リサイクルには3種類ある!それぞれの特徴とは?

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リサイクルには3種類ある!それぞれの特徴とは?
皆さんは「3R」という言葉を聞いたことはありますか?
日本国内では、2000年に制定された循環型社会形成推進基本法において、3Rの考え方が導入されました。3RとはReduce(リデュース/廃棄物を減らす)、Reuse(リユース/廃棄物を再使用する)、Recycle(リサイクル/廃棄物を再原料化する)の頭文字をとった言葉です。

今回は、その中でもリサイクルに注目して、どのようなリサイクル方法があり、それぞれのポイントは何かということを説明します。
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リサイクルの重要性

2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法)」が施行されました。
この法律では、プラスチックを循環可能な資源としてとらえ、プラスチック製品の設計段階から廃棄・再原料化までの一連の流れに関わる消費者・事業者・自治体に連携を求めるものとなっています。

例えば、設計段階に対しては、リサイクルを前提に単一素材でモノづくりを行うモノマテリアル化や、リサイクルのための分別がしやすいように分解・分離が容易な設計に変えることを求めています。
また、排出・回収段階では、自治体による分別回収と併せて製造・販売事業者による自主回収・再原料化を求めています。

では、なぜプラスチックのリサイクル・再原料化が重要度を増しているのでしょうか?


一つは環境負荷軽減の側面です。石油由来の合成樹脂であるプラスチックは、重油の採掘・精製されたナフサから作られ、廃棄・焼却処分を行うまでのライフサイクル全体で、少なくない量の二酸化炭素を排出します。

対してリサイクルを行うことで、回収・再原料化に係る二酸化炭素排出量は増加するものの、重油の採掘・精製・輸送・ポリマー化等に係る二酸化炭素排出量が削減されます。
PETボトルリサイクル推進協議会によりますと、2019年度に日本で使用されている指定PETボトルの資源採掘から再使用するまでの二酸化炭素排出量は、リサイクル・再使用を行わなかった場合と比較して、約42%少なくなりました。
(出典:PETボトルリサイクル推進協議会
PETボトルのリサイクルによるCO2排出量の削減効果算定」22/5/26閲覧)

廃棄物の削減という点でも、リサイクルは有効な対策と言えます。一般社団法人プラスチック利用循環協会によると、2020年の日本国内での樹脂製品消費量は841万トンであり、そのうち822万トンが廃プラとして排出されています。
(出典:一般社団法人プラスチック利用循環協会
2020年プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況マテリアルフロー図 22/5/26閲覧)

多くはサーマルリサイクルを含めて再度使用されていますが、未利用の廃プラも112万トン(出典:同上)あり、リサイクルの推進により未利用のまま廃棄されるプラスチックを削減していくことは環境負荷軽減につながります。

もう一つの側面が、資源のサプライチェーンの短縮です。
多くのプラスチックは石油由来であり、重油の採掘からプラスチック製品の生産まで、かなり長いサプライチェーンを必要とします。
リサイクルは、そのサプライチェーンを短縮し、プラスチック製品を大量に生産・使用する事業者にとって原料の安定調達等、事業に直結する取り組みとなる可能性があります。

このように、3RやSDGs、ESG、エシカル消費といった社会や様々なステークホルダーからの要望に応えていくうえでも、リサイクルは一つの有効な対応になりえると言えます。

リサイクルには3種類ある

ここからはいくつかあるリサイクルの方法を詳しく見ていきましょう。
リサイクルは、大きく分けて①マテリアルリサイクル ②サーマルリサイクル ③ケミカルリサイクルの3つがあります。

マテリアルリサイクルとは

マテリアルリサイクルとは、廃棄物を再原料化し、再度製品に生まれ変わらせるリサイクルのことです。マテリアル(material)は英語で、「物」を意味し、文字通り「物」から「物」にリサイクルすることがマテリアルリサイクルです。 

マテリアルリサイクルの大まかな工程

  • 回収された廃棄物を分別
  • 洗浄
  • 粉砕
  • 比重差等による分離
  • フレークやペレットへ再原料化
  • シート・フィルム・成型品

 マテリアルリサイクルは、さらに水平リサイクルとカスケードリサイクルに大別することができます。

水平リサイクル

水平リサイクルとは、廃棄物となった使用済み製品を再原料化し、再び同一の製品を製造する仕組みであり、PETボトルのボトルtoボトルのリサイクルなどがあります。

日本国内でのPETボトルリサイクル率は2020年度に88.5%であり、ヨーロッパの39.6%(2019年度)、アメリカの18%(2020年度)を大きく上回っています。
(出典:PETボトル推進リサイクル協議会
リサイクルの算出」 22/5/26閲覧)

水平リサイクルは、元の使用済み製品と同じ製品に再生させることから、使用するリサイクル原料はバージン材(新品の材料)に近い物性を得る必要があります。
プラスチックは様々な種類がありますが、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)にPP(ポリプロピレン)など、違う種類のプラスチックが混ざるとバージン材と比べて物性が大きく変化したり、成型できなくなることがあります。
そのため、水平リサイクルを進めるうえでは、分別および分離の精度の高さが重要となります。

