機能性素材とは?耐熱・導電などの機能紙をジャンル別にご紹介!

カテゴリ
お役立ち情報  SHIFT ON paper 
タグ
環境・機能材  紙 

事業を最適化する紙総合商社SHIFTON

B!

現在、世界中で注目されているのが「機能性素材」です。
そのなかでも、紙に様々な機能を付与した機能紙を新素材としてさまざまな企業が導入を検討しています。

本記事では機能性素材とはなにかを説明し、「機能紙」をジャンル別にご紹介します。

目次

機能性素材とは

機能性素材とは、従来の素材にはない、特別な機能を付加した素材のことです。
例えば、吸水速乾性やUVカット、抗菌・防臭、保温・保冷など、さまざまな機能があります。

衣服や寝具、スポーツ用品など、幅広い分野で利用されており、日常生活をより快適に、便利にしてくれます。

機能性素材の一つが「機能紙」

機能性素材の一つが「機能紙」です。
ここでは機能紙とは何かを説明し、紙素材の役割と紙素材を用いた事例をご紹介します。

機能紙とは

機能紙とは、紙本来の役割である「伝える」「包む」「拭き取る」といった基本の用途に加え、新たな機能をプラスした紙のことです。
例えば、水をはじく耐水紙、熱に強い耐熱紙、酸素を通さないバリア紙、香りつきの芳香紙など、さまざまな種類があります。

機能紙は食品包装や医療用品、建築資材など、幅広い分野で活用されています。
近年では、環境問題への関心の高まりから、生分解性やリサイクル性に優れた機能紙も開発されています。

機能紙についてはこちら
機能を付与する販促製品

「紙」は単に印刷するメディアだけではなく、様々な機能を有する「機能紙」がございます。...

紙素材の役割

紙素材の利点は、環境に優しい循環型資源であることです。
しかし、プラスチックフィルムと比べて、機能面で劣る点が課題でした。
特に、食品の内容物が直接触れる分野では、より高いバリア性を持つアルミ箔やプラスチック(熱可塑性樹脂)が選ばれることが多かったのです。

そこで、近年注目されているのが、紙素材の機能を高める技術です。
紙に特殊なコーティングを施したり、ほかの素材と複合化したりすることで、機能性を向上することができます。

パッケージに求められる機能は、用途によってさまざまです。
食品包装では保存性や安全性、開封のしやすさなどが求められますし、電子機器の包装では静電気防止や衝撃吸収などが大切です。
それぞれの用途に合わせて高機能化することで、紙素材の活躍の場はさらに広がっていくでしょう。

紙素材を用いた事例

当社では大手小売業様のプライベートブランド商品において、環境負荷低減のためにプラスチック包材から紙包材への転換を支援しました。

当時、紙包材は環境に優しいと注目されていましたが、強度や耐水性、コスト面で課題があり、製袋加工や印刷、充填などの技術も確立されていませんでした。
そこで、印刷や製袋加工、充填などのテストを繰り返し、課題を一つずつ克服していきました。
例えば、輸送試験で破袋やシワが発生した際は、段ケースの形状や商品入数を見直すことで解決しました。

最終的には、素材の選定から製品化までを一貫して管理し、問題発生時の迅速な対応と情報共有を徹底しました。
結果として、20年10月に紙包材を採用した商品を店頭に並べることができたのです。

フィルム包材から紙包材の転換に成功した事例はこちら
フィルム包材から紙包材へ|顧客が求める環境対応製品の企画立案から製品化までをトータル提案

大手小売業様からいただいたご要望は「プライベートブランド(=PB品)商品の包材を紙化したい」...

