脱プラ実現にバイオプラスチック|サステナブルな環境対応樹脂素材と選び方を解説

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地球温暖化や海洋汚染など、深刻化する環境問題の解決策として期待されているのが「バイオプラスチック」です。
バイオプラスチックは二酸化炭素排出量を抑え、廃棄後も自然に分解されるため、環境への負荷を軽減できます。

しかし、バイオプラスチックにも種類があり、それぞれ特性や用途が異なる点に注意が必要です。
本記事では、バイオプラスチックの種類や選び方、そしてKPPが提供するバイオプラスチック製品を紹介します。

詳しくバイオプラスチックに関して解説した資料はこちら

環境対応樹脂 活用事例集
種類・特徴・活用方法をご紹介

  • 環境対応樹脂の必要性
  • 廃棄物発生量削減
  • 再資源化
  • バイオマス素材の活用
目次

環境対応樹脂(バイオプラスチック)とは

化石資源を原料とする従来のプラスチックは、地球温暖化や海洋汚染など環境問題の原因になりかねません。

このような状況の中、環境負荷を低減するプラスチック材料として注目されているのが「環境対応樹脂」、特に「バイオプラスチック」です。

環境対応樹脂(バイオプラスチック)の種類

環境対応樹脂(バイオプラスチック)は大きく分けて「バイオマスプラスチック」と「生分解性プラスチック」の2種類に分類されます。

生分解性プラスチックについては、次の記事を参考にしてください。

生分解性プラスチックとは?
使用用途やメリット・デメリットも併せてご紹介

従来のプラスチックの機能に加え、土中や海中で分解する特徴をもった生分解性プラスチックが近年多く使用されて...

環境対応樹脂(バイオプラスチック)の重要性

地球の平均気温は産業革命以前より約1.1度上昇しており、温室効果ガスの排出が主な原因であることが科学的に示されています。
このまま温室効果ガスの排出が進むと、地球温暖化はさらに深刻化し、気候変動による影響が拡大する恐れがあるでしょう。

バイオプラスチックは地球温暖化対策に対して重要な役割を担っています。
例えば、バイオマスプラスチックは植物由来の資源を利用することで、カーボンニュートラルの実現に貢献し、温室効果ガスの排出を抑制します。

また、化石資源に依存せず、再生可能な資源を利用することで、資源枯渇の問題にも対応できます。

参考:国連広報センター|気候変動とは何か?

環境対応樹脂(バイオプラスチック)の選び方

バイオプラスチックを選ぶ際には、主原料、バイオマス度、生分解性など、様々な要素を考慮する必要があります。

以下では、これらの要素について詳しく解説します。

主原料

バイオプラスチックの主原料は、トウモロコシやサトウキビなどの再生可能な植物資源が一般的です。
植物は光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収するため、カーボンニュートラルに繋がります。

しかし、食料資源との競合や、原料栽培における環境負荷といった課題も存在します。
そのため、近年では、非食用部位や農業廃棄物、食品廃棄物などを活用した、より持続可能な原料選定が推奨されています。

バイオマス度

バイオマス度は、製品中に含まれるバイオマス(生物由来資源)由来の成分の割合を示す指標です。
バイオマス度が高いほど、化石資源の使用量削減や二酸化炭素排出量削減に貢献します。
例えば、バイオマス度が100%であれば、製品のすべてが生物由来の資源から作られていることを意味します。

ただ、バイオマス度が高いからといって、必ずしも生分解性が高いわけではありません。
バイオマス度が高くても、従来の石油由来成分と混合されている場合など、生分解性を示さないものもあります。

生分解性

生分解性プラスチックは、微生物の働きによって水と二酸化炭素に分解される性質を持つプラスチックです。
廃棄物削減や海洋プラスチック問題の緩和に貢献することが期待されています。

生分解性プラスチックが分解されるためには、特定の温度、湿度、微生物の存在など、適切な分解条件が必要です。
また、分解速度は素材によって異なり、自然環境下では十分に分解されない場合もあります。

