SDGsに中小企業が取り組むには?メリットから流れまで解説

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SDGsに中小企業が取り組むには?メリットから流れまで解説
SDGsは個人だけに求められている目標ではありません。個人の集団である企業にも、もちろん関係があります。
今回は企業に求められているSDGs目標や、なにから始めればいいかについて解説していきます。

脱炭素でできること

背景から実例まで網羅した
脱炭素社会への必見バイブル

  • なぜ脱炭素が必要か
  • 脱炭素・製品製造から加工
  • クローズドリサイクル
脱炭素でできること

SDGsとは

2015年に国連サミットで採択された、2016年から2030年までに達成すべき国際目標のことです。
「Sustainable Development Goals」の略であり、持続可能な開発目標と訳されます。
17のゴール、169のターゲットから構成され、持続可能でよりよい世界を目指すために掲げられました。

①貧困やジェンダー、教育など社会面の開発的側面
②エネルギーや資源、雇用、イノベーションなど持続可能な成長を目指す経済的側面
③環境や気候変動、資源など地球規模で取り組む環境的側面
これら3つの側面から構成されています。

SDGsに注目する理由

SDGsは、2000年に国連サミットにて採択されたMDGsを受けて作られています。
MDGsとは、「Millennium Development Goals」の略で、ミレニアム開発目標と呼ばれています。
貧困や飢餓の撲滅など2015年までに達成すべき8つの目標からなり、主に開発途上向けの目標として掲げられたものでした。これらは2015年までに一定の成果を上げ、その目標は経済的側面・環境的側面を加えたSDGsに引き継がれました。

SDGsはMDGsと異なり、先進国を含めすべての国が取り組むべき普遍的な目標として設定されています。これらの目標は、各国の政府や国主導の取り組みだけでは達成するのが困難であり、企業や地方自治体、学校や研究機関、そして世界の一人ひとりの取り組みが不可欠となっています。

SDGsは、「地球上の誰一人取り残さない」と宣誓しているように、先進国・途上国関わらず地球上の全員に課されている目標なのです。もちろん、営利事業を営む企業も例外ではありません。

企業とSDGs:メリット

では、SDGsに取り組むことで、企業にとってはどのような利点があるのでしょうか。
4つの側面から見ていきましょう!

経済的側面

日本の多くの企業では、利益追求だけではなく、自社の組織活動が社会に与える影響に責任を持つための指針であるCSRが掲げられています。「Corporate Social Responsibility」の略であり、企業の社会的責任のことを指します。

今まで企業は、事業で生み出した利益の一部を社会貢献に充てることで、社会的責任を果たすという考えがありました。
しかしそれでは業績の悪化があった際に続けられる保証はなく、例えば経営層の中でボランティアや寄付といった非営利目の取り組みに対し優先度が低いと、経営状態次第で取り組みが終わってしまうという不安定さがありました。
また、MDGsは経済的側面の目標が含まれておらず、企業的には浸透率が低かったように見受けられます。

対してSDGsでは、経済的側面の目標も多く設定されており、企業にも主体的な取り組みを求めています。
投資家や金融機関、取引先や消費者といったステークホルダーもSDGsに積極的に取り組んでおり、何もしない企業はステークホルダーから取り残される危険もあると考えられます。
今後、経営や事業にSDGsの考え方を取り入れていく企業は増えていきます。そのような市場環境では、SDGsに消極的な企業ではなく、積極的に取り組む企業が事業を継続となり、競合との生存共創を勝ち抜いていくこととなるでしょう。

多くの企業が市場の将来を見据えて、事業や経営にSDGsの考え方を組み込みんでいます。そして地球環境の保護と経済成長の両立など、SDGsの目標の達成に繋がることを目指しています。

SDGsと併せて注目されるのがESGです。おもに機関投資家が企業に対し注目する環境・社会・企業統治の頭文字からなり、近年は財務情報と同じく、投資の際に重視される情報となっています。
事業収益を上げると同時に、SDGs目標を達成することができれば、自社の事業拡大や新規投資家の獲得も見見込めます。できるところからSDGsに取り組むことで、長い期間での未来へのプランを組むことができ、新しい収益獲得が期待できます。

また、最近はエシカル消費の認知や実行が伸長するなど、環境や社会課題に対する消費者の意識も高まってきています。SDGsの目標達成に貢献できる商品やサービスを、消費者が優先的に選択するようになってくると、企業のイメージ向上につながるとともに、価格に左右されない事業への転換にも期待できます。

環境的側面

SDGs目標の13・14・15に掲げられているのは気候や海洋、植物、生態系など環境的側面についての目標です。
これらの環境への取り組みはどれか一つだけ、というものではなくすべて繋がっている問題になります。

例えば海洋ゴミのひとつであるマイクロプラスチックの流出量を減らすために、バイオマス原料から作られた生分解性プラスチックを使用したとします。原料はバイオマスなので生産時に環境に優しく、使用後も自然環境内で分解ができるので、廃棄物にならず海洋ゴミもCO2も削減となります。

このように自社の事業に関わる分野でSDGsへの取り組みを合わせることで、多層な目標達成も可能となります。

社会的側面

人が暮らす地球を守るという環境的側面と同じく、人が生活をする社会を守るのも大事な項目です。
社会は個人が支えながら生活する場であり、個々人の身体や精神の豊かさを求める流れが強くなっています。
企業として個人を豊かにすることは、その集合体である社会を豊かにすることに繋がります。

自社の商品・サービス提供は、人間のどんなところを豊かにするために行っているのでしょうか?
人間ひとりへの豊かさの追求は、ひいては社会の豊かさへの大きな一歩につながっています。よりよい社会のために開発・提供を追及している事業は、それだけで社会貢献と言えるでしょう。

