環境に優しいパッケージとは?環境配慮した素材やリサイクルの特徴もご紹介

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環境に優しいパッケージとは?環境配慮した素材やリサイクルの特徴もご紹介

昨今、資源の枯渇や廃棄物の処理問題、地球温暖化や温室効果ガスの増加問題により、積極的な3R(リデュース・リユース・リサイクル)や脱炭素化を意識した取り組みが求められています。
企業における環境配慮の取り組みの一環として、環境負荷の少ないパッケージへの変更を検討されているお客様も多いのではないでしょうか。
今回は副資材であるパッケージに着目し、求められる環境対応やそれぞれの素材の持つ性能についてご紹介いたします。

環境にやさしいパッケージ

環境に優しいパッケージとは

脱プラスチックパッケージへ
環境に優しいパッケージとは

  • なぜ環境対応が求められているのか?
  • プラスチックごみの現状
  • プラスチックパッケージの例
  • 環境に配慮したパッケージ素材の例
環境に優しいパッケージとは

企業へ環境保護が求められる背景

企業に環境配慮経営が求められ、事業との両立が当たり前に捉えられるようになった背景には、温暖化により気候変動が引き起こされ、産業の妨げや貧困が起きていることがあります。
また、限りある石油資源が長年の使用により枯渇しかかっていることなども一因です。
国際的に取り組みが加速したのは、2015年のパリ協定の採択により、具体的な目標数値が明示されたこともきっかけです。

資源の枯渇

現在、環境配慮が求められる要因の一つに「資源の枯渇」があります。
プラスチックで作られたパッケージの原料である石油は、2020年時点で可採年数(確認埋蔵量)が約54年とされています。

世界のエネルギー資源確認埋蔵量
出展:日本原子力文化財団 エネ百科


約54年という可採年数は採掘技術の進歩や市場価格によって変動するため、枯渇するまでの年数は変動し、長く持つかもしれません。
しかし、エネルギーの消費量は増加を続けていることを考慮すると、確保が厳しくなる前に対策を講じる必要があります。
そのためにも省資源・省エネルギーでの利用を目指すことが重要となっています。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁 第1節 エネルギー需給の概要

廃棄物処理の限界

ごみの排出量は、2000年年度をピークに減少傾向にあります。
分別の徹底やリサイクル、サステナブルの浸透により廃棄物となる容器・梱包などの排出量が減っているのも一つの要因です。

しかしごみの排出量問題とは別に懸念されている、最終処分場の状況は深刻です。
廃棄物を処理する際、燃やせるものは施設で焼却し、焼却灰を最終処分場で埋め立てます。
最終処分場のキャパシティは利用と共に減少し、現在の処分場が満杯になるまでの残余年数は23.5年となっています。
現状、新たな処分場の建設予定はないため、1日でも長く処分場延命に努めなければなりません。

出典:環境省 一般廃棄物処理事業実態調査の結果(令和2年度)について
出典:東京都環境局 中防の埋立処分場は、あと何年くらいすると、一杯になってしまうのですか。
出典:ごみ減量ネットワークQ-3 ごみは増えてるの?減ってるの?

地球温暖化の進行

地球温暖化による影響は異常気象だけにとどまりません。
森林災害・干ばつ・海面の上昇・生態系の崩壊など、あらゆる方面への悪影響が懸念されています。

地球温暖化の進行

温室効果ガスのなかでも主要とされる3種類(二酸化炭素・メタン・亜酸化窒素)の濃度は、2021年に観測史上最高値を記録しました。

出典:国際連合広報センター 世界気象機関(WMO)年次報告書:気候変動は進行し続けている(2023年4月21日付 WMO プレスリリース・日本語訳)

特に2020年~2021年の年間メタン濃度の増加量は過去最高値となっており、特定地点におけるリアルタイムデータによると、これら3種類の温室効果ガスレベルは2022年以降も上昇し続けています。
これらの変動により、企業においてはサプライチェーンの原料調達・加工や製造・使用から廃棄の工程までといったあらゆる場面で環境や生物多様性に配慮する必要があるでしょう。

