植物性プラスチックとは?特徴や活用事例をメリット・デメリット交えて解説
近年、プラスチックを取り巻く環境は大きく変化しています。地球温暖化や海洋汚染、資源枯渇といった課題へ...
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近年、消費者の環境意識の高まりと、機能性衣料への需要拡大が重なり、アパレル市場は大きな転換期を迎えています。
特に、サステナビリティと実用的な機能性素材を両立できる素材への期待は非常に高まっています。
本記事では、SHIFT ONが取り扱う「かみのいと OJO⁺」の特徴や機能性をご紹介しながら、昨今のアパレル業界の動向や新素材をどのように活用できるかについて詳しく解説していきます。
世界の機能性素材市場は、健康志向の高まりやアウトドア需要の増加を背景に、年率数パーセントで着実に拡大を続けています。
特に、スポーツと日常着を融合させた「アスレジャー」市場の成長は顕著であり、消費者は日常的に着用するアパレルにも、速乾性や抗菌防臭といった実用的な機能性素材を求めています。
しかし、これらの高機能を既存のポリエステルやナイロンなどの合成繊維に頼ることは、深刻な環境課題を伴います。
合成繊維は洗濯のたびにマイクロプラスチックを放出し、これが海洋生態系に甚大な影響を与えています。
また、その原料は石油由来であるため、有限な化石資源への依存という構造的な問題も抱えています。
一方で、天然繊維は環境負荷が低いものの、十分な機能性や耐久性を確保するのが難しいというジレンマが存在しています。
企業には、この機能性素材の拡大傾向に対応しつつ、同時に環境問題への対応を強化することが強く求められているのです。
こうして環境配慮と高機能の両立が求められる中、かみのいと OJO⁺が注目を集めています。
OJO⁺は、紙を原料としながらも、革新的な長繊維化技術によって、従来の紙糸の短所であった脆さや毛羽立ちやすさを克服し、衣料品に求められる快適性、耐久性、そして高い環境性能を同時に実現しています。
ここでは、日常使いが可能なレベルの強度と肌触りの良さを両立したこのOJO⁺の特殊な機能について解説していきます。
OJO⁺が環境配慮型の天然繊維として注目される要因として、その原料が挙げられます。
主原料であるマニラ麻は、化学肥料や農薬を使用しない環境にやさしい植物で、木に比べて生育速度がはやく苗を植えてからおよそ3年で原料となります。
さらに二酸化炭素の吸収にも優れ、糸を焼却しても有害物質が発生しません。
この高い環境性能は、環境配慮を重視する消費者層への強力な訴求点となり、環境マーケティングの基盤を強化します。
さらに、この環境性能に加えて、後述する特殊な機能性を備えているため、OJO⁺はサステナブルと快適性の両立を求める市場のニーズに応えることができます。
OJO⁺の最大の特徴は、天然由来でありながら高機能性を発揮する点です。
特に、通気性・吸水性・抗菌性という特殊な機能を持つ繊維として、その優位性が際立ちます。
この機能性の秘密は、OJO⁺の原料である紙糸が元々持つ多孔質な構造にあります。
紙を細く裁断し、撚り合わせて糸にするプロセスを経ることで、繊維の内部に微細な空洞や隙間が多く形成されます。
この構造がスポンジのように機能することで、汗などの水分を素早く吸水し、微細な空洞を通じて効率的に繊維の外へ水蒸気を放散することで高い通気性を確保します。
一般的な綿素材と比較して、OJO⁺は体感として約30〜40%速く乾燥するというデータもあり、ムレやベタつきを軽減し、着用時の快適性が飛躍的に向上します。
さらに、紙由来の繊維は一般的な合成繊維と異なり、弱酸性という特性を持っています。これにより、人間の肌にとって快適な環境を維持しつつ、汗などの水分を栄養源として増殖する雑菌の生育を抑制する天然の抗菌性を持つことが確認されており、化学的な抗菌加工に頼らない衛生的な繊維として、肌着やスポーツウェアといった衛生面が重視される製品への応用が期待されています。
OJO⁺は、単なる紙糸ではなく、独自の技術によって長繊維化されている点に真の革新性があります。
繊維には長繊維と短繊維が存在し、連続した長さを持つものを長繊維、羊毛やコットンなどの綿状の短さのものを短繊維と呼びます。
