使用済み資材を資源として有効活用!「クローズドリサイクル事例集」の資料を公開しました
脱炭素社会および循環型社会の実現に向けた国際的な取り組みが加速する中、国内でも資源循環促進法をはじめ...
事業を最適化する紙総合商社SHIFTON
印刷物の制作現場では、紙くずやインキ、薬品、パレット類など多様な廃棄物が発生しており、適切な処理や再利用が求められています。
なかでも紙は資源として再活用しやすい一方、素材や加工方法によってリサイクルのしやすさに差が出るため、設計段階からの工夫が不可欠です。
本記事では、印刷物におけるリサイクルの現状と課題、再資源化しやすい印刷物の特徴、KPPが提供するクローズドリサイクルの事例について紹介します。
印刷物の制作現場では、紙くずだけでなく、インキや薬品、パレットなど多様な廃棄物が発生します。
適切な処理やリサイクルのためには、それぞれの特性理解が重要です。
印刷物の制作工程では、さまざまな産業廃棄物が発生します。具体的な分類は以下のとおりです。
特に廃油・廃酸・廃アルカリなどが「特別管理産業廃棄物」に該当する場合や、水銀・アスベスト・感染性のある物質などが含まれる場合は、より厳重な処分が必要となります。
さらに、印刷業界で発生する紙くずと、一般のオフィスなどで出るコピー用紙の紙くずとでは、分別方法が異なる点にも注意が必要です。
令和5年度のデータによると、印刷業界における産業廃棄物の排出量は年間で約460千トンとされています。
日本全体の産業廃棄物(約365,044千トン)に比べればわずかな割合に見えるものの、特定の業界としては無視できない規模です。
参考:環境省|令和6年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和5年度速報値(概要版)
印刷物の多くは紙が原料です。
資源の有効活用と廃棄物削減の観点から、古紙の回収と再利用は印刷業界においても重要な取り組みとなっています。
日本は世界的に見ても古紙のリサイクルが進んでいる国です。
2024年度のデータによると、古紙回収率は81.7%、古紙利用率は66.6%といずれも高い水準です。
1970年時点と比較すると、回収率・利用率ともに2倍近く向上しており、長年にわたる取り組みの成果がうかがえます。
現在、日本で回収された古紙のうち約20%は海外に輸出されています。
例えば、製紙産業が成長している東南アジアの国々や、紙をエネルギー源として活用する欧米諸国などです。
このようにすべての古紙を国内でリサイクルできているわけではないため、国内で古紙を回収し、再利用する仕組みをより強化していく必要があります。
回収された古紙や紙くずは、性質や用途に応じて再生処理されます。
新聞紙やチラシなどに使われる紙は、比較的インクの除去が容易であるため、印刷用紙として再生されることが多くなっています。
一方、インクの付着が多い印刷物や塗工紙・厚紙などは、厚紙や段ボールといった板紙へとリサイクルされます。
使用済みのコピー用紙など、オフィスから発生する古紙は、トイレットペーパーやティッシュペーパー、紙パック製品や卵パックなど、日用品として再生利用される例もあります。
印刷物のリサイクルは、限りある資源を守り、環境負荷を減らすために欠かせない取り組みです。
ここではリサイクルの必要性と、国が掲げる目標について解説します。
紙のリサイクルには、環境保全と経済的な側面の両方から高い意義があります。
主な理由は、以下の3点です。
紙の原料となる木材の消費を抑えることで、森林伐採による生態系への影響を軽減できます。
焼却や埋立処分にかかるコストや環境負荷を削減できることも、リサイクルの大きなメリットです。
資源循環の仕組みを整えることは、持続可能な社会の実現に不可欠です。
日本だけでなく世界全体が協力して取り組むべき課題として、紙のリサイクルは今後ますます重要性を増していくと考えられます。
日本では国の「資源有効利用促進法」に基づき、古紙利用率の向上が掲げられています。
2025年までに古紙利用率を65%台に引き上げる目標が設定されており、達成に向けた取り組みが各業界で進められています。
とくに重要視されているのが、印刷・情報用紙分野での古紙利用率の向上です。
今まで再利用が難しいとされてきた塗工紙や特殊加工が施された紙についても、技術の進歩や素材選定の工夫によって、再生利用の可能性が広がりつつあります。
業界団体である一般社団法人日本印刷産業連合会では、「古紙リサイクル適性ランクリスト」を策定し、印刷物のリサイクル適性を分類・明示しています。
リストの活用により、再生しやすい印刷物の普及を後押しし、古紙利用率の向上が期待されています。
紙のリサイクルを進めるうえでは、素材そのもののリサイクル適性を見極めることが大切です。
指標となる「古紙リサイクル適正ランク」と印刷物のタイプについて解説します。
古紙リサイクル適正ランクとは、印刷物がリサイクル工程に与える影響度に応じて、再生しやすさを4段階に分類した指標です。
分類は以下のとおりです。
使用するインキや加工の有無によって、リサイクルのしやすさに大きな差が生まれます。
印刷物のリサイクル適性は、使用する素材や加工の内容によって大きく異なります。
リサイクル工程に与える影響の度合いに応じて、印刷物はA〜Dのランクに分類されています。
ここでは、リサイクルに適しているとされる「適正A」と「適正B」の具体例を紹介します。
適正Aに分類される印刷物は、紙や板紙への再生において支障がないとされるものです。
再生紙としての品質を維持できるため、印刷用紙としての再利用も可能です。
例としては以下のようなものが挙げられます。
リサイクル工程においてインク除去が容易であり、再び白色度の高い紙として利用できる可能性が高くなります。
適正Bは紙としての再生には適さないものの、板紙(段ボールなど)としてのリサイクルが可能な印刷物です。
塗工紙や加工紙の多くがこのランクに含まれます。
主な例は以下の通りです。
白色度の高い印刷用紙として再生するには適していませんが、厚みのある板紙へのリサイクルには活用されています。
加工の程度や印刷面積が多いほど、適正ランクは下がる傾向にあります。
リサイクル対応型印刷物を実現するためには、紙の選定や印刷加工の仕様を企画・設計段階から検討することが重要です。
長年にわたり紙の流通やリサイクルに携わってきたKPPは、豊富な知見や国内外のネットワークを活かし、企業ごとの課題に対して適切なリサイクルシステムの構築を支援しています。
その一環として、リサイクル適性の高い用紙の提案や設計支援、さらには印刷物の回収から再生までを一貫してサポートする「クローズドリサイクル」にも対応しています。
特に、塗工紙や加工紙の取り扱いには一手間かかるケースもありますが、KPPではその特性を踏まえた提案や相談が可能です。
循環型社会の実現に向け、素材選びから回収スキームまでを総合的にサポートしています。
お客様から排出された廃棄物を、再度お客様が使用する製品に戻し再納入する、クローズドリサイクルとしておこなっています。...
