バイオマス度で比較!環境対応樹脂の選び方と認証マークの基礎知識

環境配慮型素材の採用は企業活動の必須要件ですが、多大なコストを投じても、その価値が「エコ」といった抽象的な表現のままでは、市場や顧客に正しく認識されません。
競合との差別化も困難になっています。
実効性のある環境対策も、客観的な指標で示せなければ訴求力を欠き、単なるイメージ先行のアピールは「グリーンウォッシュ」と誤解されるリスクを伴います。
「環境貢献度」を定量的に提示できなければ、信頼性失墜やビジネス機会の損失につながりかねません。
この課題に対し、現在重要視されているのが「バイオマス度」です。
これは、製品中の生物由来原料の含有率を定量的に示す指標です。
環境性能という不可視の価値を数値化し、客観的なファクトとして提示することで、製品の信頼性を高め、明確な競争優位性を築くことが可能となります。
本記事では、抽象化しがちな環境価値を可視化する「バイオマス度」の定義、計算方法、バイオマス度が高い素材などを体系的に解説します。
ブランド価値向上と販路拡大を目指す担当者様は、ぜひご一読ください。
バイオマス度の定義と環境負荷低減への貢献
環境配慮型素材への関心が高まる中、その製品がどれだけ環境に貢献しているかを測る指標として、バイオマス度が重要視されています。
バイオマス度とは、製品全体(または特定の部品)の重量に対して、生物由来の資源(バイオマス)がどれだけの割合で含まれているかを示したものです。
この数値が高ければ高いほど、石油などの枯渇性資源の使用削減に貢献していることになり、持続可能な社会形成に寄与する素材であると判断されます。
なぜバイオマス度が重要なのでしょうか。
それは「カーボンニュートラル」の考え方に基づいています。
植物由来の素材は、焼却処分した際に二酸化炭素(CO2)を排出しますが、その植物は成長過程で光合成によって大気中のCO2を吸収しています。
そのため、ライフサイクル全体で見れば大気中のCO2濃度を上昇させない(プラスマイナスゼロ)と考えられています。
したがって、製品に含まれるバイオマスの割合、つまりバイオマス度を高めることは、気候変動対策として極めて有効な手段となるのです。
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バイオマス度の計算方法と測定の仕組み

製品の環境性能を正しく評価するためには、正確なバイオマス度の算出が不可欠です。
一般的にバイオマス度は、以下の計算式で求められる「乾燥重量比」によって表されます。
バイオマス度(%) = (バイオマス原料の乾燥重量 ÷ 製品全体の乾燥重量) × 100
ここで重要なのは「乾燥重量」であるという点です。
水分を含んだ状態ではなく、完全に水分を除去した状態での重量比を計算することで、素材そのものの配合比率を正確に把握することができます。
また、科学的に厳密な測定を行う場合には、放射性炭素(C14)を用いた年代測定法が活用されることもあります。
石油などの化石資源は何億年も前のものであるためC14が含まれていませんが、現代の植物などのバイオマス資源には一定量のC14が含まれています。
この性質を利用し、加速器質量分析計(AMS)などを用いて製品中のC14濃度を測定することで、その製品にどれだけの割合でバイオマス炭素が含まれているか(バイオベース度)を精密に特定することが可能です。
これにより、複雑な配合の製品であっても、客観的かつ科学的な根拠を持ってバイオマス度を証明することができます。
日本有機資源協会(JORA)によるバイオマス度の認証制度
日本国内において、バイオマス度の信頼性を担保する最も代表的な認証制度が、一般社団法人日本有機資源協会(JORA)が運用する「バイオマスマーク」です。
このマークは、生物由来の資源(バイオマス)を活用し、品質および関連法規、基準、規格等に適合している環境商品にのみ表示が許可されます。
JORAの認定を受けるためには、バイオマス度が「10%以上」であることが最低条件となります。
認定された製品には、クローバーを模したマークとともに、その製品のバイオマス度を下限値で表示することができます。
例えば、バイオマス度が25%の製品であればマークの中に「20」、80%であれば「80」といった数字が記載され、消費者は一目でその製品の環境貢献度を認識することができます。
| マーク内の数字 | 実際のバイオマス度 | 認定の目安 |
|---|---|---|
| 10 | 10%以上 15%未満 | 一部に植物由来原料を使用 |
| 20 | 20%以上 25%未満 | 製品重量の20%以上がバイオマス資源 多くの企業が採用するボリュームゾーン |
| 80 | 80%以上 85%未満 | 高い環境性能を実現 |
| 100 | 100% | 全てが生物由来資源 |
企業がこの認証を取得することは、第三者機関によるお墨付きを得ることと同義であり、対外的な信頼性を大きく向上させます。
グリーン購入法への適合や、エシカル消費を志向する顧客へのアピールとしても、JORAのバイオマスマーク取得は有効な戦略となります。
バイオマス度別による環境性能の傾向比較