短繊維は繊維を束ねながら長い糸に紡ぎ整えるため毛羽が立ち、やわらかく崇立性が出ます。
長繊維は、繊維が何本も重なっていることで、なめらかさと光沢が生まれます。
天然由来の長繊維は動物性である絹のみですが、OJO⁺は植物性の短繊維を原料として紙をつくり、それをもとに製糸することで長繊維化した紙糸繊維となります。
そのため、OJO⁺はなめらかで強度のある長繊維の良さと、空気を含み保湿性をもつ短繊維の良さを併せ持つ加工糸といえます。
OJO⁺の活用は、企業の製品ラインナップに高付加価値をもたらし、競争が激化するアパレル市場における差別化を実現する鍵となります。
特に、環境への配慮と革新的な機能性素材を同時に訴求できる点は、現代の消費者とのエンゲージメントを高める上で決定的な要因となるでしょう。
高機能な素材としてのOJO⁺は、その特徴から多岐にわたる被服への応用が可能です。
例えば、夏の暑い時期には高い吸水速乾性と通気性を活かしたTシャツやポロシャツ、冷感インナーとして、冬には抗菌性と速乾性を活かしたインナーや靴下など、オールシーズンでの展開が可能です。
さらに、OJO⁺が持つ紙特有のシャリ感は、肌離れの良さという独自の着心地を提供します。
この自然なハリ感は、特に高温多湿な日本の気候において、着用時に爽快な接触冷感をもたらし、従来の素材では実現できなかった新しい感触の製品開発に繋がります。
市場の反応としては、単に安価な製品を求める層だけでなく、サステナブル志向の消費者層(ミレニアル世代、Z世代)が、製品の背景にあるストーリー性や倫理的な生産プロセスを重視するため、高い評価が予測されます。
OJO⁺を導入することで、貴社ブランドのアパレル製品は、単なる機能訴求を超えて、「地球環境に配慮した選択」というストーリー性を顧客に提供し、ブランドへの信頼とエンゲージメントを深めることができます。
OJO⁺を機能性素材として用いた服の一覧を見ると、その汎用性の高さが理解できます。
既に市場では、以下のカテゴリでの具体的な展開が始まっており、その採用範囲は拡大し続けています。
製品カテゴリ | OJO⁺が提供する主要機能 | ターゲット層 | OJO⁺の付加価値 |
---|---|---|---|
Tシャツ/カットソー | 吸水速乾性、通気性、軽さ | 日常、ライトスポーツ、旅行 | 圧倒的な軽さとドライ感、サステナブル認証 |
インナーウェア/靴下 | 優れた抗菌性、ムレの軽減 | 衛生意識の高い層、ビジネスパーソン | 天然由来の防臭効果、肌への優しさ |
スポーツウェア | 高い吸水性と速乾性、ストレッチ性(混紡) | トレーニング愛好家、アウトドア | 汗冷え防止、環境に配慮したパフォーマンス素材 |
パジャマ/リラックスウェア | 肌触りの良さ、吸湿性、シャリ感 | 快適な睡眠を求める層 | 寝具内の湿度コントロール、非化学的な快適性 |
アウター裏地/中間着 | 軽さ、通気性、抗菌性 | ビジネス、アウトドア、トラベル | 重量削減、衣類の衛生保持、自然な肌触り |
これらの製品カテゴリにおいて、OJO⁺は「着ていることを忘れるような軽さ」や「汗をかいてもすぐに乾く爽快感」といった、具体的なベネフィットを消費者に提供することで、製品の付加価値を高めます。
さらに、他の天然繊維(オーガニックコットン、ウールなど)や再生ポリエステルとの混紡によって、OJO⁺の機能を補完しつつ、独自の風合いや強度を設計することも可能です。
本記事で解説したように、紙から生まれた長繊維OJO⁺は、現代のアパレル市場が抱える「サステナビリティと高機能性の両立」という大きな課題に対する具体的かつ実行可能な回答です。
OJO⁺は、優れた通気性・吸水性・抗菌性という実用的な機能性素材の側面と、環境負荷の低い天然素材由来というサステナブルな側面を兼ね備えることで、機能性繊維の新たな選択肢として確立されつつあります。
さらにSHIFT ONでは、製品寿命を終えた衣料品を回収し、再び繊維や紙の原料として活用する「衣類リサイクルのシステム」の構築などもご提案可能です。
持続可能なアパレルの未来に向けて一歩を踏み出したい方は、ぜひ一度SHIFTONにご相談ください。
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