人工芝のマイクロプラスチック問題を解決する紙製人工芝|施設管理者が知るべき対策と素材選定の最新動向

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公園や商業施設、イベント空間など、人工芝の採用シーンは年々広がっています。
一方で、人工芝に由来するマイクロプラスチックの流出は環境分野の大きな課題として指摘されており、商業施設や公共機関の施設管理担当者にとって無視できないテーマです。

本記事では、人工芝とマイクロプラスチックの関係を整理したうえで、行政・業界がどのように向き合っているのかを解説します。
そのうえで、既存の流出対策の限界と、「素材そのものを見直す」という新たな選択肢である紙製人工芝の特徴、2026年4月にリリースされる屋外向け新製品について紹介します。

生分解性オーガニック素材
紙製 人工芝 OJO⁺

  • 紙から生まれたサステナブルな素材
  • OJO⁺ 製造工程
  • 原料のマニラ麻について
  • OJO⁺の機能性など

目次

そもそも人工芝とは


構造と使用されている一般的な素材

人工芝とはポリエチレンやナイロンなどの合成樹脂製を用いて芝生に似せたもので、下地とパイルで構成されます。
パイルとは芝の葉を模した部分のことを指します。

スポーツ施設のコートや学校のグラウンド、バルコニーやベランダなど大型施設から家庭まで幅広い場所で使用されています。

人工芝の材質は用途に応じて異なり、屋外スポーツ向けでは充填材としてゴムチップや珪砂が併用されるなど、構成パーツごとに素材の組み合わせが変わるのも特徴です。

メリット

施工場所の範囲が広いことや、水やりなどの生育のためのメンテナンスが必要ないこと、鮮やかな空間が年間通して楽しめることなどが挙げられます。
耐久性にも優れることから、天然芝に比べ経済的な面があります。

デメリット

1平米あたり約500~6,000円と価格に幅があり、初期費用が高額であること、永久的な使用ができないことなどが挙げられます。
ある程度のメンテナンスは必要であり、怠った際には劣化が早くなり、マイクロプラスチックを生み出すことに加担してしまいます。

※マイクロプラスチックとは微細なプラスチックごみの総称。主に5ミリメートル以下のものを指す。

人工芝とマイクロプラスチックの関係


マイクロプラスチックとは

マイクロプラスチックとは、5mm未満の微細なプラスチックごみの総称です。
最初から小さなサイズで製造されたもの(マイクロビーズや樹脂ペレットなど)と、大きなプラスチックが紫外線や摩耗によって劣化・微細化したものの二種類に大別されます。

環境省は、人工芝(敷物、マット等に使われるパネル型の人工緑化製品を含む)や衣料品等に使用される合成繊維を、マイクロプラスチックの主要な発生源の一つとして位置づけています(環境省|一般向けマイクロプラチック発生抑制・流出抑制対策リーフレット)。
一度環境中に流出したマイクロプラスチックを回収することは技術的に困難なため、生態系や人体への影響リスクを抑える観点からも、発生抑制と流出抑制を両輪で進めることが世界的な共通課題です。

プラスチックは自然環境で生分解されない性質を持つため、海洋に流れ出ると自力で消滅しません。
海の生物がマイクロプラスチックを食べると、消化されず体内に留まり続けます。
食物連鎖を通じて人間の体内に取り込まれ、将来にわたって人体に何らかの影響を及ぼす可能性があることが懸念されています。

人工芝の流出実態の把握

人工芝は主に合成樹脂とゴムを用いて作られます。
この原料がマイクロプラスチック流出にかかわってくることとなります。
パイル部分は主にポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレンなどが使用されています。
裏地部分にはスチレン・ブタジエンゴムが使用されています。

人工芝がマイクロプラスチックとなる原因には、紫外線による劣化や使用することでの表面部分の摩耗があり、これらのダメージを受けた人工芝の繊維が雨で流れたり風に飛ばされたりすることで海洋に流れ出てしまいます。
株式会社ピリカが発表した「日本のマイクロプラスチック研究2020」の調査報告によると、国内水域から流出したマイクロプラスチックのうち約23.5%を人工芝が占めていました。
さらに国内で流出したマイクロプラスチックは年間で約140トンにのぼり、そのうち22トンが人工芝という結果になりました。