プラスチックが多く使われる身近な製品としての梱包

プラスチック素材が使用されている製品例として、日用品や化粧品のパッケージ・容器があげられます。
おもな素材はポリスチレン(PS)・ポリエチレン(PE)・ポリプロピレン(PP)・ポリエチレンテレフタレート(PET)などで、おもにこの4種が多く使用されています。
次の項目では、プラスチックに用いられる素材の特徴と環境保護対策の懸念点を紹介していきます。

出典:経済産業省 容器包装リサイクルワーキンググループ(第12回) プラスチックと容器包装

パッケージとして用いられる素材と用途

パッケージに求められる特徴として、製品保護のための耐熱性や軽量さ、形状の変化の容易さなどが挙げられます。

ポリスチレン(PS)

ポリスチレンは軽量性が高く、食品トレイ・CDまたはDVDケース・緩衝材など幅広い用途での使用が可能であることや、大量生産できることから多くの物量を必要とする商品に用いられます。
食品トレイやコーヒーカップに用いられることでポイ捨てされる傾向にあることから、野生動物が誤って口にするなど、あらゆる面で悪影響を及ぼしかねない素材の一つです。
またポリエチレンテレフタレートと同様、海洋ごみ問題の原因となるプラスチック素材といえるでしょう。

ポリエチレンテレフタレート

ポリエチレン(PE)

ポリエチレンは水より軽く、耐酸性や耐アルカリ性などの耐薬品性に優れた素材です。
耐熱性や剛性に優れていることから食品容器・各種フィルム・シャンプー容器・バケツなど、さまざまな日用品に使用されています。
また、工業部品・パイプ・ラミネート包装の裏面など企業でも用いられる機会の多い素材です。
一方で、焼却した際に温室効果ガスの一つとされる二酸化炭素が発生するため、環境保護の観点から見ると環境負荷の大きい素材といえます。
長時間紫外線にさらされ、細粒化した「マイクロプラスチック」が海洋に流れ出ることで、生態系を崩す原因にもなるでしょう。

ポリエチレン

ポリプロピレン(PP)

非常に軽く、耐熱性・機械的強度が高いため加工に優れた素材です。
2021年では、日本国内で1045万トンのプラスチック原材料が生産されたなか、ポリプロピレンの生産量は246万トンとなっています。日本で作られるすべてのプラスチックのうち、約4分の1をポリプロピレンが占めています。
自動車部品や家電をはじめ、繊維やファイルなど日常用品まで幅広く使用されています。

ポリプロピレン

出典:プラスチックのはてな ポリプロピレンってどんなプラスチック?やさしく解説!

ポリ塩化ビニル(PVC)

ポリ塩化ビニルは、吸水性が低く耐水性に優れています。
加工性に優れている利点から、ラップ・テーブルクロス・ファッションアイテム・電線の素材・医療用品など、さまざまな用途に使用されます。
一方で、ポリ塩化ビニルを燃やした際に発生する「塩化水素ガス」は焼却炉を傷めるうえ、酸性雨を引き起こす原因です。同時に二酸化炭素を発生させることから、環境負荷の大きい素材ともいえるでしょう。

ポリ塩化ビニル

ポリ塩化ビニリデン(PVDC)

ポリ塩化ビニリデンは酸やアルカリなどへの耐薬品性に優れているほか、ガスバリア性にも優れたプラスチックです。弾性と耐久性に優れた素材であり、セロファンやプラスチックフィルムなどのコートにも用いられるなど、幅広く活用されています。 塩化ビニル(PVC)と混同されることがありますが、異なった性能を持ちます。
身近なものとしては、おもに使い捨てカイロ・ラップ・スナック菓子の袋として使用されています。
塩素原子を含むため、焼却時の塩化水素ガスやダイオキシンが問題視される素材です。

ポリ塩化ビニリデン

ポリエチレンテレフタレート(PET)

ポリエチレンテレフタレートはポリエステルの一種で、最も多く使用されるプラスチック素材です。
「ペットボトル」の語源は、ポリエチレンテレフタレートの略称「PET」から来ています。
耐熱性や耐寒性、耐薬性などに優れているほか、衣料用繊維のほぼ半分以上の素材にポリエチレンテレフタレートが使用されるなど、幅広い用途で使用可能な素材といえるでしょう。
一方で漂着ごみの中でもペットボトルが多く、海洋ごみやマイクロプラスチックの原因の一つとなっています。

