プラスチック資源循環促進法とは？使用製品12品目や事例も紹介

プラスチック資源循環促進法とは

プラスチックは廃棄や処理が環境問題を引き起こしています。
日本では2022年4月に「プラスチック資源循環促進法（正式名称：プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律）」が施行されました。

プラスチック資源循環促進法では、製造業者、販売業者、消費者、廃棄物処理業者など、プラスチックのライフサイクルに関わるすべての事業者が協力して推進することが求められています。

ここではプラスチック資源循環促進法の基本原則と6つのマイルストーンについて解説します。

基本原則

プラスチック資源循環促進法の基本原則は、「3R＋Renewable」です。

• リデュース（Reduce）：プラスチック製品の使用量を削減すること
• リユース（Reuse）：プラスチック製品を再使用すること
• リサイクル（Recycle）：使用済みプラスチックを再資源化すること
• リニューアブル（Renewable）：再生可能な資源への代替を推進すること

「リデュース（Reduce）」とは、プラスチックの使用量を削減することを指します。
企業においては、製品の軽量化や代替素材の活用が求められています。

次に、「リユース（Reuse）」は、プラスチック製品を繰り返し使用することです。
リターナブル容器の導入や、再利用可能な食器の活用などが挙げられます。
最近では、テイクアウト容器の回収・再利用を促進するサービスも広がっており、使い捨て文化の見直しが進められています。

「リサイクル（Recycle）」は、使用済みのプラスチックを再資源化することを指します。
マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルなどが含まれます。

最後に、「リニューアブル（Renewable）」とは、化石資源に依存せず、バイオマスプラスチックなどの再生可能資源を利用することを意味します。

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6つのマイルストーン

プラスチック資源循環戦略では、2030年や2035年を目標とした6つの具体的なマイルストーン（目標）が設定されています。

• 2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制
• 2025年までにリユース・リサイクル可能なデザインを推進
• 2030年までに容器包装の60%をリユース・リサイクル
• 2035年までに使用済みプラスチックを100%有効利用
• 2030年までに再生利用を倍増
• 2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入

日本全体でプラスチックの資源循環を推進し、環境負荷の低減を図ることが目指されています。

特定プラスチック使用製品とは

特定プラスチック使用製品とは、消費者に無償で提供されるプラスチック製品のうち、政令で定められた12品目を指します。

• フォーク
• スプーン
• テーブルナイフ
• マドラー
• ストロー
• ヘアブラシ
• くし
• かみそり
• シャワーキャップ
• 歯ブラシ
• 衣類用ハンガー
• 衣類用カバー

ただし、商品と一体不可分に販売されている場合や、主な素材がプラスチックでない製品は対象外です。
上記の製品を提供する事業者は、提供方法の見直しや使用量の削減など、合理化の取り組みが求められています。

プラスチック資源循環促進法で事業者が取り組むべきこと

プラスチック資源循環促進法は、使い捨てプラスチックの削減や資源循環の促進を図っています。
特に、製品設計の段階から環境に配慮した仕組みの導入や消費者への提供方法を見直すことが重要です。

ここでは、プラスチック資源循環促進法において事業者が取り組むべき具体的な施策について紹介します。

環境配慮設計指針を策定する

事業者は、自社の業態や製品特性に応じた「環境配慮設計指針」を策定することが求められます。
「環境配慮設計指針」は、生産活動の中で環境負荷を低減する基となるものです。

たとえば、使用するプラスチックの量を最小限に抑えたり、耐久性を高めて長く使用できる設計にしたりすることが挙げられます。
また、異なる素材が混在しないよう設計し、リサイクルの効率を向上させることも重要です。

プラスチック製品の設計は国の指針に従う

事業者がプラスチック製品の設計を行う際には、国の「プラスチック使用製品設計指針」に従うことが推奨されています。
「プラスチック使用製品設計指針」は、資源循環を促進するために定められたものです。
具体的には、以下のようなポイントが挙げられます。

1. 製品の減量化：可能な限りプラスチックの使用量を削減し、資源消費を抑える
2. 再生材料の利用：リサイクルされたプラスチックを積極的に活用し、新たな資源採取を減らす
3. 分別・解体の容易さ：使用後のリサイクルを円滑にするため、異なる素材を組み合わせない設計を行う

参考：環境省｜プラスチック使用製品設計指針と認定制度

特定のプラスチックの使用を合理化する

特定プラスチック使用製品の提供事業者は、使い捨てプラスチック製品の提供方法を見直し、使用の合理化を図ることが求められています。
具体的な取り組みとしては、以下のような方法が考えられます。

1. 提供の有料化
2. ポイント還元
3. 要否確認
4. 軽量化
5. 代替素材への転換

上記の取り組みはプラスチックの使用量を減らすだけでなく、消費者の意識を変え、持続可能な社会への移行を促進することにもつながります。
こうした施策を積極的に導入することで、社会的責任（CSR）の向上にも寄与するでしょう。