出典:株式会社ピリカ ピリカ事業紹介

海洋に流れ出たマイクロプラスチックに、人工芝由来がどれだけ占めているかは複数の地域において調査をおこなう必要があります。
例えば大阪府では、2020年に大阪湾の海水中から人工芝片と見られるマイクロプラスチックが確認されたことから、人工芝の破片の流出対策の検討や効果検証を実施しました。

その後2022年には大阪府内にある複数のスポーツ用人工芝施設において、人工芝の損耗状況の調査をおこなうとともに、マイクロプラスチック流出抑制に関するガイドラインを作成しました。
そして実際に流出対策設備を設置し、その効果検証をオープンデータとして公開しています。
これは施工時に管理者に向けて人工芝の流出対策を実施してもらうこと、利用者にも知ってもらうことを目的としています。

出典:大阪府 「大阪府内の人工芝施設におけるマイクロプラスチック流出抑制に関するガイドライン Ver.1.0」を作成しました

出典:株式会社ピリカ 大阪湾へ流入するマイクロプラスチックを未然に防止する!府内スポーツ施設における人工芝流出対策の取組とは?

こうした傾向は、地方自治体の河川調査でも確認されています。
山梨県の令和5年度河川マイクロプラスチック調査では、富士川水系笛吹川の桃林橋および相模川水系桂川の大橋の河川水中において人工芝由来と推定されるマイクロプラスチックが検出され、各地点で採取した全マイクロプラスチックに占める個数の割合は8.8〜10.3%を占めることが報告されました(山梨県|河川マイクロプラスチック調査)。
海岸から離れた内陸河川でも検出されている事実は、人工芝のマイクロプラスチック流出が、特定地域だけの問題ではないことを示しています。

行政・業界による規制、捉え方

重要な前提として、現時点で国内外の行政・業界は、人工芝の使用そのものを禁止する方向ではなく、発生抑制・流出抑制・管理の徹底を中心にアプローチしています。

日本は2019年のG20大阪サミットで「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を提唱し、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにすることを目指しています(環境省|マイクロプラスチック削減に向けたグッド・プラクティス集)。
環境省は施設管理者向けのお知らせや利用者向けポスターも公開し、現場での発生抑制・流出抑制を呼びかけており、大阪府のように自治体レベルで流出抑制ガイドラインを策定する動きも進んでいます。

既存のマイクロプラスチック対策とその限界


排水設計・メンテナンス・フィルター設置による流出抑制

現在、人工芝施設で実施されている主な流出抑制策は、大きく三つに整理できます。

一つ目は、敷地外周のフェンスへの不織布バリアの設置です。
風で飛散するパイル片や充填材を物理的に捕捉します。
二つ目は、排水溝へのフィルター設置で、雨天時に雨水とともに流れてくるパイル片や充填材を捕捉します。
三つ目が、人工芝の損耗状況を定期的に把握するメンテナンス計画の運用です。

大阪府は株式会社ピリカと連携し、府内の複数のスポーツ用人工芝施設で損耗状況の調査と流出対策設備の効果検証を実施。
2023年3月には施設関係者向けに「大阪府内の人工芝施設におけるマイクロプラスチック流出抑制に関するガイドライン Ver.1.0」を公開しました。

管理だけでは限界――素材そのものを見直す動き

一方で、これらの対策にも限界があることが、現場の実測データから見えてきました。
大阪府×ピリカの調査によると、ロングパイル人工芝で年間1%前後、砂入り人工芝で年間2〜3%前後の損耗が確認されており、損耗量は経過年数および使用頻度に比例して増加します。
充填材についても、敷設後8年以上が経過したグラウンドでは、ゴムチップの50%程度が移動・消失している可能性が示唆されました。

流出対策設備による捕捉量は一定の効果を示すものの、損耗量(発生量)そのものとはギャップがあり、すべての流出経路を管理だけで塞ぐことは現実的に困難です。

こうした背景から、近年は「流出後の捕捉」だけでなく、「そもそもマイクロプラスチックを発生させない素材に置き換える」という代替アプローチが注目されています。
環境省のグッド・プラクティス集でも、代替素材による解決策が独立したカテゴリとして紹介されており、素材転換は次の段階のスタンダードになりつつあります。

紙製人工芝の紹介


素材が紙=マイクロプラスチック削減に貢献

紙製人工芝は、パイル面にマニラ麻を原料とした紙素材を使用した人工芝です。
マイクロプラスチックの流出を抑えるだけではなく、そもそも発生をさせないことに着目した素材です。
古くなったり痛んだりした人工芝の破片が、雨や風によって海に流れ出ていることは前述の調査からも明らかになっています。
マイクロプラスチックは小さいながらも海洋生態系、ひいては人体へ大きな影響を及ぼす可能性があることから、プラスチックを使用しない人工芝に注目が集まっています。