ポリエチレンテレフタレート

出典:環境省 海洋ごみをめぐる最近の動向

容器包装リサイクル法と素材別リサイクルの現状

家庭から排出されるごみの重量の約2~3割、容積で約6割を占める容器包装廃棄物の減量化・資源の有効利用を図るため、1995年に「容器包装リサイクル法」が定められました。
容器包装リサイクル法の特徴は、市町村だけが全面的に背負っていたごみの処理を、消費者・市町村・事業者(容器の製造事業者・容器包装を用いて中身の商品を販売する事業者)が一体となってごみの削減に取り組むシステムです。

容器包装リサイクル法とは

「容器包装リサイクル法」によって、分別する役割・収集する役割・リサイクルする役割と分担を決め、容器包装廃棄物の削減に取り組むことが義務付けられています。
2006年にはあらたに「改正容器包装リサイクル法」が成立し、2007年の4月から施行されました。
プラスチック製ごみの分別収集が行なわれている市町村は2023年時点で1,381地区(79.3%)となっており、分別収集見込み量は762千トンとされています。
さらに4年後の2027年には1,389地区(79.8%)から793千トンの見込み量となる予想です。

出典:環境省 容器包装リサイクル法とは

素材別・リサイクルの現状

プラスチック

プラスチックは容器や包装のようにすぐ廃棄されるものと、家電製品や自動車といった耐久消費財の部品として利用されるものがあります。
前者と後者に時間的なギャップがあるため、生産量に対するリサイクル量を比較することは容易ではありません。

2019年の日本におけるプラスチックごみ排出量は約850万トンで、そのうち約40%が使い捨てプラスチック容器となっています。
プラスチックごみの有効利用割合は約85%とされており、焼却中の熱エネルギーを回収するサーマルリサイクルが約60%です。
また溶融後、プラスチック素材として約20%が再利用されています。

プラスチック排出量

出典:環境省 素材別のリサイクルの現状
出典:公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 プラスチックごみを減らそう

古紙

製紙工場に搬入された古紙はパルパーという機械で溶解され、繊維化されます。
抄紙機上での脱水後、シート状になったものを裁断したり、巻き取ったりする形で再利用が可能です。
2022年の古紙利用率は66.3%、回収率は79.5%となっています。

古紙

出典:日本製紙連合会 古紙の利用率及び回収率の推移

ガラスびん

ガラスびんにはワンウェイびんとリターナブルびんの2種類に分けられます。
リターナブルびんは使用後に回収し、洗って繰り返し使用することができ、2021年度のリターナブルびんの回収率は71.3%。

ワンウェイびんは一度限りの使用を前提に作られていますが、リサイクルが可能です。
ワンウェイびんは砕いてカレット(ガラスを砕いて細かくしたもの)にした後、新しいびんを作る原料としてリサイクルされています。

ガラス瓶

出典:環境省 素材別のリサイクルの現状

さまざまな業界における環境配慮への取組み

環境配慮経営が社会的に求められる中、パッケージにおける環境配慮や取り組みをおこなっている企業をご紹介します。

環境配慮の取り組み

化粧品業界・LUSH

エシカルコスメブランドとして有名なLUSHでは「買ったけど結局使わない」という機会を減らすため、通常時にキャンペーンやセールなど特典をつけることをおこなっていません。(クリスマスは特別に実施)
さらに「パッケージはごみ」であると主張し、ネイキッド商品として石鹼の切り売りをするほか、最小限のパッケージでバスボムやマッサージバーを販売しています。

また、LUSHで購入し使い終えた容器をお客様に返却してもらう「循環型容器返却プログラム」で水平リサイクルをおこなった後、新たに自社商品のパッケージとして使用する取り組みが行われています。
きれいに洗ったリサイクル対象容器5個を店舗に持参することで、お好きなフレッシュフェイスマスク1個と交換できるうれしいサービスも展開しています。

