紙があるから生まれる新しい出会い│株式会社スクロールでの紙とデジタルで広がるお客様とのつながりを伺いました

主に生協宅配事業を中心にアパレル商材の提供を行っている株式会社スクロールは、通信販売企業のパイオニアとして業界の発展に寄与してまいりました。
現在では、連結子会社16社のスクロールグループとして、ソリューション事業・通販事業・eコマース事業の主要3事業を軸に事業を展開しています。
近年では、長年培ってきたダイレクトマーケティングに関する知見やノウハウを、ソリューションサービスとして顧客や他の事業者に提供するソリューション事業の拡大を行うなど、ユニークかつ収益性が高い「真のマーケティングソリューションカンパニー」を目指し進化を続けています。
スクロールの通販事業では、全国の生協宅配事業の組合員様へ毎週カタログをお届けし、商品を販売するとともに、独自のネットワークを介して各事業連合様および組合員様のニーズを的確に拾い上げ商品企画に反映できることが大きな強みとなっています。
独自性の高い衣料品・服飾雑貨・生活雑貨の展開を推進していくためには、カタログが確実にお客様のもとへ届くことが第一に求められます。
お客様の豊かな暮らしづくりのサポートをどのように実現しているのか、また当社の用紙供給がどのように役立っているのか、今回はスクロール カタログ管理チームのご担当者様にお話を伺いました。
エントランスには季節ごとのコーディネートが展示されています
■御社の通販事業において、紙をどのような用途でお使いになっていますか
生協組合員様向けに送付するチラシ・カタログ(冊子)に使用しています。
チラシは年間52週、カタログはシーズンに合わせ年間4~6回の頻度で発行しており、さまざまな種類の商品を幅広く知っていただけるよう、チラシとカタログで役割を分けています。
■どのような紙を使用されていますか
チラシにはB判の微塗工、カタログにはA判のA3コートを使用しています。
※微塗工:紙の表面に塗工剤を微量に塗布した紙
※A3コート:両面で30g/㎡程度以下の塗工を施した紙
■どれくらいの紙の量を使用していますか
全国の生協組合員様に向け、チラシとカタログを週・季節ごとに発行しており、配布範囲や種類が豊富なため、非常に多くの部数を配布しています。
■用途ごとに紙の種類を分けている理由はありますか
商品の作り手の思い、企画の意図が組合員様に届くように、商品の質感を重視し、それに沿った紙を選定し、チラシ・カタログを制作しています。
チラシには比較的リーズナブルな商品や定番の商品が掲載される一方で、カタログにはエレガントな商品も掲載されているため、チラシと比べると紙も上質なものを使用しています。
実際に届けられているカタログ
■用途ごとの紙の選定基準を教えてください
まず基本となるのは、商品の意図、表現したい質感を再現できるように紙を選ぶことです。
商材もアパレルだけでなく生活雑貨、服飾雑貨も取り扱っているため、商品のテイストに合わせて種類を分けています。カジュアルな商品であればマット系、エレガントな商品であれば上質系を使用します。
加えて、印刷時に商品のもつニュアンスが表現できるかも重要視しています。その際に「アパレルには不向きでも生活雑貨には適している」といった紙と商品の相性も意識しています。
特にアパレルではグロス感や発色が重視されます。色味があるものは発色良く、逆にカジュアルな商品であれば落ち着いた印刷になるようテストを重ねて選定しています。


デザインや色味の再現性にこだわった紙選びが行われている
■再現性のほかに重視しているポイントはありますか
スクロールでは持続的な社会の実現のために、2030年度までにチラシやカタログに使用する紙の使用量を2021年度対比で25%削減することを重要課題としています。チラシやカタログに紙を使用しないということではなく、軽量化できるように紙を選定しています。
ただし軽量化には強度が落ちるという課題もあります。紙を変更することでテスト印刷や刷り直しが繰り返されると時間もコストもかかってしまいます。そのため、紙の変更時には商品の再現性と印刷効率・生産性のバランスを重視しながら取り組んでいます。
■当社との取引の経緯を教えてください
2011年の東日本大震災時の全国的な紙の供給不足がきっかけとなり、取引が始まりました。
一時的に製紙の生産能力が低下し、供給がタイトになっていたなかでも、御社は安定的に紙の供給が可能であり、その後も製紙メーカーで紙生産がままならないトラブルの際には、輸入紙など幅広い種類の紙を提供していただくなど、スクロールの通販事業には欠かせない存在です。
