食品用耐油紙の選び方ガイド PFAS規制と安全な代替品、環境対応まで解説

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食品用耐油紙とは?私たちの食生活に欠かせない理由

私たちの食卓やテイクアウトシーンで、揚げ物やパン、お菓子などを美味しく、そして清潔に楽しむために欠かせないアイテム、それが「耐油紙」です。ハンバーガーの包み紙、ドーナツの下に敷かれる紙、ケーキを彩るグラシンカップなど、意識してみると多くの食品包装に耐油紙が使われていることに気づくでしょう。

この記事では、そんな身近な存在である食品用耐油紙について、その基本的な役割や種類から、近年大きな関心を集めているPFAS(有機フッ素化合物)規制の動向、そして私たちが安心して使用できる安全な耐油紙の選び方、さらには環境に配慮した企業の取り組み事例まで、専門的な視点も交えながら解説します。

「最近よく聞くPFASって何?」「クッキングシートと耐油紙ってどう違うの?」「安全な耐油紙を選びたいけど、どうすればいいの?」といった疑問をお持ちの方は、ぜひ最後までお読みください。

飲食業の方必見
PFASフリー耐油紙のご紹介

  • PFASについて各国の事例を紹介
  • 弊社でのPFASフリー耐油紙の対応事例
  • PFASフリー耐油紙のラインアップ例
目次

食品用耐油紙の基本をチェック 役割と主な用途

まずは、食品用耐油紙がどのようなもので、なぜ私たちの食生活に必要とされているのか、基本的な情報から見ていきましょう。

食品用耐油紙の主な役割と特性

耐油紙の最大の役割は、その名の通り「油を通しにくい」ことです。食品に含まれる油分が紙に染み出して手が汚れたり、他のものに油が付着したりするのを防ぎます。これにより、食品の見た目の美しさを保ち、衛生的に持ち運んだり食べたりすることができます。

主な特性としては、

製品によっては、これに加えて耐水性や耐熱性を備えているものもあります。

こんなところで活躍 食品用耐油紙の具体的な用途

耐油紙は、その優れた特性を活かして、私たちの食生活の様々なシーンで活躍しています。

耐油紙にも色々ある?薄手から厚紙タイプまで

一般的に耐油紙と聞くと薄いシート状のものを想像するかもしれませんが、実は用途に応じて様々な厚さや形状のものが存在します。

違いはなに?耐油紙と関連製品を徹底比較

食品用耐油紙とよく似た製品や、特殊な加工が施されたものについて、その違いや特徴を詳しく見ていきましょう。

「耐油紙」と「クッキングシート」は何が違う?

キッチンでよく使われるクッキングシート(オーブンシート、ベーキングシートとも呼ばれます)も油を通しにくい性質を持っていますが、一般的な食品包装用の耐油紙とは主な用途や機能が異なります。

食品用耐油紙
クッキングシート


つまり、クッキングシートは「調理」に特化した高機能な耐油紙の一種と言えます。すべての耐油紙がオーブン調理に対応しているわけではないので、用途に合わせて正しく使い分けることが大切です。

注目の「シリコン加工耐油紙」とは?

シリコン加工耐油紙は、耐油性のある紙の表面にシリコーン樹脂を薄くコーティングしたものです。この加工により、以下のような優れた機能が加わります。

製品によっては、基材となる紙自体を高密度化することで耐油性を持たせ、別途「耐油剤」を使用していないノンシリコンタイプを謳うものもあります。

どうやって作られる?耐油紙の製造方法の概要

耐油紙の耐油性は、主に以下のようないずれか、または複数の技術を組み合わせて実現されています。

近年では、環境負荷や安全性への配慮から、PFASを使用しない非フッ素系の薬剤や、新たなコーティング技術の開発が進んでいます。

食品用耐油紙とPFAS(有機フッ素化合物)問題 – 安全な製品を選ぶために

ここ数年、環境汚染や健康への影響が世界的に懸念されている化学物質群「PFAS」。食品包装材にも使用されていることもあり、水などに含まれているなど大きな社会問題となっています。ここでは、PFASとは何か、なぜ問題視されているのか、そして現在の規制状況について詳しく解説します。

PFAS(有機フッ素化合物)とは?

