飲食業界の脱プラスチック|食品容器に使える環境対応素材・バイオプラスチック容器の選び方

レジ袋の有料化やストローの紙化など、飲食業界ではプラスチック削減の取り組みが広がってきました。一方で、テイクアウト容器や食品トレーなど日常的に使う食品容器は、品質やコストの壁から手つかずという企業も少なくありません。
石油由来プラスチックを2030年までに2020年比50%削減し、2050年までにゼロにする目標を掲げながらも、次の一手に悩む担当者の方は多いのではないでしょうか。
2026年には中東情勢の悪化で食品トレー・容器が約3割値上げされ、コスト面でも素材転換を検討すべき局面です。
本記事では、品質・機能を保ちつつ既存の製造・運用を大きく変えずに導入できる環境配慮素材と脱プラスチックの選択肢を、規制・事例・素材・課題・解決策の順で解説します。
- なぜ今、飲食業界で食品容器の脱プラスチックが求められるのか
- 飲食業界で進む環境対応の取り組み事例
- マクドナルドの環境対応(責任ある調達・容器の紙化)
- スターバックスコーヒージャパンの使い捨てプラ削減
- すかいらーくグループ「ガスト」のカトラリー・レジ袋の脱プラスチック
- 日本ハムの包装用プラスチック削減(食品メーカーの視点)
- 脱プラスチックを実現する環境配慮素材とは|バイオプラスチックと代替素材
- バイオプラスチックとは(バイオマス系と生分解性の総称)
- 素材別の特徴と用途(バイオPE・バイオPP・バイオPET・PLA・バイオPBS)
- 紙化という選択肢(紙ストロー・紙皿・耐水紙・耐油紙・パルプモールド)
- 海洋分解性素材 NEQAS OCEAN(射出成形対応の環境対応素材)
- 飲食業界が環境対応素材の導入で抱える課題と解決の視点
- 品質を保ちながら脱プラスチックを実現するバイオプラスチック容器「minima」
- 国際紙パルプ商事(KPP)が提供する環境対応ソリューション
- 食品容器の環境対応素材に関するよくある質問
- まとめ|飲食業界の脱プラスチックは「品質・コストを保てる素材選び」から
なぜ今、飲食業界で食品容器の脱プラスチックが求められるのか

飲食業界が食品容器の脱プラスチックを急ぐべき理由は、規制強化・廃棄量の大きさ・コスト高騰の3つです。食品容器包装を取り巻く情勢は大きく変化しており(農林水産省|食品容器包装におけるプラスチックをめぐる情勢)、対応の遅れは経営リスクに直結しかねません。
プラスチックに関する規制強化(プラ新法・特定12品目)
2022年4月、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法、通称プラ新法)」が施行されました(環境省|プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)。
同法は、①プラスチック使用製品の設計指針・認定制度、②特定プラスチック使用製品の使用の合理化、③自主回収・再資源化、④排出事業者の排出抑制、⑤市区町村の分別収集の5本柱で構成されています。
中でも影響が大きいのが、フォーク・スプーン・ストローなど特定プラスチック使用製品12品目の使用合理化です。
年間5トン以上を提供する事業者には削減の取り組みが求められます(環境省|特定プラスチック使用製品の使用の合理化)。
2020年7月のレジ袋有料化も、この規制強化の流れに位置付けられます。
海外でも、EUの包装・包装廃棄物規則(PPWR)が2025年2月に発効し、2030年までに全包装をリサイクル可能とすることなどが求められます(農林水産省|輸出先国における容器・包装に関する規制)。
輸出を見据える企業にとって、環境対応は避けて通れないテーマです。
容器包装がプラスチック消費に占める割合と削減インパクト
環境省によると、家庭から出るごみのうち容積比で約6割を容器包装廃棄物が占めています(環境省|容器包装リサイクル法)。
一般系廃プラスチックの約8割が容器・包装類というデータもあり(農林水産省|食品容器包装をめぐる情勢(タスクフォース資料))、食品容器はプラスチック消費の大部分を占める領域です。
つまり食品容器の素材見直しは、削減インパクトが最も大きい脱プラ施策の1つだといえます。
中東情勢によるナフサ高騰と食品容器・トレーの値上げ(2026年)
2026年、米国・イスラエルによるイラン攻撃を背景とした中東情勢の悪化で、プラスチックの基礎原料であるナフサの供給が混乱し高騰しました。
食品容器大手は一斉値上げに踏み切り、食品トレー・容器・包装フィルムは約3割値上げされ、6月出荷分からはトレーも対象です(日本食糧新聞|食品容器大手一斉値上げ 中東情勢で原料急騰 6月出荷分から)。
原料調達の混乱はプラスチック製品の供給そのものに波及し、必要な容器を確保できないリスクも顕在化しています。
帝国データバンクの調査でも、96.6%の企業が中東情勢によるマイナス影響があると回答しました(帝国データバンク|中東情勢による原油価格高騰・供給不安の影響アンケート)。
価格と供給の安定の面でも、いまが素材転換の好機といえるでしょう。
飲食業界で進む環境対応の取り組み事例

