飲食店でのSDGsとは?サステナブルな素材の活用で環境を守る
最終更新日:2023/12/20
2015年9月の国連サミットで「持続可能な開発目標」が採択されて以来、「SDGs」「サステナブル」という言葉が徐々に浸透しはじめました。
しかしエヌエヌ生命保険株式会社が実施した飲食店の経営者へのアンケート によると「SDGsを知っている」と回答したのは37.8%という結果が出ており、あまり認知されていないことがわかりました。
出典:エヌエヌ生命保険株式会社 【業種別】全国の中小企業におけるSDGsへの取り組みに関する調査
~ SDGsの取り組みはサービス業よりも製造業が先行している傾向 ~
ただ、昨今の情勢はサステナブルな取り組み、およびサステナブル素材について取り組むことがスタンダードになっています。
この流れは飲食業界においても例外ではありません。
今回は実際に飲食業界においておこなわれている環境に配慮した取り組みや、飲食店、企業におけるサステナブルな取り組み例についてご紹介します。
飲食業界の現状とは
飲食業界とかかわりが深い問題といえば「食品ロス」が挙げられます。
特に事業による食品ロスの中で、外食産業の割合は無視できません。
引用元:農林水産省 食品ロスとは
食品ロスが起きるのは、飲食店のお客様が食べる量よりも提供するために作る食事の量が上回ってしまうことや仕入れた食品を使用する前に賞味期限が切れてしまうことなどが原因です。
また食品ロスによる廃棄は、焼却時に化石燃料を多量に使用するうえ 温室効果ガスを対象に排出することから、早急に解決すべき問題だといえるでしょう。
そこで、飲食業界が今後行うべき環境保全の取り組みとして「サステナブル素材」の有効活用が挙げられます。
サステナブル素材を利用することは食品廃棄物の削減とともに、新たな資源に頼らないサイクルを生み出すことにもつながります。
飲食業界におけるサステナブルな素材の重要性
サステナブルとは
サステナブル(Sustainable)とは、「sustain(持続する)」と「able(~できる)」の2つの言葉が合わさってできた言葉です。
持続可能な、という意味を持ち、自然環境へ配慮し資源を大切に利用することで、将来世代にわたって維持できる仕組みづくりのことを指します。
2015年9月の国連サミットで「持続可能な開発目標」が採択されたことにより、様々な課題に向けた取り組みが本格化し始めました。
サステナブル素材とは
サステナブルな素材とは、環境や社会に配慮された、環境負担の少ない持続可能な素材のことを指します。
主に天然素材とリサイクル素材の2種類があります。
- 天然素材
自然界に存在するものを繊維として使用し、生分解されて土に還ることができる素材
ゴミの廃棄などによる自然への影響を抑えることができる - リサイクル素材
ペットボトル・リサイクルポリエステルなど廃棄予定だったものを再利用して作られた素材
ポリエステル原料の石油使用量が減るため、CO2の削減につながる
ほかにもオーガニックコットン、生分解性再生セルロース、廃プラスチックを利用したリサイクル繊維などがあります。
飲食業界とサステナブル素材
飲食業界特有の課題として食品ロスが挙げられますが、廃棄時に多くは容器やトレーも一緒に排出されます。
その際にプラスチックの使用を減らすことも同時におこなえないかが課題となっています。
次項目では、現状の対策を見ていきます。
飲食店でのSDGsに向けて取り組まれている環境対応
生分解性素材を使用した食器の使用
ペットボトルや食品トレーなどのプラスチックは、主に石油を原料としています。
石油性プラスチックは自然に還ることがない素材のため、焼却廃棄がおこなわれます。
しかし廃棄がおこなわれず海に流れ出れば、大きさを保ったまま漂うか、削られマイクロプラスチックになるか、いずれにせよ分解されず生態系に影響を及ぼす可能性があります。
そこで自然環境のもとで分解される「生分解性素材」に注目が集まりました。
生分解性素材は、最終的に自然界の微生物によって二酸化炭素と水に分解されるため、環境への負荷が少なく地球にやさしい素材のひとつです。
たとえば、以下のようなものが生分解性素材として挙げられます。
- 紙
- 竹
- トウモロコシ
- バイオマス素材
飲食店など最近ではSDGs的な側面を踏まえプラスチック使用料削減のため、紙ストローを提供するお店が増えました。
紙ストローは他の代替ストローと比べ安価に製造できるうえ、原料が石油由来素材ではないため、焼却時の負担が減少します。
ほかにもトウモロコシのでんぷんやサトウキビを用いて作られるプラスチック「ポリ乳酸製品」を低コストで量産化する技術が開発され、話題を呼びました。
