5Rとは?3Rとの違い・具体例・企業の取り組みをわかりやすく解説
近年、SDGsや脱炭素、サーキュラーエコノミーへの関心が高まるなか、企業・個人を問わず環境配慮への取...
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アパレル業界では、包装資材の削減やリサイクルへの取り組みが企業評価にも影響する時代になりました。サステナビリティ対応は、もはや一部の企業だけのテーマではありません。
一方で、「何から始めればよいかわからない」「取り組みを社外にもしっかり発信したい」という声も多く聞かれます。そんな企業にとって、物流の現場で日常的に発生する段ボールは、最も身近で着手しやすいテーマの一つです。
本記事では、単なる再利用にとどまらず、資源循環を“見える化”できる「クローズドリサイクル」という考え方を、アパレル物流の視点で解説します。自社の物流量で実現できるのか、その判断材料までお届けします。
まず、アパレル業界で包装資材の削減やリサイクルが加速している背景を、3つの観点から整理します。2026年4月に全面施行された改正資源有効利用促進法などにより、企業の環境対応は「自主的な努力」から「社会的な責務であり評価の軸」へと位置づけが変わりつつあります。
ESG投資が広がるなか、環境への取り組みは企業の持続可能性評価やブランド価値に直結するようになりました。段ボール古紙を廃棄せず資源として循環させる取り組みは、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」の実践として、対外的にもアピールできます。「取り組みを社外に発信したい」という企業にとって、わかりやすい実績づくりの一手になります。
アパレル企業では、倉庫と店舗の間で日常的に大量の段ボールを使用します。商品の入れ替えが多く、包装資材は環境負荷とコストの両面で無視できない存在です。使用量が多い分、削減や見直しによる効果も可視化しやすいため段ボールは、着手しやすいサステナビリティ施策の一つといえます。
近年は自社単体だけでなく、調達から製造・物流・販売まで、サプライチェーン全体でのCO2・廃棄物削減(Scope3を含む)が求められています。取引先を巻き込んだ資源循環の仕組みは、こうした潮流のなかで高く評価されます。段ボールの循環は、その第一歩として取り組みやすいテーマです。
次に、アパレル物流ならではの段ボール使用の実態を、「使用場面」「製品の多様さ」「物量の変動」の3点で見ていきます。段ボールが各拠点で大量に発生する一方、その排出量を正確に把握しにくいことが、後述するクローズドリサイクル導入時の論点になります。
物流センターから各店舗への商品配送、店舗間の在庫移動や在庫共有など、アパレル物流では多くの場面で段ボールが使われます。商品の入れ替え頻度が高いため、使用後の段ボールが倉庫・店舗の各拠点で日常的に発生します。どこで、どれだけ出るのかを踏まえた回収の設計が重要になります。
アパレル業界はサイズ・カラー・シーズンごとに商品数(SKU)が膨大で、梱包や仕分けに使う段ボールの種類・数量も多くなります。多品種・小ロットの出荷が中心となるため箱のサイズも多様化しやすく、包装資材の在庫管理は煩雑になりがちです。だからこそ、資源としての回収・分別を仕組み化する意義が大きいのです。
セール期や新作投入、シーズンの切り替え、EC需要の波などによって物量は大きく変動し、段ボールの排出量も月ごと・拠点ごとにばらつきます。「自社の排出量が読みにくい」という不安は、そのまま「クローズドリサイクルを導入できるのか」という判断材料への情報ニーズにつながります。この点は後半のFAQで詳しく取り上げます。
実際に、アパレル・小売各社は段ボールの削減やリサイクルにさまざまな形で取り組んでいます。ここでは、しまむらとユナイテッドアローズの2社を取り上げ、「他社はどこまで進めているのか」という具体像を紹介します。自社の次の一手を考えるヒントとしてご覧ください。
しまむらグループは、2007年から「循環型リサイクル」に取り組んでいます。各店舗で発生するハンガーやビニール、買物袋、段ボール、雑古紙を、自社の物流網を使って商品センターへ集約し、再資源化する仕組みです。