規制対応にとどまらず、環境対応を企業価値の向上につなげる動きが飲食・食品業界で広がっています。
国も容器包装に関する取組事例集を公表しています(環境省・農林水産省|容器包装のプラスチック資源循環等に資する取組事例集)。
サステナブルな容器・包装への転換は、業界標準になりつつあるのです。
マクドナルドの環境対応(責任ある調達・容器の紙化)
日本マクドナルドは「責任ある調達」の方針のもと、2025年までにプラスチック製ストローを全廃する目標を掲げ、紙ストローや木製カトラリーへの転換、容器の紙化を段階的に進めてきました(日本マクドナルド|責任ある調達)。
スターバックスコーヒージャパンの使い捨てプラ削減
スターバックス コーヒー ジャパンは、フラペチーノ®をFSC®認証紙ストローで提供するなど、使い捨てプラスチックの削減を数値で示しながら進めています。
紙ストローへの切り替えで、年間約2億本分のプラスチックストローが削減される見込みです(スターバックスコーヒージャパン|サステナビリティ活動)。
すかいらーくグループ「ガスト」のカトラリー・レジ袋の脱プラスチック
すかいらーくグループは、使い捨てプラスチックの石油由来プラスチック比率ゼロを目標に掲げています。「ガスト」などではカトラリー(フォーク)の木製化やレジ袋の有料化・素材転換を実施し、使用量を数値で管理しながら削減を進めてきました(すかいらーくグループ|カトラリー(フォーク)・レジ袋有料化)。
日本ハムの包装用プラスチック削減(食品メーカーの視点)
食品メーカーでも素材転換は進んでいます。
日本ハムは包装用プラスチックの削減を掲げ、パッケージの薄肉化や環境配慮素材への切り替えに取り組んでいます(日本ハム|包装用プラスチック削減に向けた取り組み)。
脱プラスチックを実現する環境配慮素材とは|バイオプラスチックと代替素材

