オフィス壁紙の種類と選び方|機能性・素材から考える最適な壁紙ガイド

オフィスの壁紙は、単なる内装材ではありません。
社員が日々長時間を過ごす空間の快適性や健康性、さらには企業イメージや来訪者への印象にまで影響を与える、重要な要素の一つです。
しかし実際には、「コストを抑えたい」「どの種類を選べばよいかわからない」「防火や環境面まで考慮できていない」といった悩みを抱えたまま、十分な比較検討が行われないケースも少なくありません。
近年は、デザイン性だけでなく、防水・断熱といった機能性、素材の安全性、環境配慮まで含めたオフィス壁紙の選び方が求められる時代になっています。
本記事では、オフィス壁紙の種類や素材ごとの特徴、選定時に重視すべきポイントを整理しながら、これからのオフィス空間づくりに適した壁紙の考え方をわかりやすく解説します。
オフィス壁紙の重要性

オフィスの壁紙は空間の印象や働く環境に大きな影響を及ぼす重要な要素です。
壁紙一つで洗練された空間にも雑然とした場所にもなり得るため、適切な壁紙選びが社員の快適性や来訪者への印象にも直結します。
また近年ではデザイン性だけでなく、消臭・防炎といった壁紙の機能性や、人や環境への配慮も重視されるようになっています。
オフィス壁紙の種類と特徴

オフィスで使われる壁紙には、大きく分けてビニールクロス、紙クロス・フリースクロス、布クロス・木質系クロスなどの種類があります。
それぞれ素材や性能に特徴があり、用途によって適した壁紙が異なります。
本章では主な壁紙種別との特徴とメリット・デメリットを解説します。
塩化ビニールクロス(ビニール壁紙)
ビニールクロスはポリ塩化ビニルを主原料とする最もポピュラーな壁紙で、耐久性が高く施工しやすいうえ、価格が安く色やデザインの種類も豊富です。
汚れに強く水拭きも可能なため、キッチンやトイレなど水回りを含めオフィスの様々な場所で幅広く採用されています。
一方で通気性が低く、湿気がこもるとカビの発生原因にもなり得ます。
使用環境によっては換気や防カビ対策にも留意して選ぶ必要があります。
紙クロス・フリース壁紙
紙クロスはパルプや和紙を主成分とした壁紙で、自然な風合いと温かみが魅力です。
通気性が高く、燃焼時に有害物質を出さないため環境負荷が少ない素材として注目されています。
その反面、水や汚れに弱く傷つきやすいので、汚れが付きにくい場所に用いるなどの配慮が必要です。
近年増えているフリース壁紙(不織布クロス)は、パルプとポリエステルなどの繊維を混合し織らずに絡めた不織布素材の壁紙です。
寸法安定性が高く伸縮しにくいため目地の隙間が生じにくく、引裂き強度も強いため施工性に優れています。
専用の接着剤を用いれば下地を傷めず綺麗に剥がせるため、張替えのしやすさというメリットも持ち合わせています。
紙クロスに比べ耐久性とメンテナンス性が向上した次世代型の壁紙と言えるでしょう。
布クロス・木質系クロス
布クロスはシルクや綿など天然・合成繊維を用いた壁紙で、上質な質感と高級感が特長です。
織物ならではの柔らかい手触りがあり、音を適度に吸収する効果も期待できるため、役員室や応接室など落ち着いた空間に適しています。
ただし汚れが付きやすく目立ちやすい上に、クリーニングや補修にも手間がかかるため、メンテナンス性は劣る点に注意が必要です。
一方、木質系壁紙や漆喰・珪藻土クロスといった自然素材系の壁紙もあります。
木材由来の壁紙や塗り壁風のクロスは独特の風合いでナチュラルな印象を与え、調湿性・消臭性・断熱性など機能性に優れた製品も多く存在します。
例えば珪藻土を用いたクロスは空気中の湿度を調整し臭いを吸着する効果があります。
しかし自然素材系の壁紙は汚れやすく水拭きできないものも多いほか、材料・施工コストが高い傾向があるため、導入には予算面も含めた検討が必要です。
オフィス壁紙の選び方

