティッシュペーパー、封筒、ファイル、建築用ボード、トレイ
オフィス古紙(OA用紙、コピー用紙など) コピー用紙、ノート、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、情報用紙、印刷用紙
その他の紙 紙袋、菓子箱、ティッシュ箱、名刺、シュレッダーごみ(一部はセメント原料などにも)

このように、古紙は非常に幅広い用途で再利用されており、私たちの生活の様々な場面でその恩恵を受けています。これにより、新たな木材伐採の抑制、エネルギー消費量の削減、廃棄物量の削減といった環境負荷の低減に繋がっています。

紙のリサイクルマークが示す意味

私たちが日頃目にする製品に表示されている紙 リサイクル マークは、その製品がリサイクル可能な紙でできていること、あるいは再生紙が使用されていることを示しています。これらのマークは、消費者が分別する際の指針となるだけでなく、企業の環境配慮への姿勢を示すシンボルでもあります。

主なリサイクルマークと、その意味は以下の通りです。

マークの名称 意味
紙製容器包装の識別表示マーク 「紙」のリサイクルマーク。紙製の容器や包装(段ボール、紙パック、紙箱など)に表示され、消費者に紙として分別排出することを促す。資源有効利用促進法に基づき表示が義務付けられている。
再生紙使用マーク 製品に再生紙が使用されていることを示すマーク。主にトイレットペーパーやコピー用紙などに表示されている。
エコマーク 環境保全に役立つと認められた商品に表示されるマーク。紙製品では、再生紙の利用やFSC認証材の使用など、環境負荷が少ないと認められた製品に付与される。
FSC®認証マーク 適切に管理された森林から生産された木材や、その他の責任ある供給源から調達された原材料から作られた製品に表示されるマーク。森林の持続可能性に配慮した製品であることを示す。
古紙パルプ配合率マーク 再生紙製品において、古紙パルプが何%配合されているかを示すマーク。製品の環境負荷低減への貢献度を具体的に示している。

これらのマークを理解し、適切に分別することで、紙リサイクルの取り組みをさらに推進することができます。企業においては、自社製品にこれらのマークを表示することで、消費者への環境配慮のアピールにも繋がります。

紙リサイクルの問題点と課題

日本は高いリサイクル率を誇りますが、それでもいくつかの問題点が存在します。これらの課題を理解し、解決策を模索することが、今後のリサイクル推進には不可欠です。

主な問題点と課題は以下の通りです。

これらの問題点に対しては、企業や自治体、そして消費者が一体となって取り組むことが求められます。特に企業においては、排出源での分別徹底や、リサイクル技術への投資、そして安定したリサイクルルートの確保が重要となります。

段ボールと紙 リサイクルの違い

段ボールと一般的な紙のリサイクルでは、その特性とリサイクル工程にいくつかの違いがあります。これらの違いを理解することは、適切な分別と資源循環を促進するために重要です。

項目 段ボールリサイクル 一般的な紙リサイクル(新聞、雑誌、オフィス古紙など)
主な素材 瓦状の中芯と、その両面を覆うライナー(板紙)で構成されている。主にクラフトパルプや古紙パルプが原料。 木材パルプを主原料とする様々な種類の紙。光沢紙、塗工紙など加工紙も含む。
繊維の質 比較的長く、丈夫な繊維が特徴。 種類により様々。新聞は繊維が長く、雑誌やOA用紙は短いものもある。
強度 輸送や梱包に耐える高い強度を持つ。 製品の用途により強度は様々。
リサイクル後の用途 主に新しい段ボール箱、板紙に再生される。 新聞、雑誌、コピー用紙、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、段ボール原紙など多岐にわたる。
水分・油分への耐性 比較的水分や油分を吸収しやすい。撥水加工されたものはリサイクル不可。 種類により様々。加工されている場合はリサイクル不可となるケースが多い。
分別時の注意点 宅配便の伝票やガムテープ、プラスチック製の取っ手などを除去する。汚れたものは不可。 クリップ、ホチキスの針、粘着物、ビニール、感熱紙などを除去する。汚れたものは不可。
市場価値 比較的安定した市場価値を持つ。 種類や需給バランスにより変動が大きい。

段ボールは、その構造上、強度を保つために比較的丈夫な繊維が使われています。そのため、リサイクル後も再び段ボールとして生まれ変わることが多く、効率的な循環が期待できます。一方、新聞や雑誌、オフィス古紙などの一般的な紙は、用途が多岐にわたるため、様々な製品へと再生されます。どちらも重要なリサイクル資源であることに変わりはありませんが、それぞれの特性に合わせた適切な分別と処理が求められます。

SHIFT ONが提案する自社内循環型リサイクルシステム「クローズドリサイクル」

ここまで、紙リサイクルの現状や課題について深く掘り下げてきました。

これらの課題を解決し、さらに一歩進んだ紙リサイクルを実現するために、SHIFT ONでは独自のソリューション「クローズドリサイクル」を提供しています。

「クローズドリサイクル」とは、企業内で発生する紙ごみを自社内で回収・選別し、新たな紙製品として再生する自社内循環型リサイクルシステムです。

このシステムを導入することで、貴社は以下のような多大なメリットを享受できます。

また、前述の素材や加工方法によってリサイクルが難しい紙のリサイクルについてもご相談いただけます。

詳しくは、クローズドリサイクル特集ページをご覧いただくか、直接お問い合わせいただければ、専門の担当者が貴社の状況に合わせた最適なソリューションをご提案させていただきます。

まとめ:紙リサイクルで未来を築く

本記事では、紙リサイクルの多岐にわたる側面を詳細に分析し、そのプロセス、現状、課題、そして将来の展望を解説しました。日本の紙リサイクルは高い回収率を誇る一方で、古紙の品質ばらつきや需要の伸び悩み、特定の禁忌品の存在といった課題も抱えています。

持続可能な紙リサイクル社会の実現には、消費者、事業者、行政が一体となり、技術、経済、社会の各側面から多角的に課題に取り組むことが不可欠です。SHIFT ONが提案する「クローズドリサイクル」は、企業が自社内で紙資源を循環させることで、多くのメリットをもたらします。

持続可能な社会の実現に向け、貴社の紙リサイクルへの取り組みをさらに深化させ、新たな循環型ビジネスモデルを共に構築していきましょう。

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クローズドリサイクル事例集

  • クローズドリサイクルとは
  • フィルム素材のクローズドリサイクル
  • 段ボール素材のクローズドリサイクル
  • 金属素材のクローズドリサイクル

参考文献

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