脱プラ・減プラを実現する素材は、大きくバイオプラスチック・紙化・海洋分解性素材の3系統に整理できます。
バイオプラスチックとは(バイオマス系と生分解性の総称)
バイオプラスチックとは、植物など再生可能資源を原料とするバイオマスプラスチックと、微生物の働きで水とCO2に分解される生分解性プラスチックの総称です。
国も2019年のプラスチック資源循環戦略で「3R+Renewable」を基本原則に掲げ、素材段階からの転換を後押ししています(経済産業省|カーボンニュートラルで環境にやさしいプラスチックを目指して)。
リデュースやリサイクルに加え、素材そのものを再生可能なものへ置き換える視点が、容器選びの前提になります。
素材別の特徴と用途(バイオPE・バイオPP・バイオPET・PLA・バイオPBS)
バイオマス系の代表は、レジ袋や食品容器包装に使われるバイオPE、包装フィルム・食品容器向けのバイオPP、飲料用ボトル・食品用トレー向けのバイオPETです。
既存素材に近い感覚で使え、置き換えのハードルが低い点が特徴です。
PLA(ポリ乳酸)は植物由来の生分解性素材で、食品用トレーなどに使われます。
原料の植物が成長過程でCO2を吸収するため、カーボンニュートラルに貢献できる素材として注目されています。
バイオPBSは皿やコップへの活用が期待されますが、実証段階の用途もあるため、実績を見極めて選定しましょう。
紙化という選択肢(紙ストロー・紙皿・耐水紙・耐油紙・パルプモールド)
紙化も有力な手段です。テイクアウト飲料向けの紙ストロー、アウトドア需要のある紙皿、冷蔵・冷凍食品パッケージ向けの耐水紙、食品包装紙・敷き紙向けの耐油紙が代表例です。
卵パックやフルーツトレイ、緩衝材に使われるパルプモールドも置き換えに有効です。
100%紙素材の製品は使用後に古紙として再原料化でき、クローズドリサイクルにつながる点も紙化ならではの魅力です。
紙化を含む容器包装の転換事例は、農林水産省の事例集でも多数紹介されています(農林水産省|プラスチック資源循環に資する食品容器包装事例集)。
海洋分解性素材 NEQAS OCEAN(射出成形対応の環境対応素材)
海洋分解性素材のNEQAS OCEANは、酢酸セルロース(植物由来の樹脂)を主原料とする非食用の環境対応素材で、土壌中でも海洋中でも生分解し、自然界に流出した際の環境負荷を抑えられます。
最大の特徴は、石油由来のPP・PEと同等の機械物性を備え、射出成形に対応する点です。
透明度・加工性にも優れて代替製品の幅が広く、後述する「設備・運用を変えない素材転換」の鍵となる選択肢です。
飲食業界が環境対応素材の導入で抱える課題と解決の視点

環境配慮素材の導入でつまずきやすいのが、コストと使用感の2つの壁です。
マイ容器の持参などリユースは、衛生管理や事故時の責任の面で飲食業態には現実的とはいえず、素材転換が現実解となります。
本章では導入時の課題と判断の視点を整理します。
コスト面の課題と考え方
環境配慮素材は、従来の石油由来プラスチックより単価が高くなりやすいのが実情です。
ただし中東情勢による約3割の値上げで、従来品との価格差は縮小しつつあります。
判断の際は容器単価だけでなく、規制対応・ブランド価値向上・調達リスク低減まで含めた総合的な視点が重要です。
主力商品からの段階的な切り替えや、国・自治体の補助制度の活用も検討しましょう。
使用感・耐久性・機能性の課題
耐熱性・耐水性・耐久性など機能面の不安も、導入をためらわせる要因です。
しかし、ホット飲料には耐熱性のあるフタや紙カップを、油分の多い食品には耐油紙を、と用途別に素材を選び分ければ解決できるケースがほとんどです。
一方で、実証実験段階の素材をいきなり主力用途に採用するのは避け、実績のある素材・グレードから始めるのが堅実といえます。
既存の製造・運用を変えずに導入できるか(ドロップイン代替の視点)
もう1つの視点が、既存の製造・運用を変えずに導入できるかです。
現在の成形機やラインをそのまま使える素材なら、大きな設備投資なしで切り替えられます。
こうした置き換えは「ドロップイン代替」と呼ばれ、現実的な判断基準になります。
前章のNEQAS OCEANのように石油由来PP・PEと同等の物性を持つ素材や、多様な成形方式に対応するPLA系素材が候補です。
ここまでの課題を品質・コストの両面でクリアできる選択肢を、次章で紹介します。
品質を保ちながら脱プラスチックを実現するバイオプラスチック容器「minima」