プラスチック資源循環促進法の企業事例

プラスチック資源循環促進法の施行に伴い、多くの企業がプラスチック使用量の削減やリサイクルの促進に取り組んでいます。
ここでは、ファミリーマート、ユニリーバ・ジャパン、東急ホテルズの事例を紹介します。

ファミリーマート

ファミリーマートは、2030年までにオリジナル商品の容器・包装に環境配慮型素材の使用率を60%に引き上げる目標を掲げています。

具体的な取り組みとして、スプーンの軽量化や木製マドラーの導入、バイオマスプラスチックを配合したストローの採用などを進めています。

参考：ファミリーマート｜持続可能な資源利用と環境汚染の防止｜サステナビリティ

ユニリーバ・ジャパン

ユニリーバ・ジャパンは、2026年までに非再生プラスチックの使用量を2019年比で30%削減することを目指しています。

取り組みの一環として、製品ボトルの軽量化や再生プラスチックの使用、リサイクルしやすい単一素材のパッケージの採用などを推進しています。

参考：ユニリーバ・ジャパン｜プラスチックへの取り組み

TOKYU HOTELS

東急ホテルズは、使い捨てアメニティの素材見直しに取り組み、歯ブラシを100%バイオマス由来の生分解性素材「Green Planet®」に変更しました。

また、ペットボトル飲料の提供を廃止し、各フロアにウォーターサーバーを設置するなど、プラスチック削減を推進しています。

参考：東急ホテルズ＆リゾーツ新卒採用｜地球にやさしいアメニティ｜プロジェクトストーリー

KPPが取り扱う環境対応樹脂「NEQAS OCEAN」とは

KPPは環境負荷の低減を目的としたさまざまな環境対応樹脂を取り扱っています。

ここでは環境対応樹脂の一つである「NEQAS OCEAN」の概要と強みについて紹介します。

NEQAS OCEANの概要

「NEQAS OCEAN」は、酢酸セルロースを主原料とした環境対応樹脂です。
一般的なプラスチックであるPETやアクリルと同等の透明性を持ち、土壌や海洋環境においても分解が促進され、マイクロプラスチック問題の解決に寄与します。

また、石油由来のポリプロピレン（PP）やポリエチレン（PE）と同等の機械的特性を備えており、射出成形などの一般的な加工方法にも対応可能です。
既存のプラスチック製品からの置き換えが容易であり、環境負荷の低減に貢献します。

環境対応素材の加工も可能です

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NEQAS OCEANの強み

NEQAS OCEANは、バイオマス由来の成分を使用しながらも、従来のプラスチックと同等の機能性を持つ環境対応樹脂として注目されています。ここでは、NEQAS OCEANの強みについて詳しく紹介します。

バイオマス素材

NEQAS OCEANの主原料は、コットン由来のセルロースである酢酸セルロースです。
植物由来の再生可能資源を利用しているため、石油資源の消費を抑え、環境負荷を軽減できます。

また、2025年6月から、酢酸セルロースはポジティブリストに追加される予定です。

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生分解性

NEQAS OCEANは、土壌や海洋環境において優れた生分解性があります。
特に、海洋環境における分解速度は、従来の生分解性プラスチックと比較して1.5倍から2倍に向上しています。

出典：NEQAS OCEAN

一般的なプラスチックは分解が極めて遅く、マイクロプラスチックの発生源となるため、海洋生態系への悪影響が懸念されています。
NEQAS OCEANは生分解性が高いため、使用後の環境負荷を大幅に軽減することが可能です。

リサイクル性能

従来のプラスチックでは、リサイクルを繰り返すと強度や透明性が低下することが課題とされてきました。
一方、NEQAS OCEANは、最大5回のリサイクルを行っても物性の劣化がほとんど見られない高いリサイクル性能を備えています。

使用済みの製品を別の製品へとリサイクルすることが可能であり、持続可能な資源循環に貢献します。
最終的には自然環境下で分解されるため、廃棄物としての負荷も軽減できる点が大きな利点です。

透明性・成形性

従来の環境対応樹脂では、透明性の確保が課題とされていました。
NEQAS OCEANは一般的なプラスチック（PET、アクリル等）と同等の透明性を実現しています。
透明度が高いため、食品包装や化粧品容器など、見た目が重要視される用途にも適用しやすい素材です。

出典：NEQAS OCEAN

また、成形性にも優れ、射出成形や押出成形など、さまざまな加工方法に対応可能です。
従来のプラスチック製品からのスムーズな置き換えができるため、環境負荷の低減と利便性を両立できる素材といえます。

環境対応樹脂を用いた製品の企画・開発ならKPP

プラスチックごみ問題への対応として、プラスチック資源循環促進法が施行され、企業や自治体による資源循環の取り組みが進んでいます。
本法は「3R＋Renewable（リデュース・リユース・リサイクル＋再生可能資源の活用）」を基本原則とし、2030年や2035年を目標とした具体的な削減目標が設定されています。

しかし、次のような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

• 「どのようにプラスチック削減を進めればいいかわからない」
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