紙素材は、自然環境下で適切な条件が揃えば微生物によって分解される生分解性を備えた素材です。
流出してもマイクロプラスチックを発生させないため、生分解性人工芝は環境に優しい人工芝の代表的な選択肢として、施設管理者の検討対象になりつつあります。

マイクロプラスチックが与える影響を紐解く
マイクロプラスチックって何?
環境と生態に与える影響をひも解いていく

日本近辺の海に漂流しているごみ、北極や南極までも漂着しているごみの多くがプラスチック製であると言われています。...

確かな耐久性

「紙」と聞くと耐久性に不安を感じる方もいるかもしれませんが、原料となるマニラ麻(アバカ)は、バショウ科の植物の中でも最も強靭で耐水性に優れた繊維として知られ、船舶用ロープやコーヒーフィルター等にも採用されてきた素材です。

アバカの繊維を特製の紙に抄き上げ、それを細くスリットして撚り合わせる独自工程を経ることで、原料の紙以上の強度を実現しています。
屋内向けの紙製人工芝はすでに大阪・関西万博のパビリオン、商業施設、オフィス空間、自治体の子育て支援施設など、多数の施設で導入実績があります。

高機能(温度設計・消臭・防炎)

耐久性に加え、紙の繊維構造に由来する複数の機能性が紙製人工芝の特徴です。

紙が持つ多孔質な繊維構造と低い熱伝導率により、夏場の表面温度の上昇を抑制する設計になっています。
第三者機関の試験では、ナイロン製人工芝と比較して表面温度が15℃以上低い結果が確認されています。
同じ多孔質構造が消臭・抗菌の働きにも寄与しており、化学的な加工に頼らず素材そのものの力でクリーンな環境を保ちます。
さらに、特許取得済みの製法によって防炎剤を使用せずに防炎性能を実現しており、消防法上の防炎認定も取得済みです。

2026年4月、屋外向け2種類をリリース

2026年2月に屋外向け新製品2種類の開発が発表され、2026年4月から国際紙パルプ商事より発売されます。
これにあわせて石川県小松市に専用の撚糸工場が竣工し、量産体制も整いました。

① ロングパイルタイプ

天然芝に近い景観を求める子供用広場などを想定したタイプです。
紙と相性の良い天然由来の充填材を組み合わせることで、屋外でも一貫してマイクロプラスチックを発生させない設計が可能です。

② ショートパイルタイプ

パイルを高密度に植え込み、防炎剤を使わずに屋内向け製品と同等の防炎性能を実現。
屋上やベランダなど半屋外での使用に適しています。

機能性と環境対応を両立したOJO⁺の製品紹介はこちら
OJO⁺とは?紙から生まれた、機能性に優れ・環境にやさしい素材をご紹介

マニラ麻を原料にした紙を細長くスリットし、撚りをかけて糸にしたサステナブルな素材です。...

まとめ

人工芝の使用は、環境負荷の課題であるマイクロプラスチックの発生に関わっていることが分かりました。
正しい手入れや流出を抑制する設備を取り付けることは、流出量の減少につながります。
ほかにも原料を見直すこと、流出しても生分解性を有していることで海洋ごみにならないよう配慮することが求められます。

当社ではほかにも紙製品への置き換えが可能な製品を取り扱っています。
合成樹脂は耐熱・耐久性を有し便利な素材ですが、廃棄からリサイクルまでの工程が多く、自然環境での生分解がおこなえません。
現状使用している樹脂と同等の機能性を有していれば、マイクロプラスチックの発生がなく、自然環境でも生分解される紙素材への変更を検討できるのではないでしょうか。

脱プラスチックの一環として、KPPグループでは王子ファイバーが開発した紙糸「かみのいとOJO⁺」を使用した紙製人工芝「ペーパーターフ®」を、SHIFT ONを通じてご提案中です。
耐久性・消臭・抗菌・防炎・温度抑制といった機能性を備え、2026年4月には屋外向け2種類の発売も予定されています。
屋内空間の景観改善から始め、段階的に屋外空間へと展開することで、施設全体のマイクロプラスチック発生源を縮小していく道筋が描けます。

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紙製 人工芝 OJO⁺

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