さらに2019年5月からは、回収した素材の一部を自社の資材として再び活用する「完全循環型リサイクル」へと発展させています。自社物流を活かして排出物を資源として循環させる、先進的な取り組みといえます。
ユナイテッドアローズは、段ボールそのものを「薄く・軽く」する取り組みを進めています。同社のEC向け梱包段ボールには、環境に配慮した古紙ライナー「SEW(スマート エコ ホワイト)」が採用されています。
「Less is more.」の考え方のもと、強度を保ちながら薄く軽くすることで、トラックへの積載効率を高め、輸送に伴うCO2排出の削減につなげています。使う量そのものを減らす「削減」アプローチの代表例です。
「削減」の次に検討されるのが「再利用」や「オリコン(折りたたみコンテナ)の活用」です。しかし、これらにも限界があります。段ボール再利用の課題に加え、使用回数の限界・初期費用・回収コストという課題を整理し、単なる再利用では資源循環の見える化や安定運用に限界があることを確認します。
段ボールは低コストで手軽に再利用できる一方、繰り返し使うほど強度が落ちていきます。輸送時の圧力や湿気で角がつぶれたり波打ったりすると、商品を十分に保護できず、破損のリスクが高まります。
さらに、再利用に伴う汚れやにおい移り、折れ跡による見た目の劣化は、商品やブランドの印象にも影響しかねません。結局は早い段階で廃棄せざるを得ず、単純な再利用だけでは資源循環を完結できないのが実情です。
オリコンなどのリユース資材は、耐久回数に上限があり、破損・劣化すれば結局は廃棄が発生します。汚れ移りといった衛生・品質面の制約から、用途が限られる場合もあります。繰り返し使えるという利点だけでは、資源循環を完結できません。
オリコンや通い箱の導入には、資材そのものを購入する初期投資が必要です。取り扱う品目・サイズが多く、拠点も分散するアパレル物流では必要数量が膨らみ、初期費用の負担が大きくなりやすいのが実情です。投資回収の見通しが立てにくく、導入のハードルになりがちです。
使用済みの資材を回収・返送・洗浄・管理するための物流コストと、オペレーションの負荷も発生します。倉庫や店舗が全国に分散するアパレル物流では回収動線が複雑になりやすく、リユースの運用コストが削減効果を相殺してしまうこともあります。こうした課題を踏まえ、次章のクローズドリサイクルへと話を進めます。
ここからは、本記事の核となる解決策です。クローズドリサイクルの定義と、単なる再利用との違い(資源循環の見える化)、そして段ボールがこの仕組みに適している理由を順に解説します。
クローズドリサイクルとは、自社から排出した段ボール古紙を回収して再原料化し、再び同じ企業が自社の製品として使う仕組みです。使ったあとの段ボールを回収し、製紙メーカーで再び原料へ戻し、コンバーターで段ボール製品に加工して、また自社で使う——という流れで資源を循環させます。廃棄していた段ボールを「自社の資源」として回し続けられる点が、大きな特徴です。
クローズドリサイクルでは、一度きりの使用や単純な再利用と異なり、古紙から資源へどれだけ再利用されたかが可視化されます。このトレーサビリティこそが最大の違いです。循環の実績を数値で把握できるため、「つくる責任 つかう責任」を果たす取り組みとして、対外的に発信できる価値が生まれます。
段ボールは、古紙の回収率が概ね95%、板紙の古紙利用率も93%を超えるとされ、回収・原料化・製品化のシステムが確立された素材です。もともと循環の仕組みが整っているため、段ボールはクローズドリサイクルを始めやすい対象だといえます。
クローズドリサイクルを導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは「廃棄物管理の効率化」「数値の可視化」「安定した資材確保」「取引先管理の簡素化」の4点に、GHG削減という副次効果を加えて紹介します。単なるコスト削減ではなく、企業評価と両立できる取り組みです。
使用済みの段ボールを「廃棄物」ではなく「資源」として一元的に扱うことで、これまで廃棄・分別・処理に分散していたオペレーションが整理されます。排出から回収・再原料化までの流れが一本化されるため、担当部門の手間や廃棄コストの削減につながります。