参考:LUSH 不必要なプラスチック包装を脱ぎ捨てる「ネイキッド」

日用品業界・P&G

大手日用品メーカーP&Gジャパンでは、海洋プラスチックごみを再生しボトルの原料として活用した「JOY Ocean Plastic」の販売を発表しました。
そのほか、ボトルの軽量化や容器の厚みを薄くすることで、石油由来樹脂原料の大幅な削減に成功。
一部製品では、キャップ部分のとりはずし方法をパッケージに表示したり、ラベルを剥がしやすいようミシン目を入れたりするなど、分別へ配慮する取り組みも行われています。
また、洗濯用洗剤のジェルボールによる節水・節電の提案や、国内工場の製造過程に再生エネルギーを利用するなどさまざまな環境保護への取り組みとビジネスモデルの両立を目指しています。

参考: P&Gジャパン 環境サステナビリティ
日本経済新聞 P&G、プラスチックごみを再生しボトルの原料とした台所用洗剤「JOY Ocean Plastic」を発売
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食料品業界・ハウス食品

ハウス食品では環境配慮製品のガイドラインを制定し、省資源化・減量化・環境保全など全30項目におよぶ環境配慮製品評価シートをもとに、どれだけ環境に配慮することができたかを評価する取り組みを実施中です。
商品開発では、一部レトルトカレーのパウチを電子レンジ調理に対応できる素材に変更することで、CO2排出量の削減に貢献しています。
また、2022年6月生産分の「北海道シチューシリーズ」から、ルウのふた部分の印刷にバイオマスインキが採用されました。
バイオマス原料を配合したボトルもメーカーと共同開発し、バイオマスマークを取得したボトルを自社商品の一部に採用しています。

参考:ハウス食品 製品における環境配慮

環境に配慮した素材をもっと知る

先に述べた素材以外にも、リサイクルに適した素材や環境に配慮した素材が多く開発・実用されています。
減プラスチックや脱プラスチックにつながる素材をご紹介します。従来のプラスチックとは原料の違いがあるものや、石油由来原料を使用しないものも生まれています。
まずはパッケージから環境を考えてみませんか。

パッケージからの環境対応

紙箱

・紙だけを使用
すべてのパーツを紙で作成するので、脱プラが可能です。
しなやかで折り目がつくので、形の変形の種類も豊富です。

・紙+バイオPEラミ
バイオPEラミは、植物由来の樹脂を原料としたバイオポリエチレンをラミネートした素材です。
強度と防水性があり、紙だけでは対応しきれない用途にも使うことが可能となります。
紙を一部使用することでプラスチックの割合を減らすことができるため、減プラとなります。

・紙+セロハン
セロハンの持つ透明性は、箱の内部が見えるといった窓の用途に最適です。
こちらも全体のプラスチックの割合が減少していることから、減プラとなります。

プラスチック代替え素材

・バイオマスPET
従来のPET素材の原料は石油でした。バイオマスPETは原料の一部に植物由来原料を使用しています。バイオマスプラスチックの一つとして知られています。
※PET=ポリエチレンテレフタレート

・再生PP
使用したPPや端材を使用し、再度同じ素材にリサイクルしたものが再生PPです。
PPはリサイクルしやすいため、100%のリサイクルで再度製品に利用することも可能です。
※PP=ポリプロピレン

・modo-cell🄬
竹などの植物繊維や植物由来の天然樹脂など自然由来の原料で作られるmodo-cell🄬は、成形加工に適した素材です。
薄膜から厚物まで対応が可能なため、幅広い梱包容器が作られます。

プラスチック代替え素材・成形品

・パルプモールド
段ボールや新聞などの古紙を原料とする紙製の成型品です。
使用した紙を再利用した製品のため、紙のマテリアルリサイクルが特に感じられます。

まとめ

使用後の製品をリサイクルするのは当たり前として廃棄処理がなされています。
昨今は素材そのものがリサイクルに適した、またはリサイクルを前提に生産された素材が増えています。
当社ではプラスチック代替品・modo-cell🄬の取り扱いをはじめ、さまざまな環境対応品を取り揃えています。
紙や再生PPは使用後に廃棄物となるのではなく、リサイクルが可能な資源です。リサイクルループシステムとして流れが可視化されることで実態を我が事としてとらえやすくなります。
プラスチックから紙、または石油由来ではないプラスチック素材に変更することで、廃棄時の負荷が減少に転じます。

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