これには自然由来の素材を配合することでプラスチックの使用量を減らせる・丈夫で軽く利用しやすいなどの利点があります。
2018年1月、EUは2030年までに「域内全てのプラスチック製使い捨て容器の禁止」と「プラスチック包装のリサイクルを可能にする」目標を掲げました。
日本も近い将来、同様の目標を掲げることとなり、生分解性素材の利用はさらに重要視されるでしょう。
環境にやさしい製造方法を採用
昨今、飲食店や企業に求められているのはSDGsであり、環境にやさしいものづくりです。
環境に配慮した製品やサービスを提供することが、社会全体の環境負荷を抑え資源の効率化の向上に役立ちます。
また、製造方法の変化が業務の効率化につながり、コスト削減も可能となります。
たとえば、以下のような点が配慮すべき点として挙げられます。
- 農薬や殺虫剤を使用しない食品の採用または製造
- 電気や水を節約し、省資源で製造・運営する
- 製造工場ではグリーンエネルギーを使う
野菜や果物を育てる際に農薬や殺虫剤を使用すると、土の中の微生物や土壌そのものを痛めます。
長期にわたり農薬を使い続けた土壌はミネラルなどの栄養を失い、育った野菜や果物までもが栄養不足になることが懸念されています。
農薬や殺虫剤を使用しないことで土壌や作物の健康が守られるうえ、有機栽培の証である「有機JAS認証」が得られるため、慣行栽培作物との差別化ができ製品のアピールにもつながります。
また電気や水を節約することで環境負荷を抑えることはもちろん、省資源で製造することでランニングコストが抑えられます。
例えば製造工場では、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどから作られる「グリーンエネルギー」を取り入れることで、地球温暖化の抑制・化石燃料の消費削減への貢献になります。
省エネ対策に対する取り組み内容やその成果は、CSRとして広く公表が可能です。
環境負荷を抑えつつ、製品の材料調達から廃棄までを考えたサイクルを実現すれば、環境配慮の仕組み作りのパイオニアとして業界のモデルケースとなるでしょう。
食品リサイクルシステムの構築
食品廃棄物などのリサイクルは、主に「食品関連事業者」「再生利用事業者」「農林漁業者」との間で連携することが大切です。
引用:外食産業における食品リサイクルの基本的考え方
この循環図から、それぞれの業者に以下のことが分担されます。
- 食品廃棄物をたい肥化
- たい肥を利用して農作物を育成
- 育てた農作物を飲食店へ出荷
なかでも飲食業界の考慮すべき点を挙げてみましょう。
- 食品廃棄物の発生抑制を図る→食品ロスにもつながる
- 自社の廃棄物の発生状況を把握し、廃棄物の削減を進める
- 環境を企業全体の課題と認識し、検討・計画・実行・評価のできる組織体制をつくる
- 発生している廃棄物についてはリサイクルを進める
- リサイクル事業者と連携し、リサイクシステムの構築を図る
生産に伴い、廃棄物が発生するのは仕方のないことです。
しかし、定期的に自社・自店舗の廃棄物の発生状況を把握し、仕入れる食材の量を減らす、食品ロスの多いメニューを見直すなど、実践可能な対策を講じましょう。
当社での取り組み
当社と資本業務提携を結んでいる、株式会社アミカテラでは竹など非食植物繊維を主原料とした再度原料に”戻せる”、地上や海でも生分解し自然に”戻せる”環境素材modo-cell🄬を製造しています。
再原料化は使用しなくなった製品を回収し再製造のルーティンを繰り返すサステナブルなリサイクル活動です。
また国際紙パルプ商事株式会社では、株式会社アミカテラの素材・modo-cell🄬でバイオマスな食器やカトラリーを提案しています。
通常のプラスチックのように繰り返し使用することができ、多くの場合既存金型を活かして製造できるのが特徴です。
また、燃えるゴミとしての処理が可能で、ポリプロピレン製と比較し、焼却する際の温室効果ガス発生の約3割減らすことができます。
飲食業界に携わっている方は、ぜひサステナブルな「バイオマス食器・カトラリー」の検討をおすすめいたします。
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まとめ
サステナブルとは“持続可能な“という意味があり、よりよい未来の創造・維持のための仕組みづくりを指します。
サステナブル素材には、天然素材とリサイクル素材の2種類があり、生分解性素材や再生可能な素材を使用した製品を取り入れることが地球環境への配慮につながります。
美しい環境や限りある資源を、次世代・またその先の世代へと残していくためにも、サステナブル素材の取入れや取り組みを、ぜひこの記事で参考にしていただければと思います。