■お取引の中で感じられている、当社のメリットはありますか
安定した供給力に助けられています。特に有事の際にアクティブなプランをご提案してくださるところは大変ありがたいです。
媒体発行のペースを維持し、常にお客様に情報を届けなくてはならないため、チラシやカタログの発行を止めることはできません。毎週新たなチラシを全国に配布する当社にとって、数量・品質・デリバリーという基本的な部分で高いレベルのサービスを提供し続けていただけること、そして、それにより発行が保たれることは欠かせないメリットです。
■通販事業にとって、紙はどのような存在になっていくとお考えですか
紙は今後も重要な位置付けにあります。一部の範囲ではデジタルへの移行も考えてはいますが、紙のチラシ・カタログはお客様との接点において欠かせない存在です。
■紙とデジタルの使い分けはどのようにお考えですか
紙は印刷の再現性や配送といった点でコストも時間もかかりますが、手元に残り、何度も読み返すことができるため、購入の検討に役立つと考えます。
さらにカタログでは生地の色味や質感、ディティールなど、作り手の意図がより伝わりやすいのではないかと思っています。
なぜなら自社でこだわりを持って商品を企画し、どのようにお客様に伝えていくかという熱量を入れ制作しているものなので、そこはしっかり読んでもらえる紙媒体の方が合っていると思います。
デジタル媒体は即時性が高く、パーソナライズされた提案やキャンペーンが効果的に打ちやすいというメリットがあります。一方でお客様一人ひとりの生活環境や使用されるデバイスによって受け取る広告が異なるため、お客様自らがアプローチしないと広告にアクセスできないという懸念があります。
そのため、ウェブなどのデジタル媒体でも、お客様により能動的に見てもらうにはどうすればよいかという課題があります。
現在はチラシやカタログにウェブでのお得な購入をお知らせするといった、紙からデジタルにつなげる取組みをしています。紙の強みを使ってデジタルと共存していくことを考えています。
■販売における紙媒体ならではの良さはありますか
ウェブでのお買い物は欲しいものを検索し購入するという流れが多いかと思います。
チラシやカタログの場合は、一覧で見ながら「こんないい商品もあるんだ」という思いがけない出会いがあるため、新たな気付きを得ていただき、商品との接点をたくさん持てるという点が紙媒体ならではの良さだと思います。
また、実際に1人のお客様が1回のお買い物で平均何点ご購入されているかを調べた際、実店舗での購入と同じ程度の購入実績がありました。制作時に紙面に込めた思いが、実店舗での接客と同じ働きをしているので、紙も立派に接客をしてくれているといえます。
アパレルだけでなく、雑貨との出会いもあるカタログ
■今後当社に期待することを教えてください
御社は用紙の販売、安定供給といった紙周りのことだけではなく、さまざまな角度でのビジネスアイデアを持っている点が大きな強みだと思っています。
例えば、紙の価格の乱高下や輸入紙の現状、2024年問題のトラック不足についてなど、紙から派生する課題に対し、日々の会話のなかから解決策をご紹介いただいています。
我々は紙を軸に展開するビジネスであるので、今後は環境問題への取組み、ESG経営などの課題解決に期待を寄せています。
■貴重なお話をありがとうございました。
SHIFT ONとしてのまとめ
紙を使用したチラシ・カタログは、手に取れること、見やすさ、そして制作者の意図が反映していることから、お客様とのつながりに今後も不可欠であることを実感しました。なかでも情報を受け取るだけでなく、体験してもらうことで商品を知ることができるのは、紙ならではの強みだといえます。
実際に、スクロールのチラシやカタログを手に取らせていただいた際には、掲載されている商品によって手触りが異なり、光の反射で色味の変化があることやページをめくる音の違いも楽しむことができました。
紙とデジタルは双方を補完しあう関係性であり、どちらも有効活用することで、より積極的な商品のアプローチが行われていると感じました。
また、当社はスクロールの取引先アワードで連続表彰されていることもあり、提案を評価していただけることにやりがいを感じています。
今後とも強いビジネス関係を続けていけるよう、紙はもちろん新しい取組みの提供を続けていきたいと考えています。
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