PFASは「ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物」の総称で、自然界で分解されにくく、環境中に長く残留しやすい性質から「フォーエバーケミカル(永遠の化学物質)」とも呼ばれています。PFASには数千種類以上の物質が存在すると言われています。

その撥水性・撥油性、熱や化学薬品に対する安定性といった優れた特性から、過去数十年にわたり、調理器具のコーティング、衣類の防水加工、泡消火剤、そして食品包装材の耐油加工など、非常に幅広い用途で利用されてきました。

なぜPFASは問題視されるのか?

PFASの広範な使用が問題視される主な理由は以下の通りです。

特に、PFASの中でもPFOA(ペルフルオロオクタン酸)とPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)は、その有害性が早くから認識されています。

食品包装におけるPFASの現状と規制動向

かつては、耐油紙の耐油性を高めるためにPFAS(特にPFOAなど)が使用されていましたが、そのリスクが明らかになるにつれて、世界的に規制が強化されています。

日本の対応

弊社事例で見る PFASフリー耐油紙への移行と今後の展望

PFAS規制が国内外で強化されるなか、食品包装業界においてもフッ素樹脂を使用しない製品への関心が高まっています。実際に、多くの企業が環境負荷削減と消費者の安全志向に応えるため、PFASフリーの包装資材への切り替えを検討・実施しています。

大手飲食店における非フッ素耐油紙導入事例

グローバルな大手コーヒーチェーンでは、米国のPFAS規制強化を受け、日本でも包装紙をフッ素不使用の機能紙へ変更することを検討しました。同社はテイクアウト用の袋に耐油紙を使用しており、食品に直接触れるためフッ素不使用素材への転換が課題でした。

そこで弊社にて提案したのが、表面に特殊な耐油層を形成する非フッ素耐油紙です。この紙は以下の特性を示しました。

導入後、店舗では従来品同様に使用でき、顧客からのクレームもなく満足いただけているようです。

ノンフッ素耐油紙の多様な用途と将来性

ノンフッ素耐油紙は、油分を多く含む揚げ物や洋菓子などの包装を中心に、敷き紙、製袋、内側へのコーティングなど、最終製品の形状に合わせて自在に成形できるため、幅広いシーンでの活用が期待されます。ポリラミネート紙からの置き換えは、プラスチック削減にも大きく貢献します。

PFASの全てが直ちに危険というわけではありませんが、特定のPFAS(PFOS、PFOA、PFHxSなど)は分解されにくく、環境や人体に蓄積しやすい性質を持つため、海外では規制が進んでいます。日本でもこの動きは今後さらに加速すると考えられます。

企業がいち早くPFASフリーの素材に対応することは、環境配慮の取り組みとして社会的な評価を高めるとともに、規制強化への先手を打つことにも繋がります。

既存製品の機能を損なわずに環境対応素材へ置き換えることは、大規模な設備投資を伴う対策と比較して、比較的取り組みやすい環境対応と言えるでしょう。

今後は、テイクアウト用途に加え、スーパーやコンビニエンスストアで陳列される惣菜の包装や、食品製造工場で使用される包装資材などへの展開も期待されています。

このような具体的な事例は、PFAS規制という課題に対し、代替素材がいかに有効な解決策となり得るかを示しています。

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PFAS規制強化を受けて

PFAS規制が強化されるなか、実際にお客様からもフッ素樹脂不使用の製品を使用したいとのご相談をいただきます...



より詳しい情報や、貴社製品に最適な環境対応素材のご提案につきましては、お気軽にお問い合わせください。
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PFASフリー耐油紙のご紹介

  • PFASについて各国の事例を紹介
  • 弊社でのPFASフリー耐油紙の対応事例
  • PFASフリー耐油紙のラインアップ例


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