色味・透明性

バイオプラスチックの色味や透明性は、最終製品のデザイン性に大きな影響を与えます。
例えば、バイオプラスチック素材(例:NEQAS OCEANなど)は、クリアな容器や包装材などに適しています。

一方で、植物繊維を原料とする素材は、ナチュラルな風合いを活かした製品に適しています。
このように、バイオプラスチックを選ぶ際には、用途や表現したいデザインに合わせて適切な色味や透明性の素材を選定することが重要です。

におい

バイオプラスチックを選ぶ際には、においも重要です。
食品容器や化粧品容器など内容物に直接触れる用途では、無臭または低臭の素材が求められます。

バイオプラスチックの中には、特有のにおいがする素材も存在します。
そのため、用途や使用環境に適した素材選びが重要です。

強度・耐性

バイオプラスチックの強度や耐性は、使用する原料や製造方法によって大きく異なります。
例えば、ポリ乳酸(PLA)は剛性が高いですが、耐熱性や耐衝撃性に課題があります。
そのため、高温環境下での使用や衝撃が加わるような用途には適していません。

一方で、バイオポリエチレンやバイオポリプロピレンは、比較的幅広い用途で使用することができます。

食品衛生法適応

バイオプラスチックを食品と接触する用途で使用する場合は、食品衛生法の規制に適合することが必須です。
食品衛生法では、食品と接触するプラスチック製品に対して、ポジティブリスト制度が適用されます。

食品用途に使用するバイオプラスチックを選ぶ際には、ポジティブリストに掲載されている素材であるかを確認する必要があります。
ポジティブリストについては、次の記事を参考にしてください。

食品用器具・容器包装の安全性のルール
ポジティブリスト制度とは?わかりやすくご紹介!

2020年に厚生労働省は食品用器具・容器包装に対して、安全性を評価した物質のみを使用可能...

成形のしやすさ、バリエーション

バイオプラスチックの成形性は、原料の種類だけでなく製造方法によっても大きく左右されます。
成形性が良いというのは、さまざまな製品形状やサイズに対応できることを意味します。

例えばポリ乳酸(PLA)は成形加工性が比較的容易であり、3Dプリンティングなどにも利用されています。
しかし、高温に弱く、熱変形しやすいため、高温で使用する製品には適していません。
一方、バイオポリエチレンやバイオポリプロピレンは、高い汎用性があります。

KPPが取り扱う環境対応樹脂(バイオプラスチック)

KPP(国際紙パルプ商事株式会社)は、環境負荷の低減を目的としたさまざまな環境対応樹脂を取り扱っています。

ここでは、KPPが取り扱う代表的な環境対応樹脂であるNEQAS OCEAN、バイオPP(キャッサバ澱粉添加)、minima PLAなどについて、それぞれの特徴と用途について解説します。

NEQAS OCEAN

NEQAS OCEANは、酢酸セルロースを主原料とする環境対応樹脂です。
高い透明度を持ち、一般のプラスチックと同等の加工性を実現しており、既存のプラスチック製品からの置き換えが容易です。

特に、土壌や海洋環境での生分解性に優れているため、マイクロプラスチック問題の解決に貢献します。
射出成形などの一般的な加工方法にも対応可能であり、さまざまな製品への応用が期待されます。

環境対応素材の加工も可能です
海洋性分解の特性を持つNEQAS OCEANの採用事例

当社は生分解性樹脂「NEQAS OCEAN」を提案し、釣り糸スプールへの製造に採用されました。..