回収量や再原料化量といった数値を自社で把握・管理でき、資源循環の実績を定量的に開示できます。どれだけ資源が循環したかが「見える化」されることで、ESG開示やサステナビリティレポート、対外的な発信にそのまま活用できます。「取り組みを社外に発信したい」というニーズに、まさに応える仕組みです。
古紙は、輸出市況の変化によって価格や流通が変動します。しかし、自社が排出する古紙を国内で循環させるクローズドリサイクルなら、市況に左右されにくい安定した資材確保が可能になります。原料調達リスクを下げられるという、経営面でのメリットも見逃せません。
段ボール原紙の購買(仕入れ)から使用済み古紙の回収までを一つのスキームに集約することで、複数業者との個別調整や契約管理が減り、取引先管理が簡素化されます。窓口を一本化できるため、環境対応の推進とオペレーション負荷の軽減を同時に実現できます。
古紙の輸出から国内循環へ切り替えると、GHG(温室効果ガス)排出量を約6分の1に削減できるとされています。環境対応を進めながら、ESG投資による企業の持続可能性向上にもつながる、副次的なメリットです。
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最後に、読者の関心が最も高い「自社の物流量・排出量で実現できるのか」という疑問に、正面からお答えします。導入前に抱きやすい不安を、一つずつ払拭していきましょう。
排出量に明確な下限(制限)はなく、少量の排出でもご相談いただけます(少量の場合は、再原料化までに時間を要することがあります)。複数拠点にまたがる場合や、他社との混合排出、大規模な物流施設が中心の場合も、状況に応じて個別に対応が可能です。「うちの規模で大丈夫だろうか」という不安は、まず相談することで解消できます。
原則として、現状の回収業者や回収ルートをそのまま活用でき、回収の際に別途の機材・設備を必要としない仕組みを構築できます。既存のフローを大きく変えずに始められるため、現場の混乱や追加投資を抑えられます。「回収が複雑になるのでは」という心配は不要です。
極度の汚れや色移り、表面の防水加工(ロウ引き)などがある段ボールは、回収が難しい場合があります。ただし、そうしたケースでも、他素材のクローズドリサイクルや代替策をご提案できます。まずは自社の段ボールの状態を確認することが、第一歩になります。
導入を検討する際は、次の項目を整理しておくと相談がスムーズです。
段ボールのクローズドリサイクルは、原紙の仕入れから古紙の回収までを一貫して担えるパートナーがいると、スムーズに進みます。国際紙パルプ商事(KPP)は、年間約160万トンの紙を販売する一方、約120万トンの古紙を回収しており、国内の紙パルプ商社としてトップクラスの古紙取扱高を誇ります。
段ボール原紙やケースなどの製品販売から、使用後の古紙回収・再原料化までを一元的に管理することができます。仕入れと回収の双方を担うことで、資源がどこへ流れ、どのように再生されたのかというトレーサビリティが確保され、環境対応の実績として開示しやすくなります。
全国の古紙問屋とのネットワークを活かし、各地の拠点に対して回収エリアの最適化・トータルコーディネートが可能です。倉庫や店舗が全国に分散し、排出も分散するアパレル物流において、拠点ごとの排出を無理なく循環に組み込める体制を整えられます。
KPPは段ボール以外にも、書籍やフィルムのクローズドリサイクルの実績があり、他製品へ活用するアップサイクルも手がけています。緩衝材やテープなど、梱包に欠かせない紙製品を環境配慮製品へ置き換える対応も可能です。段ボールの回収が難しい場合の受け皿としても、幅広く活用できます。
アパレル物流で日常的に発生する段ボールは、単なる再利用ではなく、クローズドリサイクルによって“見える化された資源循環”へと転換できます。それは、企業評価の向上、市況に左右されない安定調達、GHG削減という複数の価値につながる取り組みです。
まず取り組むべきは、自社の排出量・拠点・回収業者を棚卸しすることです。判断材料として「クローズドリサイクルの手引き」を活用し、個別の状況については専門家に相談しながら、無理のない一歩を踏み出しましょう。
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