紙パッケージとは?メリット・デメリットや食品用の紙パッケージの現状について解説

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現在、持続可能な循環型社会を作るために、国を挙げて容器包装の3R(リデュース・リユース・リサイクル)が推進されています。
環境配慮型の取り組みが求められる中、食品や日用品の包装において注目を集めているのが「紙パッケージ」です。

特に食料品メーカーや飲食・コンビニ業界では、プラスチックに代わる選択肢として導入が進められています。
本記事では、紙パッケージの種類や特徴、食品用パッケージの現状に加え、導入支援が可能なSHIFT ONのサービスまで、実例を交えて解説します。

脱プラスチックパッケージへ
環境に優しいパッケージとは

  • なぜ環境対応が求められているのか?
  • プラスチックごみの現状
  • プラスチックパッケージの例
  • 環境に配慮したパッケージ素材の例
目次

紙パッケージとは

紙パッケージとは、ダンボールや紙箱、紙パックなどの紙素材で構成された包装・容器の総称です。
業界では「紙器(しき)」とも呼ばれ、プラスチックに代わる資材として注目されています。

紙パッケージの種類

紙パッケージは用途に応じてさまざまな形状があり、それぞれに特徴と適した使い方があります。
以下に主な種類とその特徴を紹介します。

種類 特徴 主な用途
段ボール 波形の中芯と平らな紙(ライナー)を貼り合わせて強度を高めた包装材 外装用の包装
紙箱 薄く軽量で、印刷や形状加工に適している 食品や日用品のパッケージ
紙パック 防水加工が施された紙容器 牛乳やジュースなどの飲料容器
紙トレー 耐水・耐油性に優れた紙製容器 テイクアウトや惣菜のパッケージ

紙パッケージに適した素材

紙パッケージに使用される紙素材にも複数の種類があり、それぞれ特性が異なります。
以下に代表的な紙素材と特徴をまとめました。

種類 特徴 主な用途
コートボール 表面にコート剤が塗布され白く、裏面がグレーの厚紙。印刷適性が高く、広い用途で使用される。 菓子箱、薬品箱など多用途
コートカード 両面白色でコーティングされ、裏面印刷にも対応。古紙含有率が高く環境面でも評価される。 パッケージ全般。
※カードA(40%以上)、カードB(60%以上)
クラフトボール 再生紙を使用した茶色の厚紙。ナチュラルな質感と高い強度が特徴。 簡易パッケージ、自然派商品の包装
チップボール 再生紙で作られた厚紙。コーティングがなく印刷には不向きだが、コスト面で優れる。 緩衝材や内装用途、価格重視の包装

身近にある紙パッケージ事例

紙パッケージは「脱プラスチック」の流れの中で導入が進んでおり、さまざまな企業が取り組みを始めています。
たとえば、味の素株式会社は「味の素」の包装を紙に変更し、2020年度比でプラスチック使用量を約34%削減しました。

また、moani organicsでは、日焼け止め化粧下地に紙製パッケージを採用し、プラスチック使用率を約58%削減しています。

さらに、パナソニックエナジー株式会社は乾電池の包装を紙製の「エシカルパッケージ」に変更。
包装材使用量を約38%〜59%削減することに成功しています。
このように、紙パッケージの導入は食品業界を中心に、今後さらに拡大していくと見られます。

紙パッケージのメリット

紙パッケージは環境への配慮だけでなく、デザイン性や企業価値の向上など、多方面でのメリットがあります。
ここでは、紙パッケージを採用する主なメリットを解説します。

環境に優しい

紙パッケージのメリットは、環境負荷の低さにあります。
再生紙や持続可能な森林資源から作られた紙を使用することで、カーボンニュートラルの実現が期待できます。

また、紙は自然分解されやすく、リサイクルも容易です。
プラスチックに代わる素材として、廃棄物削減や海洋汚染の防止にもつながります。

印刷適性が高い

紙は印刷適性に優れており、自由度の高いデザインが実現できます。
カラー・モノクロを問わず鮮明な印刷ができるため、商品のブランディングの強化にも貢献します。

デジタルプリント技術を活用すれば、小ロット生産にも対応でき、グラビア印刷よりコストを抑えつつ柔軟なパッケージ制作が可能です。

企業イメージの向上につながる

SDGsの浸透や消費者の環境意識の高まりを受けて、紙パッケージの採用は「脱プラスチック」の取り組みとして企業の社会的評価を高めるメリットがあります。
エコに配慮する姿勢は、環境の意識が高いとしてイメージ向上につながり、企業が果たすべき社会的責任にも通じます。

また、容器包装リサイクル法への対応により、認証マークの取得が可能になれば、消費者からの信頼性も向上します。

紙パッケージのデメリット

このように紙パッケージには、環境面や企業イメージにおいて多くのメリットがあります。
一方で、素材の特性やコスト面での課題も存在します。

導入時には次のような点に注意しましょう。

耐久性・耐水性の低さ

加工していない紙素材は、プラスチックに比べて強度や耐水性が低く、湿気や水濡れによって変形・破損する恐れがあります。
そのため、内容物の品質保持に影響を与える可能性も否定できません。

さらに、紙素材は衝撃にも弱く、輸送や保管の際に中身が崩れたり破損したりするリスクがあるため、取り扱いには注意が必要です。
特に、水分や油分を含む食品を包装する場合は、品質を維持するためにコーティング処理が求められることもあります。

