水性インクジェットプリントとは?屋内販促物で使用される素材とともに紹介

インクジェットプリントは、オンデマンド印刷の一種で、必要な分だけを迅速に印刷できる手法です。
中でも、水性インクジェットプリントは、発色の鮮やかさや環境負荷の低さから、屋内向けのポスターや展示パネルに最適です。
本記事では、水性インクジェットプリントの特徴やメリット、使用できるメディアの種類について詳しく解説します。
目的に応じた最適な印刷方式を選び、クオリティの高い印刷物を実現しましょう。
インクジェットプリントとは
インクジェットプリントとは、オンデマンド印刷の一種で、必要な分だけを迅速に印刷できる手法です。
レーザープリントと異なり、大判の販促物やポスターなどの印刷に適しており、多様なサイズに対応できます。
用紙の厚みに関しても、レーザープリントでは制限があるのに対し、インクジェットプリントは比較的幅広い素材に対応できる点が特徴です。
ただし、専用のインクジェット用紙を使用する必要があります。
水性インクジェットプリントとは
販促物を制作する際には、目的や用途に合った素材を選ぶことが重要です。
特に屋内用の販促物では、水性インクジェットプリントが広く採用されています。
水性インクジェットプリントは発色が鮮やかで、環境への負荷も比較的少ないのが特徴です。
ポスターやPOP、展示会用パネルなど、短期間の使用を想定した屋内用途に適しています。
また、インクが紙やコート紙にしっかりと定着するため、写真やグラフィックの再現性が高く、美しい仕上がりを実現できます。
ただし、水に弱いため、屋外での長期使用には向きません。
目的に応じて耐水性のあるラミネート加工を施すなど、適切な処理を行うことが重要です。
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印刷方法
印刷方法は、代表的なものとして、オフセット印刷とオンデマンド印刷(デジタル印刷)が挙げられます。
用途やコスト、品質に応じて適切な方式を選びましょう。
オフセット印刷
オフセット印刷は、版に付けたインクを一度ゴム製のブランケットに転写し、そこから用紙へと印刷する間接的な方法です。
ムラの少ない均一な仕上がりになり、高品質な印刷が可能です。
特に、大量印刷に適しており、新聞、雑誌、カタログ、パンフレットなどの印刷に広く利用されています。
版を作成する必要があるため、初期コストが高く、小部数の印刷には不向きとされています。
ただし、一度版を作成すれば単価が大幅に下がるため、大ロットの印刷にはコストパフォーマンスが高い手法です。
オンデマンド印刷(デジタル印刷)
オンデマンド印刷は、デジタルデータを直接印刷機に送り、必要な部数だけを迅速に印刷する方法です。
製版作業が不要なため、短納期や小部数の印刷に適しており、名刺、チラシ、冊子などの印刷によく活用されます。
内容の変更が頻繁に発生する印刷物や、個別に異なる情報を印刷するバリアブル印刷にも対応可能です。
オフセット印刷と比較すると、色の再現性や細部の表現力で劣る場合があります。
とはいえ、手軽に高品質な印刷ができるため、小規模なビジネスや個人向けの印刷ニーズに広く利用されています。
溶剤系インクジェットとの違い
水性インクジェットプリントと溶剤系インクジェットプリントは、用途や特性が異なります。
ここでは「インクの成分」「印刷物の品質」「導入コストと運用コスト」という3つの点で違いを解説します。
インクの成分
水性インクは、染料または顔料を水に溶解・分散させたもので、環境負荷が少ないのが特徴です。
専用のインク受容層を持つメディアに印刷され、インクが層に浸透して定着します。
そのため、発色が鮮やかで高精細な印刷が可能ですが、耐水性や耐久性が低いため、主に屋内用途に使用されます。
一方、溶剤系インクは有機溶剤に顔料を溶かしたもので、印刷後に溶剤が揮発し、インクが定着します。
耐候性や耐擦過性に優れ、雨風にさらされる屋外の看板や車両ラッピングなどに適しています。
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印刷物の品質
水性インクジェットプリントは、発色が鮮やかで、写真やポスターなどの高精細な印刷に適しています。
そのため、美術ポスターや広告用POP、展示会用パネルなど、細部の表現を重視する印刷物に向いています。
耐水性や耐光性が低いため、長期間の屋外使用には適していません。
一方、耐候性や耐擦過性に優れ、雨風に強いため、屋外看板やバナー、車両ラッピングなどに広く活用されています。
発色や解像度の面では水性インクに劣る場合があり、細かいグラデーションや高精細な画像の再現には不向きなケースもあります。
そのため、用途に応じた適切な印刷方式の選択が重要です。
導入コストと運用コスト
水性インクジェットプリンターは、機器自体の導入コストが比較的低く、環境負荷も少ないため、運用コストが抑えられるのが利点です。
ただし、専用のメディアが必要となるため、紙質やコーティングの選定が重要になります。
一方、溶剤系インクジェットプリンターは、耐候性や耐久性に優れ、さまざまな素材に直接印刷できます。