バイオPP(キャッサバ澱粉添加)

バイオPP(キャッサバ澱粉添加)は、キャッサバ澱粉を添加したバイオマスプラスチックの一種です。
柔軟性と高い靭性を持ち、ヒンジ部分などを必要とする製品に適しています。

230℃での成形でも焼けがほとんど起こらず、食品容器や包装材など幅広い用途に利用できます。
また、高い供給安定性も魅力の一つです。

minima PLA

minima PLAは、ポリ乳酸(PLA)を主成分とする生分解性プラスチックです。
高い透明性と光沢感があり、見た目にこだわる製品に適しています。

適切な条件下ではコンポスト処理も可能であり、廃棄物処理の負荷を軽減できます。
しかし、耐熱性や耐衝撃性に課題があるため、用途によっては改良や他素材との複合化が必要です。

【minima PLAの導入事例】家庭用日用雑貨製造業者

家庭用日用雑貨を製造するこちらの企業様は、海外展開を成功させるために「環境対応製品」の取扱いが必須であると考えていました。
しかし、一般的な環境対応製品は価格が高く、コスト面のハードルが大きな課題となっていました。

このような状況で注目したのがminima PLAです。
minima PLAは他の環境対応樹脂製品に比べ品質が高く、プラスチックライクである点が高く評価されました。
また、コスト面でも予算に収まり、環境対応製品の受注に成功されたそうです。

現在、同企業様は国内業者を主要販売先とされていますが、各バイヤーの環境対応製品に対する意識の高まりに伴い、「環境対応品」を軸とした商談が増加しています。
また、品質面でも、従来のプラスチック製品と比較して遜色がないと高い評価をいただいており、既存顧客からの信頼が向上しています。
今後は海外市場への本格的な展開を視野に入れ、環境対応製品を中心に新たな販路拡大を進めていく計画を立てられています。

TERRAMAC

TERRAMACはポリ乳酸(PLA)を基盤としたバイオプラスチックであり、優れた生分解性と機械的特性を兼ね備えている点が特徴です。
射出成形や押出成形など、既存のプラスチック加工技術を応用できるため、幅広い用途に適用可能です。
具体的には、食品容器、農業用フィルム、日用品などの分野で活用が期待されています。

また、バイオマス度が高く、製品のライフサイクル全体を通して環境への影響を考慮した設計がなされているため、持続可能な素材として高く評価されています。
使用後の処理方法についても、コンポスト化や自然環境下での分解が期待できますが、適切な処理環境を整備することが重要です。

リソイルグリーン

リソイルグリーンは植物由来の原料を使用し、土壌中での優れた生分解性を持つバイオプラスチックです。
農業用フィルムや園芸資材など、土壌に直接接する用途に非常に適しています。

使用後は土壌中の微生物によって分解されるため、環境中に残留しにくく、土壌汚染のリスクを低減することができます。
従来のプラスチックフィルムと比較して、同等の強度と柔軟性を備えているため、既存の農業用資材からのスムーズな代替が可能です。

タフセル

タフセルはセルロースを主成分としたバイオプラスチックであり、高い強度と耐熱性を兼ね備えている点が特徴です。
紙のような質感と印刷適性を持つため、包装材や紙器など、紙製品の代替として活用できます。

従来のプラスチックに比べて、燃焼時の有害物質の発生も少ないため、環境負荷の低減にもつながります。

パルプラス

パルプラスは木材パルプを主原料としたバイオプラスチックであり、自然な風合いと高い剛性が特徴です。
家具部品や建材、日用品など、耐久性が求められる製品に適しています。

木材資源の有効活用と環境負荷低減を両立する素材として高く評価されており、近年では、自動車の内装部品や家電製品など、より高度な用途への応用も検討されています。

バイオプラスチックのお問い合わせはKPPに

従来のプラスチックによる環境問題が深刻化する中、植物由来の「バイオプラスチック」が注目されています。バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの2種類があり、それぞれCO2排出削減や廃棄物問題解決に貢献します。

バイオプラスチックを選ぶ際は、原料、バイオマス度、生分解性、色味、におい、強度、食品衛生法への適合性などを考慮する必要があります。

KPPは、NEQAS OCEAN、バイオPP、minima PLAなど、多様なバイオプラスチックを提供し、環境負荷低減に貢献しています。
バイオプラスチックを用いた商品の試作から量産化まで丁寧にサポートしますので、まずは気軽にご相談ください。

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