プラスチックごみはどこへ行くのか 実例をもとにリサイクルの解説!

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プラスチックごみはどこへ行くのか 実例をもとにリサイクルの解説!
製品が使えなくなり廃棄物となった場合、ただ捨てるのではなくリサイクルが推奨されます。
では、リサイクルの道を歩む製品のその後はどうなっているのでしょうか?本当にもう一度資源へと生まれ変わっているのでしょうか?
今回はリサイクルの現状をプラスチックごみに焦点をあてて解説します。ごみ排出量を減らすために実践された実例もご紹介いたします。

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リサイクルで環境は良くなっているのか?

なぜリサイクルをするのでしょうか?
一度ごみ(廃棄物)となったものは、通常、焼却や埋め立てを経て廃棄され、次につながる役割を与えられることがありません。
ただ捨て続けているだけでは、費用や時間、限りある最終処分場をどんどん消費していってしまいます。
少しでもごみとなるものの量を減らすためにも分別を行い、次の形へと生まれ変わらせなければなりません。

そこでリサイクルをすることで、最終的に焼却や埋め立て処分をされる廃棄物を減らすことができます。
ごみを減らすことは環境を考えた行動と言え、今ある資源を大切にすることにつながります。

一方でリサイクルによる再資源化のための費用が高いという問題もあります。日本のごみ排出量とともに実際の数字を見ていきましょう。

日本のごみ排出量

環境省の発表によると、2020年における日本全国の一般廃棄物の総排出量は4,167万トン、東京ドームに換算すると約112杯分でした。1人当たりが1日に排出しているごみの量は901グラムとなります。前年度と比べると、総排出量も1人当たりの排出量も減っています。
(出典:環境省
一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和2年度)について」22/7/4閲覧)

しかしごみ処理事業経費は増加しています。なぜでしょうか?
事業経費とは処理費、建設改良費、その他経費に分けられます。
毎日のごみの収集、焼却やリサイクル、埋立てなどに使われる処理費、焼却炉などのごみ処理施設の老朽化の修繕工事、整備、建設に充てられる建設改良費、ごみ処理施設を建設した際の借入金の返済金や不法投棄対策にかかるその他の経費の3つに分けられます。
建設改良費、その他経費はごみ処理のために必要な経費となります。

私たちが減らすことのできる経費はあるでしょうか?
それが処理費です。そもそもの排出するごみの量を減らすことで削減が可能となります。
では次に、ごみの中でも生活のあらゆるところに使用されている身近な素材、プラスチックの排出量を見てみましょう。

日本と世界のプラスチック排出量・リサイクル率

2019年の日本における廃プラスチック総排出量は850万トンでした。そこからリサイクルとして有効利用がされたものが85%にのぼります。内訳はマテリアルリサイクルが22%、ケミカルリサイクルが3%、サーマルリサイクルが60%です。
(出典:環境省
一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和2年度)について」22/7/4閲覧)

世界基準で利用率を見てみましょう。
2018年のリサイクル率をヨーロッパ内で比較すると、ノルウェーが1番高く約45%、次にスペインの約40%となります。
(出典:Plastics Europe
Plastics – the Facts 2020」22/7/4閲覧)

数字で見ると、日本の廃プラスチックの利用率はとても高いですが、実は計算方法が違います。ヨーロッパではサーマルリサイクルをリサイクル率に含めません。
2019年の日本のサーマルリサイクル除いたリサイクル率は、19.6%となります。

なぜ低い?リサイクル率


自治体ごとに細かいごみ分別のルールがあるにもかかわらず、なぜこの数字なのでしょうか。
ひとつはサーマルリサイクルをリサイクルに含めないこと、そして生ごみの日本の焼却処理率がヨーロッパに比べ高いことが挙げられます。

厄介な生ごみ

リサイクル率上位国では、生ごみの資源化として、リサイクルで堆肥化することが進められています。

しかし日本では生ごみも燃えるごみとして扱っています。そのため国が提示する、燃えるごみの中にどれだけ生ごみが占めているのかの排出量のデータがありません。
例として京都市の発表を参照します。
2020年に家庭から排出された燃やすごみは約18万トン、うち生ごみは7万4千トンで約40%と高い割合を占めています。
(出展:京都市
家庭ごみの細組成調査」22/7/4閲覧)

では、生ごみが多いと、焼却処理にどう影響があるのでしょうか。

焼却の手順

プラスチックや紙に比べ、生ごみは重さの約8割が水分であるため、燃えにくく焼却効率が悪くなります。
そのためコストもかかり、生ごみと一緒に高温で燃やすためのごみも必要となるため、有害物質も発生します。また、焼却炉の余熱を利用して発電している場合、水分量が多い生ごみが含まれると発電効率が下がり発電量も少なくなってしまいます。

このため、わたしたちが家庭から燃やすごみとして生ごみを出す際は、できるだけ水分が入らないように水切りを徹底しなければなりません。
細かく分別をしてごみ出しすることはとても有意義なことです。しかしそれだけではなく、多い割合を占める生ごみの処理・資源化への方法を新たに考えていくことも大切です。

リサイクルの種類

ではリサイクル率に含まれないサーマルリサイクルとはなんでしょう?
マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルと併せて解説します。