とはいえ、近年では、耐水加工や多層構造など技術の進歩により、紙素材の弱点を補う製品も増えてきています。

コストと加工の制約

紙素材は、大量生産が可能なプラスチックに比べて、一般的に単価が高くなる傾向があります。
強度や防水性を確保するために追加の加工が必要となることも多く、コストがかさむ場合もあるでしょう。

素材の種類によっては形状加工や印刷の自由度に制限が生じることがあり、デザインや機能面での工夫が求められます。
ただ、環境負荷の低減やブランド価値の向上といった長期的な視点では、コスト以上の価値をもたらすことも珍しくありません。

リサイクル性に関する誤解

紙はリサイクルしやすい素材ですが、すべての紙パッケージが再資源化できるわけではありません。
防水・防油目的で施されるコーティングやラミネート加工により、リサイクル対象外となることがあります。

不適切な分別や廃棄方法で処分されてしまうリスクを減らすため、消費者に誤解を与えないよう、適切な表示と情報提供が求められます。

食品用の紙パッケージについて

包装方法について環境への配慮が求められる中、食品業界でも紙パッケージの導入が進んでいます。
ここでは、食品向け紙パッケージの現状や適した素材、導入にあたっての課題について解説します。

食品用の紙パッケージの現状

食品用パッケージは、商品を直接包む一次包装と、輸送や販売のための二次包装に大きく分けられます。
現在、環境負荷の軽減を目的に紙素材の導入が進んでいるものの、主に切り替えが進んでいるのは二次包装やそれ以上の外装です。
一次包装には食品の安全性や保存性が強く求められるため、紙化には依然として技術的な課題が残っています。

しかし、近年は国内で脱プラスチックと紙化の動きが加速しています。
海外でも海洋汚染対策の一環として、使い捨てプラスチックの規制が強化され、紙パッケージへの移行が進んでいる状況です。

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食品用の紙パッケージに適した種類

食品に使用される紙パッケージには、「食品対応紙」を用いるのが一般的です。

例えば、ファストフードの持ち帰り容器には、折りたたみやすく、耐水・耐油性に優れた紙素材が使用されます。
また、電子レンジ対応が必要なお弁当などには、耐熱性を備えた紙パッケージが求められます。

このように、使用状況に応じて適切な素材を選択することが重要です。

食品用に紙パッケージを使う際の課題

食品用の包装資材には、内容物の品質を保つためにさまざまな条件が求められます。
たとえば、「化学的・物理的な安定性」や「十分な強度」、「酸素や水蒸気を遮断するバリア性」などです。

条件を満たすために、無菌包装や加熱殺菌といった技術が用いられることもあります。
微生物による汚染を防ぎ、食品の安全性と保存性を確保できるようになるのです。

紙素材の包装は環境負荷が低いという利点がありますが、強度や耐湿性の面では課題もあります。
内容物の性質や保存条件に応じて、補強やコーティングなどの工夫が大切です。

紙パッケージのご相談はKPPへ

環境に配慮した紙パッケージへの切り替えを検討していても、「どこに相談すればいいかわからない」と悩む企業も少なくありません。

紙パッケージに関するご相談は、SHIFT ONにお任せください。
SHIFT ONは素材の選定から試作・検証まで一貫して対応でき、豊富な知見とネットワークで紙パッケージの開発をサポートします。

試作・開発から検証まで丁寧なサポート

パッケージを紙に切り替える際には、強度や印刷のしやすさ、リサイクル性など、いくつもの視点からバランスよく検討する必要があります。

SHIFT ONは素材の選定から形状の提案、試作・評価・検証まで、各段階で丁寧にサポートします。
紙素材に関する長年の知見と、連携企業とのネットワークを活かし、目的や条件に応じた最適なプランをご提案します。

実際に、「プラスチックから紙へ切り替えたいけれど、どこから手をつけていいか分からない」といったお声を受けて対応した事例も多く、さまざまな業種のニーズに柔軟に対応してきました。

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グローバルネットワークを通じた素材の調達

KPPは、連結対象企業100社、45カ国・133都市・150拠点(2021年3月末時点)に広がるグローバルネットワークを活かし、世界中から最適な紙素材を調達できる体制を整えています。

国内では手に入りにくい特殊な素材や、海外で開発された最新素材にも対応可能です。
コスト、品質、環境性能を総合的に比較しながら、案件ごとに最適な素材をご提案します。

海外からの調達にも柔軟に対応できるSHIFT ONだからこそ、紙パッケージの選択肢を大きく広げることができます。

よりリサイクル適性の高い素材の提案も可能

包装の「紙化」は、環境負荷を減らすだけでなく、企業の利益につなげることも可能です。たとえば、リサイクルを前提とした素材設計や表面加工の工夫によって、再資源化の仕組みを構築できます。

SHIFT ONでは、リサイクル適性の高い紙素材を活用し、使用済みの紙コップを別製品に再利用することで、環境配慮と収益性を両立した事例もあります。

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環境に優しい紙パッケージを積極的に活用していこう

環境負荷の低減が社会的な要請となる中、紙パッケージの導入は企業価値の向上にも直結するポイントです。
食品やテイクアウト容器における紙パッケージの実装には課題もありますが、適切な素材選定と検証を重ねることで、安全性と環境配慮を両立させることが可能です。

SHIFT ONでは、素材選定から試作、再資源化まで一貫してサポートします。
紙パッケージの導入をご検討の際は、まずはお気軽にお問い合わせください。

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