食品向け包装資材の課題を考える

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包装資材とは物品の輸送、取引時において価値や状態を維持・保護するために必要となる資材です。段ボールやPPバンド、緩衝材などが当てはまります。材料は紙、プラスチック、金属など様々な種類があります。
なかでも主に食品の状態を維持・保護などをするために使用するトレー、ラベル、フィルムなどを食品包装資材と呼びます。商品保護の役割はもちろん、品質や原材料などの情報伝達や販売訴求にも影響を与えます。
今回は食品包装資材の種類や機能を、今後の課題も踏まえてご紹介いたします。

環境負荷を減らす
梱包資材の対応戦略

  • 脱炭素社会のために
  • 環境負荷低減に向けた取り組み
  • 廃棄物削減量削減
  • 再生素材の使用を増やす
目次

食品包装資材とは

主に食品を入れる、包む、保護するために使用される資材です。ほかにも耐水性や耐熱性を担保したり、食品使用時の利便性の向上、製造元や原料、アレルゲンの情報などの提示のために使用されます。
昨今はデリバリー提供やテイクアウトが増加しているため、食品包装資材の使用頻度が増加しています。

食品包装資材の種類

包装資材は、代表的なものだと紙製品かフィルム製品の2つに分けられます。
形状としては袋やトレー、容器や密封のための蓋、パックやラップとして使用されます。

食品包装向け紙製品

段ボールや紙器、包装紙など紙を素材とする製品を指します。
印刷適性があり、古紙としてリサイクルが可能であることが特徴です。耐水や耐油、耐熱加工を施した機能紙も存在し、使い勝手がよく環境負荷低減の両立を可能とします。

食品包装向けフィルム製品

合成樹脂を素材に、薄い膜状に成型して使用する製品を指します。単体で使用する製品と、ラミネートして使用する製品があります。
素材は主にナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、アルミ箔などが挙げられます。

食品包装資材市場の近況

日本包装技術協会の報告によると、2022年の包装産業の規模は出荷数量こそ前年割れですが、出荷金額は2021年より大幅な増加となっています。新型コロナウイルスの拡大、ウクライナ侵攻などで需供バランスが崩れたことに加え、原材料、エネルギー価格の急騰と円安によって引き起こされたと考えられます。
実際に調理済み食品やインスタント食品、テイクアウト商品の需要の高まりにより、食品包装資材のニーズは高くなっています。一方で環境負荷低減の流れにより、PEやPPのフィルム素材は紙素材に置き換えられることが多くなり、消費者からは食品の保護とプラスの機能性をもつ包装資材が求められています。

出典:公益社団法人 日本包装技術協会 
2022年日本の包装産業出荷統計の概要

食品包装資材の海外輸入

海外からの輸入品に関しては、各国で異なる規制が存在します。
例えばEUでは食品に接触する材料や製品に関する厳格な規制が定められています。米国でも食品接触物質の届出制度(CNF)があり、製品材質や添加剤などが米国食品医薬品監督局の認証を経て使用することが義務付けられています。多くの国ではポジティブリストが採用されており、安全性の確保を担保しています。
当社では海外輸入品の食品包装資材を取り扱っています。比較的コストが安く、機能も備わっているため用途に応じてご紹介が可能です。

食品包装資材に求められていること

食品の「顔」であり、安全を守る砦でもある包装資材には、時代とともに多様な要求が寄せられています。特に近年は、コスト効率化、環境への配慮、新たな流通形態への適応、そして厳格化する法規制の遵守といった、多角的な課題への対応が必須となっています。

コスト対応

包装資材のコストは、製品原価に占める割合が大きく、企業の収益性を左右する重要な要素です。
材料費の高騰もあり、低コストで高品質の製品が求められています。
原料の使用量を減らす以外にも、加工が容易な素材に変更することや配合素材の見直しなどで対応できます。

環境対応:食品包装資材のリサイクルなど

あらゆる業界で環境対応が求められているなか、食品包装資材も同様に対応を迫られています。
具体的な手法として、再生可能素材の活用や単一素材(モノマテリアル化)への切り替えの推進、リサイクルシステムの構築などがあげられます。
その他、厚みを薄くすることで樹脂使用量を減らす、樹脂配合率の比率を変更するなど様々な手法が考えられます。
また、食品を長持ちさせることでフードロスを防ぎます。そのため鮮度保持や密閉度を高めた資材も求められています。

新しい業務形態への対応

近年、eコマース(EC)の浸透、ミールキット(食材宅配)サービスの普及、テイクアウト・デリバリーの拡大といった新しい業務形態が急速に成長しています。
それに伴い、現場での省人化や効率化、自動化など人力を伴う作業機会の減少は今後も続いていくと思われます。
これにより、包装資材には封入作業が少なくてすむ、作業時間短縮できる設計など従来の店頭販売にはなかったさらなる付加価値が求められています。

法律や規制への対応:ポジティブリスト制度など

食品の安全を守るため、食品包装資材は国内外の厳格な法律・規制のもとに製造・使用されています。その中でも、2020年6月に施行された日本の「ポジティブリスト(PL)制度」は、包装資材の製造者に大きな影響を与えました。
従来の「ネガティブリスト制度」(使用が禁止された物質以外は使用可能)から、「ポジティブリスト制度」(安全性が評価されリストに収載された物質のみが使用可能)へと転換されました。

この制度の目的は、食品に接触する可能性のある包装材料由来の化学物質が、人の健康に悪影響を及ぼさないことを確実にすることです。包装資材メーカーは、使用するすべての原材料がリストに適合していることを確認し、その情報を川下(食品メーカー)に正確に伝達する責任を負います。

法規制への対応は、企業の信頼性と食品の安全性を守るための大前提であり、最新の規制動向を常に把握し、適合した製品を提供し続けることが必須条件となります。

食品用器具・容器包装の安全性のルール
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まとめ

食品包装資材は、食品の保護、情報伝達、鮮度の保持など多くの役割を担っています。
昨今はECの普及による密封度の向上、耐衝撃、保管に適した外装、設計の簡易化など外部環境の変化に適応していくことが重要視されます。さらにあらゆる業界に共通する課題である環境負荷の低減にも対応していかなければなりません。
当社では使用場面、課題に適した食品包装資材のご提供をさせていただきます。

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  • 環境負荷低減に向けた取り組み
  • 廃棄物削減量削減
  • 再生素材の使用を増やす
参考文献

・農林水産省 容器包装利用・製造等実態調査
令和5年度容器包装利用・製造等実態調査 

・公益社団法人 
日本包装技術協会

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