ジャンル別機能紙紹介①〇〇につよい紙

「現在の素材を紙素材に変えたいと考えている」
「しかし、自社の商品に合った特徴の紙素材はあるのだろうか」
このように考える方のために、ここからはジャンル別に機能紙をご紹介します。

まずは、水に強い耐水紙、油に強い耐油紙、熱に強い耐熱紙の3つを解説します。

耐水紙

耐水紙とは、水に濡れても破れにくく、強度を保つことができる紙のことです。
ポリエステルやポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成樹脂を使用し、紙に水に強い性質を持たせています。

耐水紙は屋外用のポスターや水回りで使うラベル、レジャーシートなど、さまざまな用途に利用されています。

耐油紙

耐油紙とは、油や脂肪に対して強い耐久性を持った紙のことです。

一般的な紙は油を吸収してしまいますが、耐油紙は製造過程で特殊な加工が施されており、油をはじく性質があります。

具体的には、コンビニエンスストアのフライドポテトやハンバーガーの包み紙などに利用されています。
ほかにも工業製品の包装など、さまざまな用途で活用されています。

耐熱紙

耐熱紙とは、高温にさらされても燃えたり強度が劣化したりせず、変色しない紙の総称です。
具体的には、紙にガラス繊維やセラミック繊維などを配合することで、耐熱性を高めています。

耐熱紙はオーブンや電子レンジで使用するクッキングシートをはじめ、工業用の断熱材、建材などで使用されています。
どの程度の高温まで耐えられるかはメーカーや製品によって異なるため、用途に合わせて適切な耐熱紙を選ぶことが重要です。

ジャンル別機能紙紹介②〇〇しにくい紙

次に、「〇〇しにくい紙」というジャンルで6つの機能紙をご紹介します。

導電紙

導電紙はカーボンを紙に練り込んだり塗布したりすることで、光を遮る性質と電気を通す性質を持たせた紙です。

感光体など光に弱い素材を包装したり、挟み込んだりする際に、遮光紙として使用されます。
また、電子部品などを静電気から守る目的にも使われます。

無塵紙

無塵紙は半導体や精密機械、医薬品、食品など、主に塵の混入が許されないクリーンルーム内などで使用される塵が出にくい紙です。

合成繊維を原料とした合成紙タイプと、特殊な薬品を含浸させて塵を抑えた含浸紙タイプがあります。
いずれも製造工程において塵の発生を極力抑え、製品の品質を維持するために重要な役割を果たします。

防滑紙

防滑紙はクラフト紙に特殊な加工を施して、物の滑り止め効果を高めたシートです。

倉庫や工場で製品を積み重ねて保管する際に滑り止め効果を発揮し、荷崩れを防ぐことができます。
また、パレットで輸送する際にも、安全に荷物を運ぶことができます。

難熱紙

難燃紙とは、燃えにくく加工された紙のことです。
石綿やガラス繊維などの無機繊維を混ぜたり、リンや窒素を含む化合物などを染み込ませたりすることで燃えにくい性質を強化しています。

一般的には、紙の表面にスルファミン酸グアニジンやリン酸グアニジンといった難燃剤を塗って製造されます。
主な用途としては、防火壁紙の裏打ち紙として使われています。

防錆紙

防錆紙は金属の錆を防ぐ効果のある薬剤を染み込ませた紙で、さまざまな金属製品を錆から守る梱包材として使われています。
JIS(日本産業規格)では「気化性さび止め紙」または「気化性腐食抑制紙」と呼ばれており、昭和34年に規格が定められました。

防錆紙から揮発した防錆成分が金属の表面に付着し、薄い膜を作ることで、錆の原因となる水分や酸素を遮断し、金属の腐食を防ぎます。

断熱紙

断熱紙は90%以上が空気でできた、熱を伝えにくいシリカエアロゲルという素材に繊維を加えて作られています。
シリカエアロゲルは非常に軽い素材で、熱伝導率が極めて低いという特徴があります。
そのため、断熱紙は熱を閉じ込め、逃がさないようにするのに効果的です。

さらに、熱を効率よく伝える放熱材などと組み合わせることで、熱の流れをコントロールでき、熱に関するさまざまな問題の解決に役立ちます。
例えば、特定の方向への熱移動を促進したり、反対方向への熱移動を抑制したりすることが可能です。

ジャンル別機能紙紹介③〇〇できる紙

最後に、「〇〇できる紙」というジャンルで機能紙を6種類紹介します。

熱成形用紙(熱絞り紙、熱プレス)

熱成形用紙とは、熱を加えると柔らかくなり、冷やすと固まる性質を持つ紙です。
熱を加えることで自由自在に形を変えることができ、冷やすと形を維持するため、さまざまな立体物の成形に利用できます。