また、軟包装の分野では様々な機能を得るため複数の種類のプラスチックを組み合わせて、一つの包装材を作っています。
この場合、それぞれのプラスチックの分離が困難になり、マテリアルリサイクルの実現の障壁となるため、日用品や食品の分野では単一のプラスチックを使用して複数の機能を持たせる「モノマテリアル化」の取り組みが進められています。

カスケードサイクル

一方、カスケード(cascade)は、英語で「連続した小さな滝」を意味し、エネルギーや素材の分野において、カスケード利用・カスケードリサイクルは、原料を多段的に使用することを言います。
プラスチックのリサイクルでは、カスケードリサイクルとは元の使用製品と異なる製品に再生させること、品位の低下を伴うリサイクルのことを指します。

サーマルリサイクルとは

2つ目のリサイクルが、サーマルリサイクルです。
サーマルリサイクルは、廃棄物を焼却し、その際に得られる熱エネルギーを利用するリサイクルのことです。廃棄物の中には、汚れや異素材との複合などのため、技術的にリサイクルが困難なものがあります。
この場合、再原料化することができず、焼却の際の熱エネルギーを利用することで、リサイクルしたとみなすことにしています。
ゴミ焼却施設に隣接する温水プールでの熱利用や、RFP(Refuse derived paper and plastics densified Fuel)と言われる、マテリアルリサイクルが困難な古紙やプラスチックを原料とした固形燃料を使用する、発電や工場のボイラー稼働がそれにあたります。
ヨーロッパでは、エネルギーリカバリーと呼ばれ、リサイクルとは区別された概念となっています。

ケミカルリサイクルとは

3つ目が、廃棄物を化学合成により他の物質に転換・再利用するケミカルリサイクルです。
プラスチックのケミカルリサイクルは大きく分けて以下の5つです。

①高炉原料化
②コークス炉化学原料化
③ガス化
④油化
⑤原料・モノマー化

身近なリサイクル資源の例

このようなリサイクルは、実は私たちの身近なところでもたくさん行われています。

PETボトルのリサイクル

主に清涼飲料など液体を入れる容器として使用されているPETボトル。日本国内のPETボトル販売量は年間で55万1,200トンであり、対して市町村と事業者による回収量は53万2,900トン(回収率:96.7%)に上ります。
(出典:PETボトルリサイクル推進協議会
回収率推移」22/5/26閲覧)

これは欧米の27.7%~57.5%と比較して、圧倒的に高い回収率となっており、廃棄物を有効な資源としてリサイクルの仕組みを作ってきた日本の取り組みがいかに先進的かわかります。
回収されたPETボトルは再度PETボトルに生まれ変わるだけでなく、繊維やフィルムとなりわたしたちの身近な商品として再利用されています。

アルミのリサイクル

PETボトル同様、高いリサイクル率を誇る素材がアルミです。
日本国内のアルミ利用量は33万1,100トンと言われており、そのうち94%にあたる22万5,500トンが国内外にて再利用されています。
回収されたアルミ缶は7割以上がアルミ缶として生まれ変わり、再使用されています。
(出典:アルミ缶リサイクル協会
2020年アルミ缶の需要量と2020年度アルミ缶のリサイクル率

紙のリサイクル

わたしたちの身近な様々な商品に使用されている紙も、高いリサイクル率を実現している素材の一つです。
2021年度に日本国内で消費された紙・板紙の量は2,290万トンであり、一部は海外に輸出されているものの古、紙として回収された量は1,833万トンで、回収率は80%となります。
1970年ころの古紙回収率は約40%程度であり、この50年間で日本国内では広く使用した紙製品は古紙という原料だと認識されてきたことがわかります。
(出典:公益財団法人古紙再生促進センター
古紙回収率推移」22/5/26閲覧)

リサイクルのためにわたしたちができること

それでは、リサイクルを進めていくためにわたしたちができることとは何でしょう?

PETボトルやアルミ、紙を見てわかるようにリサイクル率が高い素材はきっちり分別され回収されています。
分別・回収するためには、使用・廃棄する人の意識を高めることが重要です。
例えば清涼飲料を飲み終えた後、PETボトルを廃棄する際にボトル本体とキャップ、シュリンクフィルムをそれぞれ分別することはとても大切です。一見プラスチックという同じ素材で作られているように見えますが、PETやPE等、異なる素材であり、分別して再資源化のフローに乗せることで質の高いリサイクルが実現します。

PETボトル以外にも使用した製品を分別し、リサイクルという循環の輪に戻す取り組みを行っていきましょう。

国際紙パルプ商事の取り組み

SHIFT ONの運営企業である、国際紙パルプ商事も、紙の総合商社として、紙・板紙の流通という動脈を担う一方、年間120万トン以上の古紙を取り扱っており、紙のリサイクルという静脈も担っています。
古紙回収業者様とのお取引はもちろん、地域やオフィスからの古紙回収システムである「タウンecomo」や「オフィスecomo」、お取引様と製紙メーカー様をつなぎ、古紙の回収・納入を可視化する「ecomo Closed Recycle Service」といったサービスを通して紙の循環に貢献しています。
また、近年は古紙回収・再原料化のノウハウを生かし、プラスチックの再原料化や水平リサイクルにも注力しています。
SHIFT ON greenでは、水平リサイクルやカスケードリサイクルなどのマテリアルリサイクルや、新たな価値を持たせた製品に生まれ変わらせるアップサイクルの仕組み作りを通してお客様の環境対応のサポートを行っています。

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