オフィス用の壁紙を選定する際は、設置する場所の用途や求める機能性、必要な防火性能、壁紙の素材特性、および長期的なコストまで総合的に考慮することが大切です。
以下に、壁紙選びで押さえておきたい主なポイントを解説します。
用途や空間ごとの適性
まず壁紙を使用する空間の用途や求める雰囲気に応じて適切な種類・デザインを選びます。
そのオフィス空間が執務エリアなのか会議室なのか、来客のあるエントランスなのかによって、壁紙に求められる役割は異なります。
例えば、会議室であれば集中力を高めつつ重厚感を演出できる落ち着いた色調を、リフレッシュスペースであれば明るくリラックスできるデザインを選ぶなど、スペースごとに壁紙に期待する効果を考慮しましょう。
エントランスや受付など来訪者の目に触れる場所では企業のブランドイメージが伝わるデザインを採用することで、信頼感やプロフェッショナリズムを演出することもできます。
機能性(防水・断熱・消臭など)
壁紙に備わる機能面もチェックしましょう。
場所や用途に応じて、防水・防カビ・抗菌・消臭・調湿・断熱など必要な機能を持つ壁紙を選ぶことで、快適性や衛生面を向上できます。
例えば水まわりや給湯室には防水性や防カビ性の高いビニール壁紙が適していますし、集中しづらい空間には吸音機能を備えた壁紙を使うことで騒音を軽減できます。
また、夏場の熱や冬場の冷気を和らげる断熱機能や結露を防ぐ調湿機能を持つ壁紙も存在します。
実際、漆喰クロスや珪藻土クロスなどの自然素材壁紙は調湿性や断熱性、消臭性に優れており、空調効率の改善や臭い対策に効果を発揮します。
求める効果に合わせて、このような機能付き壁紙の導入も検討しましょう。
防炎・防火性能の確認
オフィスや商業施設では、防火安全の観点から壁紙の防炎・防火性能の確認が欠かせません。
日本の建築基準法や消防法令では建物の用途・規模に応じて内装材に一定の防火性能(不燃・準不燃・難燃材料など)が求められており、基準を満たした壁紙は「防火壁装材料」として国土交通大臣認定を受けています。
認定を受けた製品には製品ラベルに防火性能区分や認定番号が表示されており、施工現場には「防火施工管理ラベル」を貼付して性能を証明します。
オフィスの壁紙を選ぶ際には、必ず建物種別に適合した防火性能(不燃材料認定や防炎性能)を有する製品かどうかを確認しましょう。
特に不特定多数が利用する施設や大規模オフィスでは、防炎ラベルの有無や不燃認定番号の確認が重要です。
万一非常時に燃え広がりにくい壁紙を選んでおくことで、法令遵守だけでなく万全の防火対策にもつながります。
素材・材質と環境への配慮
壁紙の素材そのものにも注目しましょう。
ビニール系か紙・オレフィン系かといった材質の違いは、環境や健康への影響、仕上がりの質感にも関係します。
一般的な塩ビ(PVC)壁紙は、焼却時に塩素系の有害物質を発生する可能性が指摘されており、また可塑剤に含まれるフタル酸エステル類などが人体・環境へ与える影響も懸念されています。
そのため昨今では非塩ビ素材を使った壁紙も増えており、例えばオレフィン系の壁紙は塩素を含まず環境負荷の低減に寄与します。
実際、オレフィン樹脂を基材に用い不燃認定かつF☆☆☆☆を取得した非塩ビ壁紙など、環境に配慮した商品も登場しており、企業のサステナビリティ方針に沿った素材選びが可能です。
加えて、シックハウス対策としてホルムアルデヒドの発散等級(F☆☆☆☆)も確認しましょう。
F☆☆☆☆は最も放散量が少ない等級で、このランクの壁紙のみを使えばホルムアルデヒドによる室内空気汚染リスクを大幅に低減できます。
実際に多くの内装業者がF☆☆☆☆等級の壁紙のみを採用しており、オフィスの健康的な空間づくりには欠かせない基準となっています。
長期的なコストパフォーマンス
壁紙選びでは長期的なコストパフォーマンスも考慮しましょう。
初期の材料費・施工費だけでなく、耐用年数やメンテナンス頻度まで含めたトータルコストを見据えることが大切です。
例えばビニールクロスは耐久性が高く汚れにも強いため張替え頻度が少なく、長い目で見ればメンテナンスコストを抑えることができます。
多少初期費用が高めでも、結果的にランニングコストを低減できるケースがあるということです。
一方、布クロスは材料費自体が高価で汚れやすいためメンテナンスに手間がかかり、頻繁な張替えが必要になるとコスト増につながります。
そのため重厚感が必要な一部の空間にポイント使いするなど、用途を限定して使用する方が経済的です。
またオフィスの移転や改装サイクルに合わせて、模様替えのしやすさも検討ポイントになります。
将来的にオフィスデザインを変更する可能性が高い場合は、張替えやすいフリース壁紙を採用する、低コストで貼り替え可能な量産壁紙を選ぶといった判断も有効でしょう。
次世代の選択肢「IMPRIMI FLEECE」の特長とメリット

最後に、新しい選択肢として注目される壁紙用インクジェットメディア「IMPRIMI FLEECE(インプリミ・フリース)」をご紹介します。
IMPRIMI FLEECEはパルプ主体の不織布素材により、日本で初めて不燃認定を取得した壁紙用インクジェットメディアです。
高精細なオリジナルデザイン印刷と優れた耐久性を兼ね備えており、ホテルや飲食店からオフィスまで空間のデザインに最適な高機能壁紙素材です。
可塑剤を含まないため人体・環境への負荷も小さく、森林認証 FSC® 取得素材を使用するなどサステナブルな特徴も備えています。
通常の壁紙では実現しにくいオーダーメイドのデザイン空間を安全かつエコに実現できる次世代型の製品と言えるでしょう。
詳しくは資料『壁紙から考える 環境にも、人にも優しい空間づくり』をぜひダウンロードいただき、その特長をご確認ください。
興味を持たれた方はお問い合わせいただくことで、導入事例やカタログの提供も可能です。
まとめと今後のオフィス壁紙選定のポイント

オフィスの壁紙選びは、空間のデザイン性だけでなく機能性・安全性・環境対応まで含めた総合的な検討が重要です。
壁紙の種類ごとの特徴や選定ポイントを押さえることで、働きやすく魅力的でしかも安全なオフィス空間を実現できます。
さらに昨今は壁紙以外の内装材についても環境に優しい素材が登場しています。
紙から生まれた人工芝「OJO⁺ ペーパーターフ」は、紙の糸が持つ多孔質構造によって優れた吸放湿性や消臭・抗菌性能を実現した床材で、人にも環境にも優しい空間づくりに貢献する注目の素材です。
壁紙選びをきっかけに、オフィス全体のインテリアを環境配慮型・機能重視のものへ見直すことで、社員にとっても来訪者にとっても快適でサステナブルなオフィス環境を創出していきましょう。
これらのポイントを踏まえつつ、最終的には専門業者とも相談し、自社のニーズに最も適した壁紙を選定することが肝要です。
適切な壁紙選びで企業の価値を高めるオフィス空間を実現してください。