サーマルリサイクル

プラスチック類などの廃棄物を焼却処理した際に発生する熱を回収し、エネルギーとして利用することです。
海外では熱・エネルギー回収はリサイクルとしてみなしていません。
そして日本でも2000年に制定された循環型社会形成推進基本法の中で、廃棄物・リサイクル対策の優先順位を、「①発生抑制(リデュース)、②再使用(リユース)、③再生利用(マテリアルリサイクル)、④熱回収(サーマルリサイクル)、⑤適正処分」と定めています。
(出典:環境省
循環型社会形成推進基本法」22/7/4閲覧)

サーマルリサイクルはあくまでも、再資源化が難しい場合の、最後の活用方法という位置づけになっています。
再資源化が難しい廃棄物を有効活用できること、火力発電のために新たに資源を使用しなくてもいいことがメリットに挙げられます。

マテリアルリサイクル

廃棄物を粉砕・破砕、洗浄などの加工をし、製品の原料として再利用することです。
例えば使用済みのペットボトルを原料にしてペットボトルにリサイクルする、同じものから同じものを作るレベルリサイクルと、ペットボトルを原料に、一段下げた分野の製品原料として衣服などにリサイクルするカスケードリサイクルに分けられます。

ペットボトルはマテリアルリサイクルの対象によく挙げられます。廃棄物として回収されたものを洗浄、粉砕し原料となるフレーク状にします。
ただ、前述の通りマテリアルリサイクルの有効利用率も22%であり、決して高いとは言えません。焼却処理をしなくてもいい、原料となりそうな廃棄物が含まれているかもしれないということです。

ケミカルリサイクル

廃プラスチックをさまざまな手法で化学的に分解することで、化学製品の原料などに再利用することです。
高温で熱分解することでガス化や油化、製鉄所でコークスの代わりに使用される高炉原料化、科学的に分解して原料・モノマー化するなどの手法があります。
埋め立てや焼却ではなく、様々な手法をとって、廃棄物となるプラスチックの総量を減らし、資源へと生まれ変わらせることができます。

日本の課題

ここまでリサイクルの種類や取り組みを見ていきました。
課題としては、国際的な基準に合わせると、プラスチックのリサイクル率が低いこと、焼却に手間がかかってしまう分別の方法をとっていることが挙がりました。
ほかにも、プラスチックのリサイクルはコストがかかることや、素材からはその素材しか作れないため、別の材質を混ぜることができないこと、再利用する度に劣化することが分かっています。

高まる脱プラスチック


2018年1月、中国政府はプラスチックごみ輸入の原則禁止に踏み切りました。
日本の廃プラスチックの主な輸出先は中国であり、この発表は大きな打撃となりました。
そして中国に続き他国も廃プラスチックの輸入規制を導入しています。
(出典:日本貿易振興機構
輸入規制は厳格も、国内規制の運用には課題(中国)」閲覧22/7/4)

日本の廃プラスチックは従来と同じような処理が不可能となり、減・脱プラスチックの施策として、レジ袋有料化が始まりました。マイバッグを持っていくなど、認知は高まっていますが、まだ始まったばかりです。

ではプラスチックを使用しないことは可能でしょうか?それはできません。種類が多く、軽くて丈夫、アルカリや酸に強く衛生的なため、日用品から工業品まで幅広く、場に適した使われ方をしています。
たくさん使用されているなかで、これはプラスチックでなくても構わない、という商品から紙への切り替えを行っていきませんか?

プラスチックの代替品のご提案実例

実際に廃棄物となるプラスチックを減らすために、弊社が提案いたしました商材をご紹介いたします。

さらに使いやすい緩衝材へ。機能はそのままに環境対応素材品への移行をご紹介


食品と同じく鮮度が大切なもののひとつに、医薬品があります。
お客様は従来、軽量で断熱・保冷に優れ、安価で衝撃吸収性がある大変優れた発泡スチロールを使用し、輸送していましたが、素材はプラスチックであり、事業ごみの中でも産業廃棄物の扱いとなるため、容易に廃棄できないというお悩みを抱えてらっしゃいました。

そこで安定した品質を保ちながら輸送ができ、使用後は簡単に廃棄ができる梱包素材をご提案いたしました。
紙パウダーと工業用澱粉を含む天然素材を55~60%使用し、合成樹脂の使用割合を減らしたある製品のため、環境負荷物質の割合が少なく焼却時に有害物質が発生しません。
また、やわらかいシート状であるためかさばらず、廃棄まで日数があったとしても保管に場所を取りません。

今回お客様は、梱包材の廃棄に係る手間を削減したいという課題をお持ちでしたが、その課題に潜む環境配慮も実現することができました。
プラスチックを別の素材に変えることで、廃棄という行動にかかわる手間が省け、そもそも発生する、リサイクルしにくいごみを減らすことができたのです。

まとめ

リサイクルの種類・手法は様々あります。
汚れや傷がついてしまったり、製品の形でないプラスチックごみまでもリサイクルできる高性能さを待つことも正しいですが、そもそもごみとして排出する量を減らすことが、私たちがすぐできる一歩です。

梱包に関わる事例や、このほかにも環境にやさしい素材をまとめた資料をご用意しております。ぜひご覧ください!

お客様導入事例はこちら

参考文献:国立環境研究所
なぜ日本のごみのリサイクル率はヨーロッパに比べて低いのか? 22/7/4閲覧

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