シリーズ脱炭素社会|脱プラスチック達成の注目素材である紙化を解説


最終更新日:2023/12/15
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シリーズ脱炭素社会|脱プラスチック達成の注目素材である紙化を解説

前回は「脱炭素とはなにか」や「個人や企業がおこなう取り組み」などを解説しました。
今回は取り組みの一つとして多くの企業が進める、紙化からの脱炭素を見ていきます。

脱プラスチックによりプラスチックから紙に置き換える「紙化」が推進される昨今ですが、本当に紙化は環境によいのでしょうか。
今回は紙とプラスチックの素材性能の違いから、紙化についてのメリット・デメリットを考えていきます。
そして脱炭素化社会の実現に向けて取り組むべきことを考えていきましょう。

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紙とプラスチックの得意分野

紙とプラスチックにはそれぞれ得意とする分野があります。
液体などの密閉を必要とするものや繰り返し使用するもの、外からの防水機能を求める場合には、プラスチック素材が適しています。
対して紙は”情報の伝達、拭き取る・吸収する、包む”ことに適しています。特に情報伝達においては比較的種類を問わずに筆記が可能です。
また、多孔性で親水の機能をもつことから、液体の吸収・浸透が可能です。衛生用途や家庭紙の用途でも多く使われています。
薄くすることも厚みを出すことも簡単であり、加工がしやすく人の持つ力でも形を変えることができます。
これにより紙は様々なパッケージに使用されています。衝撃に強く断熱性もあることから、緩衝材の用途でも活躍しています。


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それぞれのメリット

プラスチック

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・性質の幅が広く、大量生産が可能

プラスチックの種類は大きく、熱可塑性と熱硬化性の2つに分けられます。
熱可塑性樹脂とは、過熱により柔らかくなり再び冷却することにより固まる樹脂のことです。ポリエチレンやポリプロピレン、ABSなどが該当します。
一方、熱硬化性樹脂とは過熱により硬化する樹脂です。フェノール樹脂やエポキシ樹脂、メラミンなどがあります。
また、樹脂に繊維などのフィラーを添加することで、物性の変化や機能性を与えることが可能になります。
加工性や強度。耐熱性が高まり、さまざまな性質を持つことで幅広い用途に対応できるようになります。

・廃棄物の減量化

比重が軽い特徴を持つものが多く、廃棄物として回収する際に重さを取らないことが利点に挙げられます。
リサイクルとしては、再度同じ種類の樹脂となるマテリアルリサイクル、化学処理を経て素材や原料となるケミカルリサイクル、焼却により熱エネルギーを得るサーマルリサイクルといった処理方法があります。これらにより、製品使用後も再度活用ができるため、新しく使用する資源の量を減らすことができます

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・簡単に形が変えられる

柔らかく、人の力で折りたたむことができるため簡易的な立体物をつくることが可能です。

・要求物性に適応できる

印刷用紙にはインクの染み込みやすさが求められ、食品包装用紙には水や油などが染み込まないよう耐水性・耐油性が求められます。相反する特徴を一つの素材で展開できるメリットが、紙にはあります。

・保存期間が比較的長い

紙の内部に含まれる硫酸によって、時間がたった紙の繊維がボロボロになることがあります。
これを防ぐために、硫酸を使用しない中性紙が製造されました。現在ではほとんどの出版物に中性紙が使用され、その寿命は300~400年といわれています。
なかでも和紙の寿命は1000年とも言われ、耐久性・強靭性に優れています。

・リサイクル率が高い

日本においての古紙回収率は81%と高く、回収後の古紙利用率も66%と有効活用がなされています。
リサイクル制度が整っていることもあり、限られた資源を正しく使うことが可能になります。

・公益財団法人 再生促進センター (参照:2023年2月14日)
数字で見る古紙再生

それぞれのデメリット

プラスチック

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・リサイクルにコストがかかる

現状のリサイクル方法では、プラスチック製品から再度同じ製品に生まれ変わらせることや、透明度を保って再利用することはコストが高く、もとの製品よりグレードを落とした製品に再利用されることがほとんどです。
さらにプラスチックには種類が多くあり、基本的には同じ素材だけを集めリサイクルをしなければなりません。
様々な特性を持つ複合樹脂は高い性能を持ちますが、リサイクルの際には分けることができない厄介な素材となってしまうのです。