ここまでの課題に応える具体的な選択肢が、バイオプラスチック容器「minima」です。コスト・使用感・既存運用の3つの壁に応える特徴とラインナップを紹介します。
minimaの特徴(土壌生分解性・自社一貫製造によるCO2削減・成形汎用性)
minimaを手がけるMinima社は、アジア最大級の土壌生分解可能な製品・樹脂メーカーです。
コンパウンド(原料配合)から樹脂製造、最終製品まで自社一貫製造とすることで製造時のCO2排出を最大限低減しており、この一貫体制はコスト課題への回答にもなります。
機能面では、代表グレードGP300が比重1.45・MFR(メルトフローレイト)8・引張強度411.0kgf/cm²・熱変形温度95.8℃の物性を備え、ホット用途に使える耐熱性を確保しています。
AS4736(豪州コンポスト認証)・BPI・TUV OK compostなどの国際認証を取得し、11のSDGsに貢献します。
成形面では射出・押出・真空(シート)・インフレーション・ブロー成形に対応し、ドロップイン代替の条件を満たします。
既存設備を活かしたまま、品質を保って切り替えられる素材です。
minimaの製品ラインナップ(飲食業界で使える容器・カトラリー)
minimaの製品群は、飲食業界で使う容器・カトラリーを幅広くカバーします。
レジ袋や配達用袋などの各タイプ袋、PLAコップ、ストロー&フタ、紙コップ、スターラー&ホットコップ用フタ、PLA容器&レンジ用ボックス、各タイプ容器、カトラリーをそろえた食器セット、生分解性ボトルなどのその他製品まで、9カテゴリで展開されています。
サイズや形状のバリエーションを含む全ラインナップの詳細は、以下の資料ダウンロードからご確認いただけます。
国際紙パルプ商事(KPP)が提供する環境対応ソリューション

素材単体の導入にとどまらず、調達から回収までを見据えた環境対応を進めたい企業には、国際紙パルプ商事(KPP)のソリューションが役立ちます。
素材提案から製品提供までの一貫支援
KPPは、紙製品・紙機能材からNEQAS OCEAN・minimaPLAなどのバイオプラスチックまで幅広く扱う専門商社です。
豊富な取扱製品と実績をもとに、自社に合う素材選定を伴走します。
まずは資料ダウンロード・サンプルキットから
「何から始めればよいかわからない」という方には、資料のダウンロードやサンプルキットの活用がおすすめです。
機能性素材・製品・再資源化の仕組みをまとめた資料で全体像をつかみ、気になる素材はサンプルで使用感を確かめながら、自社に合う脱プラの進め方を固めていきましょう。
食品容器の環境対応素材に関するよくある質問
Q1. バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの違いは?
バイオマスプラスチックは植物など再生可能資源を原料とする素材、生分解性プラスチックは微生物の働きで水とCO2に分解される素材です。
両者を総称してバイオプラスチックと呼びます。
Q2. 環境配慮素材はコストがどれくらい上がる?
素材や品目により異なりますが、従来品より単価は高くなる傾向があります。
ただし石油由来プラスチックの値上げで価格差は縮小傾向にあり、段階導入や補助制度で負担を抑えられます。
Q3. 既存の製造設備を変えずに導入できる?
可能です。
石油由来PP・PEと同等物性の素材や、多様な成形方式に対応する素材を選べば、既存ラインを活かしたドロップイン代替ができます。
Q4. 飲食店の食品容器に使える環境配慮素材は?
バイオPE・バイオPP・バイオPET・PLAなどのバイオプラスチック、耐水紙・耐油紙・パルプモールドなどの紙素材、海洋分解性素材が代表例です。
用途と必要な機能で選定しましょう。
まとめ|飲食業界の脱プラスチックは「品質・コストを保てる素材選び」から
飲食業界の脱プラスチックは、品質・コストを保てる素材選びから始められます。
既存の成形設備をそのまま使えるバイオプラスチックや、生産時のカーボンニュートラルが期待できる紙化など、手段は1つではありません。
2030年までに2020年比50%削減、2050年までにゼロという目標への第一歩は、自社の容器1品目の見直しからでも踏み出せます。
KPPは、minimaPLAをはじめとする環境対応素材のご提案から、製品提供・資源循環の仕組みづくりまでを支援しています。
素材選びに迷ったら、まずは資料から検討を始めてみてはいかがでしょうか。
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