事業を最適化する紙総合商社SHIFTON
日本航空株式会社(以下JAL)では、グループのサステナビリティとして、事業活動を通じて持続可能な社会の実現を目指しています。
なかでも限られた資源を有効活用するという重要課題の解決に向けて、2025年度までに客室・ラウンジで「新規石油由来のプラスチックを全廃」、空港・貨物で「環境配慮素材へ100%変更」することを掲げています。
参照:JAL企業サイト 2021-2025年度 JALグループ中期経営計画を策定
JALグループの経営の柱の一つであるESG戦略のひとつに、環境保全への取り組みがあります。
資源などを有効利用するスキームとして、当社の提案する使用済み梱包フィルムを回収・再度資源化し活用するクローズドリサイクルを取り入れていただき、CO₂排出量削減の一貫として活用していただいています。
今回は株式会社JALメンテナンスサービスでおこなわれているクローズドリサイクルが、どのように持続可能な社会の実現に携わっているのかを解説し、企業における環境配慮への意識の持ち方もご紹介いたします。
今回は株式会社JALメンテナンスサービスの小出様、主藤様、西原様にお話を伺いました。
持続可能な社会の実現を目指す中、環境という大きな課題に対しどんな取り組みをしているか、当社のクローズドリサイクルがどのようにかかわっているかを詳しくお話しいただきました。
―事業活動を通じて持続可能な社会の実現を目指すことをグループのサステナビリティとなさっています。御社でその一つとしてクローズドリサイクルを始めるきっかけとなった経緯を教えてください。
JALグループ全体の取り組みとして、2025年までに空港・貨物にて環境配慮素材へ100%切り替えを目標に掲げています。
これはESG戦略を推進する中、環境にやさしいつながりを創造することで社会的価値を向上するという面にあたります。事業の軸である”移動”だけでなく、移動によってうまれる”つながり”も創出していくなかで、当社はグループ会社の一つとしてできる取り組みを模索していました。
その中で、部品配送・管理をおこなう際に必要となる梱包フィルムの処分に環境対応を見出せないかが課題となっていました。
このフィルムは部品の管理や配送の際に水や外傷からの保護のために使用し、部品を取り出した後は廃棄となります。また、部品1つ1つを梱包しているため、使用量に比例し廃棄となるフィルムも多くなります。
石油由来の資材であるプラスチックフィルムはそのままでは分解されることがないため、廃棄には焼却処理が必要となりその際にはCO2排出があること、リサイクルできない廃プラスチックの国際間取引は大幅な規制により経費負担がかさむといった廃棄時の課題があります。
使用から廃棄まで環境に配慮した素材に変更できないかを模索する中、KPPから加工がしやすいポリエチレンを使用し、使用・回収後に再ペレット化することで、マテリアルリサイクルが実現できることを提案して頂きました。
マテリアルリサイクルとはモノからモノへリサイクルし、再利用することです。
リサイクルするだけでなく自社で排出した廃棄物を資源に使用し、再度製品化して使用するリサイクルシステムに、既存の資材を使用する環境保全のつながりを見出したため、クローズドリサイクルの導入に至りました。
―導入した際のプロセスを教えてください
従来は種別にこだわらず集めて圧縮し廃棄していたフィルムを、現在はポリエチレンとその他プラスチック、シールのついているものなど2種類に分別して廃棄をしています。
テープやシール、色がついているものなどは利用できませんので、都度確認しながらおこなっています。
その後、月に1度程度のペースで回収され、リサイクルを経て再度フィルム資材として納品されています。
―導入したことによる変化などはありましたか?
意識というソフト面、取り組みというハード面の多面的な部分で変化があったと感じています。
まずは全社員へのリサイクルに対する意識浸透を1~2か月かけておこないました。この場合、会社として経営目標に組み込んだのはなぜか、従業員一人ひとりがやるべきことはなにか、大きな目標からの落とし込みを説明したことで納得感をもってもらえたのではと思っています
先にも述べた通り、リサイクルできない資材とは梱包の仕様でさまざまなテープや汚れが付着しているものです。
また、使用しているフィルムにはさまざまな種類が混在しているので、どのフィルムがポリエチレンなのか、ポリエチレンであっても汚れなどがないかを判別するのが、スタートしてからの課題でした。
そのため、分かりやすくするための分別促進、その後どのような製品になるかを説明したポスターをゴミ箱の近くに掲示しています。日々、分別から再製品化の流れが可視化されることで、社内でのリサイクルや分別の意識がさらに向上にすると期待しています。
従来のフィルムの一部は、エネルギーとしての利用など再利用がおこなわれていました。リサイクルの選択肢が増えたことも変化のメリットです。自ら使用した製品の再利用であるため、再生原料の安定供給が見込めます。
―当社へクローズドリサイクルを依頼した理由をお聞かせください
KPPではポリエチレン以外の再生原料の取り扱いがあり、それらを使用したリサイクルのノウハウがあることを提案していただいたため、安心して任せることができました。
また、他の資材についても紙化したいという相談に対応していただけると感じたからです。
―クローズドリサイルに対しさらに求めることはありますか
よりレベルの高いリサイクルができることを求めます。
現状、フィルムのリサイクルをおこなっていますが、ほかの素材でも同じように素材に戻し製品に使用することができれば、より環境配慮を展開できます。また素材自体がCO₂の排出を抑えたものに変更できれば、トータルでの排出量削減につながります。
―今後の環境配慮に向けての展望はございますか
航空機の燃料は石油由来であり、運航すると多くのCO₂が排出されます。
日本における温室効果ガス排出量のうちわけで、運輸は産業部門に次いで多い部門です。
また運輸部門のうち、航空機のCO2排出は5%の1054万トンを占めます。これは”事業者自らの排出”のカテゴリの中では営業用貨物車に次いで排出量が多い運輸です。(2018年)
このことからも航空業界は業界全体として温室効果ガス削減に高い意識を持って取り組んでいます。
また、企業で働く皆が一丸となって取り組むという一体感や、取り組みにより環境対応に貢献した分が形となる達成感を継続していきたいです。
参照:環境省 2018年度(平成30年度)温室効果ガス排出量
CO₂ 排出量全体
参照:環境省 運輸部門における温室効果ガス排出状況
株式会社JALメンテナンスサービス様の公式HPはこちら
http://www.jmsweb.co.jp/
豊富な素材の取り扱いや仕組み作りのノウハウを持つKPPだからこそできた事例です。
環境意識の高まりを受けて、多くの企業が再生原料の使用をはじめたり検討したりしています。
これからは再生原料を調達すること自体のハードルが高くなることも考えられ、自社で使用し廃棄する資材をもとにしたクローズドリサイクルシステムは、再生原料の確保や価格変動に対してメリットが生まれる可能性が増えてくると考えています。当社ではこれからもお客様の環境配慮の思いに沿った製品・素材・仕組みを提供していきます。
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