従来のプラスチックに比べて軽く、加工しやすいというメリットがあります。
さらに、紙であるため環境にも優しくリサイクルも可能です。
食品トレーや電子機器の包装材、自動車の内装材など、幅広い分野で活用されています。

剥離紙

剥離紙とは粘着剤付きの製品を保護するために、表面に剥がれやすい特殊なコーティングを施した紙のことです。
粘着テープやラベル、シールなどの裏側に使われており、必要時に剥がして使用することができます。

高反射シート

高輝度反射シートは、広範囲に光を反射させることができる高性能なシートです。
通常の反射シートに比べて、約3~4倍の反射輝度を誇ります。
道路標識や車両マーキングなど、高い反射性能と長時間の耐久性が必要とされる場面で多く使用されています。

近年では反射性能を活かして、植物工場でも使用されています。
植物工場では、光をさまざまな角度から反射させ、植物に均一に光を当てることができ、成長を促進させる効果が期待できます。

光拡散シート

光拡散フィルムは、光を拡散させて均一にする効果を持つフィルムです。
主に液晶ディスプレイのバックライトユニットなどに使われています。

光拡散シートには、あらゆる方向に光を拡散させる等方性拡散と、特定の方向に光を拡散させる異方性拡散があります。
等方性拡散は主に液晶ディスプレイで用いられており、導光板の模様を隠して光を均一に拡散させます。
異方性拡散はスキャナーの光源や照明など、拡散方向をコントロールしたい場合に利用されます。

ガラスペーパー

ガラスペーパーは髪の毛よりも細い、平均繊維径1μm以下のガラス繊維を主な材料として作られた不織布です。
たくさんの小さな穴が開いており、空気を多く含むため、高い空隙率を有しています。
また、耐熱性、耐酸性、親水性にも優れています。

これらの特性を活かして、主に鉛蓄電池のセパレータとして使用されます。
セパレータとは、電池のプラス極とマイナス極を隔離し、ショートを防ぎながら電気を流すためのものです。
ガラスペーパーは、鉛蓄電池の性能と寿命を向上させるために重要な役割を果たしています。

ヒートシール紙

ヒートシール紙とは、熱を加えることで接着できる機能を持った紙です。
従来、紙で袋を作る場合は、ポリエチレンなどのフィルムを貼り合わせるラミネート加工が必要でした。
しかし、ヒートシール紙は紙の表面に特殊な熱可塑性樹脂が塗布されており、熱を加えることでほかの紙や素材と接着するため、ラミネート加工不要で紙だけで製袋できます。

食品の包装をはじめ、さまざまな商品のパッケージとして利用されており、環境に優しい包装材として注目されています。

ヒートシール紙についてはこちら
ヒートシール紙とは

熱によって接着する機能を有し、ラミネート加工なしに製袋などの加工が可能な機能紙。...

機能紙の活用ならSHIFT ON

機能紙は従来のプラスチック素材でできなかったことを、紙で実現できる可能性がある素材です。
ただ、今まで説明してきたとおり、機能紙にはさまざまな種類があります。

「自社にはこのような課題があるのだけれど、紙で解決できるだろうか」
「機能紙には、ほかにどのような活用方法があるのだろうか」

このような疑問を抱く方は、当社にご相談ください。
お客様や業界の潜在的ニーズを分析し、素材と仕組みで実現可能なソリューションを提供します。

詳しくお問い合わせ希望の方はこちら

フォームが表示されるまでしばらくお待ち下さい。

恐れ入りますが、しばらくお待ちいただいてもフォームが表示されない場合は、こちらまでお問い合わせください。

関連記事

CURIOUS Exhibition "WAVING FLAG"|ファンシーペーパー ブランド「キュアリスシリーズ」展示会のご紹介

欧州からのファンシーペーパーとして日本国内でも愛されてきたキュリアスシリーズが、2024年4月からリ...

FSC®認証とは?活用メリットと企業の使用事例などをご紹介

FSC®認証は、適切に管理された森林と、責任もって調達された林産物に対する国際的な認証制度です。FS...