人的側面

社会を構成するつながりの中の1つが企業です。その企業は働く一人ひとりの人間で成り立っています。
従業員である人間に対しどこまで配慮が出来ているのかは、投資の際にも、就職の際にも、企業を選ぶ最も分かりやすい指針となります。

労働力を搾取し、不当な扱いを受けた従業員からなる企業を信頼できるでしょうか?ひいては他国で強制労働を行う企業の商品やサービスに惹かれるでしょうか?
当事者意識を持って企業を判断すること、または自身が所属する企業の体制を鑑みることが、人間らしい雇用と生活に繋がるのです。

企業が多様性を尊重する社会をつくることや環境保護を行うことと、経済的成長を遂げる社会課題を両立して取り組むことは、経済性と社会性でバランスがとれています。
そのような企業で働く社員は、自社の取り組みに対しやりがいやモチベーションの向上を感じることとなります。

SDGsを取り組む際に気を付けたいこと

取り組みを始める際に気を付けたい点は、以下の4点です。見ていきましょう!

SDGsの理解

なんとなく環境にいいことをすればいい気がするが、どう自社の事業や経営に組み込むのか分からない。または壮大な目標設定だから、自分や自社とはSDGsは関係ないと考えてしまったことはありませんか?
SDGsは17のゴール、さらに169のターゲットに分かれていますが、17の目標に向かうために途中地点にある169の達成基準と考えることができます。いきなり大きな最終目標に着手するのではなく、1つずつ到達点に達していくことで、最終的なゴールに向かうことができます。

昨今、SDGsに取り組まなくてはという思いだけが先行し、中身の伴わないグリーンウォッシュが問題となっています。聞こえや見栄えはよくても、実質的なものはなにもないとならないようにも、理解を深めることが大切です。

優先すべき課題の整理

SDGsに挙げられている問題は、環境側面だけでなく、社会面の開発的側面や経済的側面も相互に関係のある問題です。
とはいえ、問題が繋がっているからと17の目標すべてを事業や経営に盛り込もうとするのは、自社の事業とのギャップが生まれてしまいます。

自社の企業理念はなんでしょうか?SDGsの中で、必ず同じ思いを共有できる目標が見つかるはずです。まずはその目標を組み込んだ自社事業や経営のあり方を考え、会社の未来や事業の持続的成長に繋げることが重要となります。

目標設定

自社の事業に組み込むべきSDGsの課題が見えてくれば、最終的な目標とそこに至るまでにすべき中間目標が立てられます。この際、経営層だけの判断ではなく、現場の意見も取り入れるべきです。
近くで事業を見ている人との齟齬は、初めから達成できない目標を立てるのと同じことです。

そのためにOKRの設定をおすすめします。
OKRとは「Objectives and Key Results」の略であり、達成目標と主要な成果を指します。目標と達成率を結ぶ途中地区の成果を設定することで、より社員の当事者意識と達成感が上がります。経営層と現場のギャップも埋まり、すべき課題がより明確になります。

SDGsやESGに取り組むことを経営戦略の中心に据え、これらの取り組みはコストから投資という考え方に転換し、その考え方を現場でも共有することが大切です。

取り組みを外部に発信する

SDGsの目的を理解し、自社の事業への反映や現場の当事者意識が高まり、一つずつ目標を立て取り組んでいるとなったら、ぜひ外部へ発信しましょう。

自社をアピールすることは一旦横に置き、啓蒙という点で情報発信は大事なことです。
なにをしていいのか分からなかった企業ならなおさら、ゼロからのスタートから積み重ねて取り組んでいることは大きな実績となります。また、同じくなにをしていいか分からない企業へのよき手本となり、SDGs活動への参加企業が増えることは喜ばしいことです。

KPPのSDGs取り組み

SHIFT ONの運営企業である、国際紙パルプ商事もSDGsとして以下のプロジェクトに取り組んでいます。

Grenn KPP

国際紙パルプ商事グループ(以下KPPグループ)が行う、持続可能な社会づくりに向けた取り組みの総称です。
SHIFT ON greenや各事業でおこなっている総合循環型ビジネスモデルの推進、環境負荷低減製品の開発・流通などを通して、持続可能な社会づくりを目指しています。

また、環境事業をマテリアリティ(企業の重要課題)の一つと位置付けているほか、本社ビルの屋上緑化や一般財団法人「C.W.ニコル・アファンの森財団」への支援等持続可能な社会の実現に邁進しています。

Green KPPとは

 

Green Biz Project

海洋ごみやマイクロプラスチック問題が徐々に認知され始めた2018年に、社内の有志メンバーが、「紙の総合商社であるKPPグループが社会に貢献できることはたくさんあるはず」と立ち上げた組織横断的なプロジェクトです。

製品の紙化、脱・減プラスチックへの提案、バイオマスプラスチック・生分解性プラスチックの推進、資源循環の仕組み作りなど、環境負荷低減を目指してできることを包括的に捉え、製品の開発・流通を積極的に取り組んでいます。

Green Biz Projectとは

 

まとめ

  • 企業がSDGsに取り組む意義を理解する
  • SDGsの目標と自社の事業・理念に共通している点を探す
  • SDGsやESGへの取り組みをコストという考え方から、投資という考え方に転換し、各階層の社員が当事者意識をもって取り組める環境を作る
  • 最終的な達成に至る間に、中間地点で達成度を見える化し共有する
  • 自社の取り組みを発信することで、なにから始めていいか困っている人への手本になる


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