しかし、溶剤を使用するため取り扱いに注意が必要で、換気設備の導入や環境規制への対応も求められます。
水性インクジェットプリントのメリット
水性インクジェットプリントは、環境負荷の低さや高精細な印刷性能など、さまざまなメリットを持つ印刷方式です。
ここでは3つのメリットを紹介します。
環境に優しい
水性インクジェットプリントは、水を主成分とするインクを使用しているため、揮発性有機化合物(VOC)の排出が少なく、環境負荷が低いという特徴があります。
大気汚染の抑制につながり、安全な作業環境を維持することが可能です。
また、油性インクと比較して、製造過程や廃棄時の環境影響も抑えられるため、持続可能な印刷方法として注目されています。
多岐にわたる用途で利用できる
水性インクジェットプリントは、写真やポスターなどの高精細な印刷物から、製図や設計図のように細部の再現性が求められる用途まで、幅広く対応可能です。
グラデーションの美しい表現や微細なラインの描写が得意なため、デザイン業界や建築業界でも多く使用されています。
紙や布への印刷だけでなく、特定のインクやプリンターの仕様によっては、プラスチックや金属、木材などの異なる素材にも対応可能です。
コストパフォーマンスに優れている
水性インクジェットプリントは、製版作業が不要で、デジタルデータから直接印刷できるため、少部数の印刷でも低コストで対応可能です。
小ロットの印刷物や短納期の案件にも柔軟に対応でき、無駄な在庫を持たずに効率的な印刷が実現できます。
また、オフセット印刷と異なり、単価が大きく上がらないため、小規模なビジネスや個人事業主でも導入しやすいのが特徴です。
プリンター自体の導入コストが比較的低く、消耗品のコストも抑えられるため、トータルの運用コストを減らすことができます。
実際に使用されているメディア例
水性インクジェットプリントでは、用途に応じてさまざまなメディアが使用されます。以下では、代表的なメディアの特徴と使用例を紹介します。
印画紙(光沢紙)
印画紙は、高い光沢感と鮮やかな色再現性が特徴で、写真やアートプリントに最適なメディアです。
プロの写真家が使用するファインアート紙から、家庭用プリンターで手軽に印刷できる汎用紙まで、さまざまな種類があります。
印画紙(光沢紙)の主なメディアは次のとおりです。
- 写真印刷
- アートプリント
- ポートレート写真
- 展示用ポスター
- ギフトや記念品フォト
色の再現性が高いため、ポートレート写真や風景写真など、細かいディテールを求める印刷に適しています。
また、個展や美術館で展示されるポスターにも使用され、作品の美しさを引き立てます。
近年では、写真集やオリジナルフォトギフトとしての需要も高まり、特に「推し活」において、推しの写真を持ち歩くアイテムとしても人気です。
キャスト紙
キャスト紙は、印画紙ほどの品質が求められない用途に適したメディアで、適度な光沢感がありながら、コストを抑えた印刷が可能です。
キャスト紙の主なメディアは次のとおりです。
- 写真印刷
- 販促用印刷物
- ビジネス用途
写真スタジオでのプリントや、パンフレット、フライヤー、ポスター、ディスプレイなどの販促用印刷物によく使用されます。
特に、ビジュアルの訴求効果を重視する広告や宣伝ツールに向いており、鮮やかな発色が求められる印刷物に適しています。
また、企業のプレゼン資料や名刺、カタログなど、印象的な仕上がりが求められるビジネス用途にも広く活用されています。
コストと品質のバランスに優れているため、多様な分野で利用されるメディアです。
マット紙
マット紙は、光の反射を抑えた落ち着いた仕上がりが特徴で、ビジネス書類やレポート、マニュアルなどのドキュメント印刷に適しています。
マット紙の主なメディアは次のとおりです。
- ドキュメント印刷
- 写真印刷
- アートプリント、ポスター、パンフレット、招待状、カード、名刺など
- ラベル、シール、値札など
オフィス環境での使用が多く、読みやすさや視認性を重視した印刷物に向いています。
また、写真印刷では、ポートレート写真や風景写真など、アートやカジュアルな用途に適しており、ナチュラルな色合いを演出できます。
さらに、アートプリントやポスター、パンフレット、招待状、カード、名刺などの記念に残る印刷物にもよく使用され、上品で落ち着いた仕上がりを求める場合に最適です。
加えて、ラベルやシール、値札などにも利用され、特に食料品や化粧品などのシンプルなデザインのラベルに適しています。
屋内販促物のことならKPP
水性インクジェットプリントは、鮮やかな発色と高精細な印刷が可能なオンデマンド印刷方式です。特に屋内用のポスターやPOP、展示会パネルなどに適しており、環境負荷が少ない点も特徴です。
「どのような販促物を制作すればよいかわからない」という方は、次の資料を参考にしてください。
印画紙(光沢紙)、キャスト紙、マット紙など、用途に応じたメディアを選ぶことで、印刷物の仕上がりや耐久性を向上させることが可能です。当社では試作から量産まで対応し、最適な素材選びをサポートいたします。
水性インクジェットプリントをご検討の際は、ぜひKPPにご相談ください。
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