クローズドリサイクルとは、使用済みの印刷物や段ボールなどを回収・再原料化し、再び同じ企業が製品として利用する仕組みです。
資源を国内で、さらには排出事業者内で循環させることを重視しており、資源循環率の向上や古紙の海外輸出に依存しない持続可能なリサイクル体制の構築にも貢献します。
KPPでは、段ボールをはじめとする紙製品を対象に、導入のハードルを下げた実用的なソリューションを提供しています。
ここではKPPのクローズドリサイクルの特長をご紹介していきます。
クローズドリサイクルを導入する際には、特別な設備や機材を新たに用意する必要はありません。
導入前には排出場所や量、仕入先や回収業者の状況などを丁寧にヒアリングし、企業ごとの実態に即したリサイクルフローを設計します。
現在の資材回収業者や物流スキームを活用できるため、初期投資や業務変更の負担を抑えて取り組めます。
特に段ボールや紙製品については、KPPが構築した全国ネットワークを通じて、既存の流通にスムーズにリサイクル工程を組み込むことが可能です。
KPPのクローズドリサイクルでは、資源として再活用する段階での品質管理を重視しています。
たとえば段ボールや紙資材については、回収時点での汚れや異物混入の有無をチェックし、リサイクルに適した素材だけを選別・加工しています。
表面に特殊な加工が施されたものや、水分を多く含んだものについては、別のフローで対応する柔軟性も備えています。
また、KPPでは古紙の回収から原料化、製紙メーカーへの納品までを一元的に管理できる体制を整えており、安定した再生紙の品質の確保が可能です。
これは長年にわたり築いてきた製紙メーカーとの信頼関係と、KPPが培ってきた紙の品質に関する専門的な知見、そして厳格な管理基準があってこそ実現できるものです。
クローズドリサイクルの導入により、使用済み資材がどれくらい再資源化されたか「見える化」が可能です。
KPPでは、排出量や回収量、再利用された原料の数量などを定期的にデータとして管理・報告できる仕組みを提供しています。
この数値データは、社内での環境目標の進捗管理に役立つほか、ESG情報開示やサステナビリティ報告書など、対外的な説明責任を果たす際にも活用できます。
「資源をどのように循環させているか」を定量的に把握できる点は、これからの企業活動において大きな価値となります。
クローズドリサイクルの導入は、単なる環境対策にとどまらず、企業価値やブランド力の向上にもつながります。
サステナビリティや脱炭素社会への関心が高まる中、取引先や顧客からは「環境に配慮した企業」としての評価が高まるでしょう。
また、従業員の意識改革や社内のESG意識の醸成にもつながり、企業全体の姿勢として好印象を与えるきっかけになります。
自社で使用した紙製品や段ボールを再資源化し、自社製品に再利用する取り組みは、環境への真摯な姿勢を示すものであり、他社との差別化にも効果を発揮します。
教育関連事業を展開するGakkenでは、使用済みの印刷物や梱包資材をKPPのクローズドリサイクルで回収・再原料化し、自社製品として再利用する仕組みを導入しました。
全国の複数拠点から排出される資源を一元的に管理することで、廃棄物削減とリサイクル実績の可視化の両方を実現しています。
ESGへの取り組みとして社内外から高く評価され、ブランド価値の向上にもつながっています。
導入にあたっては、排出場所や回収ルートを丁寧にヒアリングし、現在も安定した運用が続けられています。
書店などから返品された本や回収した段ボール古紙を再資源化して新たな商品の資材に再生する取り組みを始めました。...
印刷物の制作過程では、多様な産業廃棄物が発生しますが、素材の選定やリサイクル方法を見直すことで、廃棄物の削減と資源の有効活用が可能です。
KPPでは、素材の提案からクローズドリサイクルの導入まで、企業のニーズに応じたリサイクルシステムを提案しています。
印刷物に限らず、段ボールや梱包資材など、さまざまな紙資源のリサイクルにも対応可能です。
まずは、下記より資料をダウンロードしてみてください。リサイクルに関するお悩みにつきましても、ぜひお気軽にご相談ください。
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