・リサイクルに手間がかかる

混じってしまうのは素材だけではありません。包装に使用されたプラスチックには食品を対象にしていたものもあり、油などの液体で汚れてしまっている場合があります。集められたプラスチックを洗浄することは難しく、リサイクルされずに焼却や埋め立て処理がおこなわれています。

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・すべての紙がリサイクル可能ではない

プラスチックと同じく汚れのついた紙や感熱紙などの機能性の高い紙は、古紙としての再利用が難しいものがあります。
古紙として排出されたものはそれぞれ品質や特徴に応じて異なる原料に使用されるため、リサイクルのために正しい分別が必須となります。

・公益財団法人 古紙再生促進センター (参照:2023年2月14日)
紙のリサイクル

繰り返し使用するのも限度がある

古紙のリサイクル回数は3~5回程度といわれています。紙の繊維は繰り返し使用するにつれ劣化し、もろくなってしまうからです。

紙化対応の例

・素材を100%紙に置き換えた紙化対応

主に使い捨てで使用されるストローやマドラーが挙げられます。
当社では再生紙を使用した紙製ハンガーやフックを展開しています。

・プラスチックの中に紙の配合率を高めた紙化製品の開発

食品包装や、プラスチック資源循環促進法で指定された特定プラスチック使用製品であるコンビニ・スーパーで無償提供されるフォークやスプーンなどに、紙化製品は使われています。
すべてを紙で代用するのではなく、目的に合わせ紙の比率を変化させていく製品が生まれています。
当社では紙を50パーセント以上配合したフェイスカバーやアパレル用内袋などを展開しています。

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脱炭素素材としての紙化対応のメリット

100%紙素材での製品であれば、古紙として再原料化が可能です。紙以外の素材と合わせた製品と比べ、廃棄及び再原料化がしやすくなります。
また、紙の素材である木材は二酸化炭素の吸収をおこなっており、温室効果ガスの削減にも効果があります。 木を正しく伐採することで木材を資源として活用できるだけでなく、間伐により豊かな森林を育てることにつながります。

機能性紙素材のメリット

紙にプラスチックなどの素材を合わせ加工し、用途に適した機能を付与することで、目的に合った製品をつくることができます。
しかし紙に機能性を持たせた製品は、難処理古紙と呼ばれるプラスチックと紙の分離に手間がかかるものになります。当社では難処理古紙の有効活用を進めるとともに、古紙回収のスキームだけでない、リサイクルの回収スキーム確立をすすめています。

紙にすることでブランドイメージがよくなるという風潮はどこから?

紙は木材資源から作られる素材であり、微生物による生分解が可能です。また古紙としてのリサイクルも可能であることから、環境にやさしい素材といえます。
紙の原料も、育ちすぎて過密になった森林の健康を守るために間伐で伐採した木を資源にしています。違法な伐採ではなく、今後の森林・土地の保全を考えた行動の上に成り立っているのです。
また、森林が二酸化炭素の吸収をおこなうことで温室効果ガス減少に繋がります。鉄などの資材に比べ、加工に要するエネルギーが低いことで、二酸化炭素の排出を抑える効果があります。
吸収と排出の削減といった双方向から温室効果ガスに対応が可能です。

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何を目的として脱炭素に取り組むのか

紙製品に移行し、プラスチック使用量が減ったという実績を出すだけでは問題の解決とはなりません。マイクロプラスチック問題によって引き起こされる環境汚染を食い止めるために求められていることは、環境にやさしい素材を使用し負担をかけないこと・限りある資源を有効に使うこと・それによって循環型社会の確立を目指すことです。
一時的な素材変更に留まるのではなく、最終処理方法がどう変化するのかといった、製品の最後まで責任を持つことを企業は求められているのです。

まとめ

SHIFT ONではお客様のご要望に沿った紙製品や紙機能材、資源循環を実現するクローズドリサイクル、バイオマスプラスチックなどの提案・ご採用を通して脱炭素の取り組みを支援しています。
豊富な知識と幅広い取扱製品・サービスの実績を持つ当社にぜひご相談ください。

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