天然繊維とは?種類やメリット・デメリット、企業が取り扱うべき理由を解説


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天然繊維とは?種類やメリット・デメリット、企業が取り扱うべき理由を解説

近年、アパレル業界をはじめとする繊維産業では、「環境への配慮」や「持続可能性」が強く求められるようになりました。
その中で、自然由来の素材である天然繊維が改めて注目を集めています。

これまで主流だった化学繊維は、安価で大量生産が可能な反面、環境負荷や再利用の難しさといった課題がありました。
一方で天然繊維は、生分解性や肌へのやさしさといった特性を備えており、サステナブルな素材として評価が高まっています。

本記事では、天然繊維の種類や特徴、化学繊維・合成繊維との違いを解説するとともに、天然繊維が企業にもたらす価値や導入事例について詳しくご紹介します。

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天然繊維とは

天然繊維は、植物や動物由来の自然素材から作られた繊維です。
肌に優しく、通気性・吸湿性が高いのが特徴です。

ここでは、天然繊維について詳しく理解するために、繊維の種類と、化学繊維、合成繊維との違いを解説します。

天然繊維イメージ

繊維の種類

繊維は大きく「天然繊維」と「化学繊維」の2種類に分類されます。

天然繊維とは、主原料が天然素材(自然界で得られる素材)で作られた繊維です。
さらに「植物繊維」「動物繊維」「鉱物繊維」の3つに分けられます。

  1. 植物繊維:綿や麻などの植物由来の繊維で、肌触りがよく環境にも優しい
  2. 動物繊維:羊毛や絹など動物由来の繊維で、保温性に優れる
  3. 鉱物繊維:アスベストなど鉱物から生成され、耐熱性・耐久性に優れる 

天然繊維と化学繊維の違い

化学繊維は、天然繊維とは異なり、人工的・化学的に作られた繊維を指します。
主な原料は石油などであり、合成繊維や再生繊維といった種類があります。

天然繊維と比較して、化学繊維は大量生産が可能で安価な製品が多いという特徴があります。
一方で、製造時に二酸化炭素の排出量が増加するなど環境への負荷が大きい点や、アレルギー・肌荒れを引き起こすリスクが高い点も課題とされています。

天然繊維と合成繊維の違い

合成繊維は、化学繊維の一種です。
前述のとおり、化学繊維は主に合成繊維や再生繊維などに分類されます。

代表的な合成繊維には、ナイロン・ポリエステル・アクリル・ポリウレタンなどが挙げられます。
人工的に作られる素材であり、形状記憶や速乾、伸縮性、発熱、冷感など機能性に優れているのが特徴です。
天然繊維と異なり、化学薬品を使用して製造される合成繊維は環境への負荷が高く、リサイクルが難しい場合があることも課題です。

天然繊維の種類とそれぞれの特徴

天然繊維は自然界に存在する物質で、そのまま繊維として利用できる、または容易に繊維状にして利用できる素材のことです。
ここからは、天然繊維の代表例である、コットン、シルク、リネン、ウールの特徴をご紹介します。

コットン(綿)

コットンは綿花の種子の表皮細胞が成長したものが原料です。
肌触りが良く、通気性・吸水性に優れているのが特徴です。

繊維が長いほど高級とされており、通常は28mmほどですが、35mm以上のものは「超長綿」と言われています。

また、3年以上農薬や化学肥料を使用せず、有機栽培の基準に従って育てられた綿は「オーガニックコットン」と呼ばれ、環境保護の観点からも注目されています。

天然繊維

シルク(絹)

シルクは蚕の絹糸で形成された繭を原料とする繊維で、美しい光沢が魅力の一つです。

保温性や吸放湿性に優れているため、季節を問わず快適に利用可能です。
シルクは約20種のアミノ酸を含むタンパク質繊維で構成されており、肌に近い成分を持ちます。
そのため、刺激が少なく、健康に良いとされています。

リネン(麻)

リネンは亜麻科の植物の茎を原料とする繊維で、自然素材ならではの特徴が豊富です。

耐久性に優れ、汚れにくく、吸湿性・発散性が高いことから、夏の衣料や家庭用品に適しています。
リネン以外にもラミーやヘンプといった種類があり、それぞれ異なる用途で活用されています。

天然繊維

ウール(毛)

ウールは羊の毛を原料とする繊維で、カシミヤ山羊やアンゴラウサギの毛が使われる高級な種類も存在します。

保温効果が高く寒い季節に最適で、型崩れやしわになりにくいのが特徴です。
ただし、水洗いには適さず、専用の洗剤を使用して油分を補充しながらお手入れする必要があります。


天然繊維

天然繊維のメリット・デメリット

天然繊維には、肌に優しく、生分解性があり環境問題に適している反面、摩耗による破れやしわが起きやすいなどの欠点もあります。

ここでは、天然繊維のメリット・デメリットを詳しく解説します。

天然繊維のメリット

天然繊維の主なメリットは、以下の3つです。

  1. 肌に優しく、敏感肌でも安心して着用できる
  2. 通気性や吸湿性が高く、快適な着心地を保ちやすい
  3. 自然由来で生分解性があり、環境にやさしい

天然繊維は柔らかな質感で肌への負担が少ないため、アレルギー体質の方や敏感肌の方も快適な着心地を楽しみやすいでしょう。

また、通気性・吸湿性が高く、暑い季節でも爽やかさを保ちやすいのもメリットです。

さらに、自然由来の素材でできており、廃棄されても土に還る生分解性があるため、環境にも優しく、持続可能な社会の実現に貢献します。

天然繊維のデメリット

天然繊維の主なデメリットは、以下の3つです。

  1. 摩耗や破れ・しわが起きやすく、耐久性にやや劣る
  2. 変色や色落ちがしやすく、染色の難しさがある
  3. 洗濯や保管など、取り扱いに注意が必要

天然繊維は耐久性が低く、摩耗や破れ、しわが発生しやすい欠点があります。

また、洗濯や日光などの紫外線による変色・色落ちなども課題です。
ただし、適切な洗濯方法やアイロンによるケアによって、ある程度抑えることができます。

取り扱いには注意が必要ですが、湿度管理を徹底し日光を避けて保管するなど、適切なお手入れをすることで製品を長持ちさせ、結果的に環境負荷の低減にもつながります。

企業が天然繊維を取り扱うべき理由

企業が天然繊維を取り扱うべき主な理由は、アパレル業界をはじめとする繊維産業が直面している環境汚染問題の解決に貢献できるからです。

繊維産業は、衣類の素材となる繊維の生産、衣類の製造、販売を行います。
生産には多くの石油・水を必要とし、石油産業に次いで世界全体の温室効果ガスの8〜10%もの二酸化炭素を排出しています。
また、全世界における廃水の20%を生み出していることも問題です。

さらに、アクリルやポリエステルといった化学繊維には生分解性がなく、廃棄しても分解されません。
生態系に有害な物質を発生させることがあるほか、マイクロファイバーと呼ばれる微小繊維が流出することが海洋汚染の一因となっています。

参考:国連広報センター(UNIC)|「持続可能なファッションのための国連アライアンス」とは?

このような観点から、近年、環境にやさしい天然繊維の必要性が高まっています。
なかでも、有力な選択肢として注目されているのが「OJO⁺」です。

KPPが取り扱う天然繊維OJO⁺とは

KPPでは、環境負荷を軽減するサステナブル素材として、天然和紙を素材とする天然繊維OJO⁺を生み出しました。
ここからは、OJO⁺の特徴を詳しく解説するとともに、導入事例をご紹介します。

OJO糸

天然繊維OJO⁺の特徴

天然繊維OJO⁺は、化学肥料や農薬を使用せずに栽培されたマニラ麻の和紙を細長く裁断し、撚り(より)をかけて作られた紙の糸です。

パルプ製造を通じて生産された麻素材であるため、使用後も自然界へ循環する生分解性を有し、製造工程における二酸化炭素の削減効果も期待できます。  

強度、消臭効果、耐摩耗性のバランスが良く、従来の化学繊維と比較して吸湿性や放熱性にも優れるなど、高い機能性を誇ります。


 

多孔質繊維のため比重が軽く、見かけ比重がコットンで1.54、レーヨンで1.50であるのに対し、OJO⁺は0.5と非常に軽い素材です。
また、麻自体に備わる抗菌・消臭効果は製品になっても持続するため、快適に着用できます。



※OJO⁺消臭性能の試験報告書、及び抗菌性の証明書

OJO⁺について、詳しくはこちらの記事もご覧ください。

機能性と環境対応を両立したOJO⁺の製品紹介はこちら
OJOブログリンク
OJO⁺とは?和紙から生まれた、機能性に優れ・環境にやさしい素材をご紹介

マニラ麻を原料にした和紙を細長くスリットし、撚りをかけて糸にしたサステナブルな素材です。...

天然繊維OJO⁺の導入事例

ここからは、天然繊維OJO⁺の導入事例として、ゴールネット、スーツ、紙製フェイスカバーの3つのケースをご紹介します。

ゴールネット

国際紙パルプ商事株式会社は、OJO⁺を100%使用したゴールネットを、2023年12月に東京都北区の「区立浮間子どもスポーツ広場」で、子ども用サッカーゴールのネットとして導入しました。

ネットは100%紙製でありながら、強度を確保するため紙糸をロープ状に束ねて設計されており、ゴール内の視認性を損なわない工夫も施されています。

将来的には成人用やプロアスリート用への展開も計画されており、持続可能なスポーツの象徴として期待されています。

軽量・高耐久なゴールネット採用事例
100%紙製のゴールネットを設置

かみのいと「OJO⁺」を100%使用したゴールネットを...

紙製フェイスカバー

SHIFT ONではOJO⁺の他にも天然繊維のご提案が可能です。

過去には、洋服試着時のフェイスカバー着用をより快適にし、かつ環境負荷も低減するため、100%紙製のフェイスカバーを開発しました。

従来のフェイスカバーは石油由来の素材が使われており、分解に時間がかかることから長期に及ぶ環境汚染が懸念されていました。
再生可能な100%パルプ素材の紙製フェイスカバーに変更したことで、製造から廃棄までの環境への負荷を大幅に軽減でき、使用後のリサイクルも可能になりました。

石油由来素材から紙素材への詳細資料はこちら
フェイスカバーリンク
紙製のフェイスカバーで洋服試着をサステナブルでもっと快適に!

従来のフェイスカバーなどが問題視される中、紙製の脱プラツールが持つ環境に優しい特性を、今回は詳しくご紹介したいと思います。...

天然繊維を取り入れるならKPPにご相談を

環境汚染が深刻化するなか、環境に優しくサステナブルな天然繊維としてOJO⁺が注目されています。
100%パルプ原料であるため、化学繊維と比較して軽量かつ吸湿性、速乾性、強度に優れているだけでなく、なめらかな肌触りも特徴です。

今回ご紹介したように、サッカー用ゴールからスーツなどの衣類、フェイスカバーまで、さまざまな製品にご活用いただけます。

新しい天然繊維OJO⁺の導入をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
OJO⁺についての詳しい情報は、こちらで解説していますので、あわせてご覧ください。

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