バイオマス度は高ければ高いほど良いとされがちですが、実際の製品開発においては、バイオマス度と素材の物性(強度、耐熱性、成形性など)のバランスを考慮する必要があります。
以下に、バイオマス度のレベルに応じた一般的な傾向と用途の比較をまとめました。
| バイオマス度 | 特徴 | 主な用途例 | 技術的難易度 |
|---|---|---|---|
| 10% ~ 25% | 既存の石油系プラスチックにバイオマス素材を一部配合したレベル。 強度の低下を抑えつつ、コストバランスが良い。 |
レジ袋、食品包装フィルム、日用品 | 低(導入しやすい) |
| 30% ~ 50% | 環境配慮製品としての訴求力が強まるレベル。 素材によっては成形条件の調整が必要になる場合がある。 |
化粧品容器、文具、自動車内装部品 | 中 |
| 80% ~ 100% | 石油資源をほぼ使用しない最高レベルの環境性能。 素材単価が高くなる傾向や、耐熱性・耐久性の確保に工夫が必要。 |
カトラリー、アパレル繊維、3Dプリンタ用フィラメント | 高(専門的知見が必要) |
例えば、レジ袋有料化の対象外となる基準の一つに「バイオマス素材の配合率が25%以上」というものがあります。
このように、法規制や制度上のボーダーラインをクリアするために必要なバイオマス度を把握し、コストと機能性のバランスを見極めながら素材を選定することが、企業にとっての最適解となります。
バイオマス度が高い注目素材の特徴と活用事例

バイオマス度を向上させるためには、当然ながら適切なバイオマス素材を選定し、製品に組み込む必要があります。
現在、技術開発によって多種多様なバイオマスプラスチックや環境素材が登場していますが、それぞれ原料や特性が大きく異なります。
ここでは、特に産業界で注目されており、高いバイオマス度を実現できる代表的な素材について解説します。
ポリ乳酸(PLA)の特徴とバイオマス度
ポリ乳酸(PLA)は、トウモロコシやサトウキビなどに含まれるデンプンを発酵させて得られる「乳酸」を重合して作られるプラスチックです。
植物由来であるため、バイオマス度は理論上「100%」を実現することが可能であり、最も代表的なバイオマスプラスチックの一つと言えます。
PLAの最大の特徴は、透明度が高く、硬質である点です。
また、一定の環境下(コンポストなど)で水と二酸化炭素に分解される「生分解性」も併せ持っています。
一方で、一般的な石油系プラスチックに比べて耐熱性や耐衝撃性が低いという弱点がありましたが、近年では添加剤の使用や結晶化技術の進歩により、これらの欠点が大幅に改善されています。
現在では、食品トレーや飲料カップだけでなく、耐久性が求められる電子機器の筐体や自動車部品への採用事例も増えてきています。
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天然のセルロースをベースにしているため、バイオマス度が非常に高く、自然界に豊富に存在する資源を活用できる点が大きなメリットです。
酢酸セルロースの特徴は、透明性が高く、肌触りが良いこと、そして吸湿・速乾性に優れていることです。
古くからメガネフレームや繊維製品に使用されてきましたが、近年ではその高い環境性能が再評価されています。
特に注目されているのが「海洋生分解性」への期待です。
特定の条件下で海洋中でも分解される性質を持つグレードも開発されており、海洋プラスチックごみ問題の解決策の一つとして、海洋流出のリスクがある製品や漁具などへの応用が進んでいます。
環境対応素材の加工も可能です

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サトウキビ由来ポリエチレンのメリット
サトウキビから砂糖を精製する際に残る廃糖蜜(モラセス)を発酵させてバイオエタノールを作り、そこからエチレンを生成して重合させたものが、サトウキビ由来のバイオポリエチレン(Bio-PE)です。
この素材の最大の利点は、石油由来のポリエチレンと全く同じ化学構造を持っている点にあります。
化学構造が同じであるため、既存のポリエチレン製造設備や成形機をそのまま使用することができ、新たな設備投資をする必要がありません。
これを「ドロップイン」素材と呼びます。
バイオマス度は非常に高く、90%以上を達成することも容易です。
また、サトウキビは成長過程でのCO₂吸収量が多いため、カーボンニュートラルへの貢献度が極めて高い素材です。
洗剤ボトルや買い物袋、産業用フィルムなど、私たちの身近な場所ですでに広く普及が始まっています。
竹素材の活用とバイオマスプラスチックへの応用
日本国内において、放置竹林による環境破壊が社会問題となる中、竹を有効活用したバイオマス素材が注目を集めています。
竹は成長が非常に早く、持続可能な資源供給が可能である一方、管理されずに放置されると里山を荒廃させる原因となります。
この厄介者であった竹を粉砕し、パウダー状や繊維状にして樹脂に混ぜ込むことで、プラスチックの使用量を減らし、バイオマス度を向上させる取り組みが進んでいます。
竹粉を配合した複合樹脂(バンブーコンポジット)は、独特の風合いや抗菌性を持つことがあり、食器やカトラリー、アメニティグッズなどに採用されています。
バイオマス度としては、樹脂への配合率によって変動しますが、50%を超える高配合の製品も開発されています。
地域の竹資源を活用することで、脱炭素だけでなく、地産地消や里山の保全といった社会貢献ストーリーを製品に付与できる点も、企業にとって大きな魅力となっています。
バイオマス度の向上と環境対応樹脂の導入ならSHIFT ONへ

本記事で詳述した通り、バイオマス度は製品の環境価値を裏付け、市場優位性を確立するための戦略的な指標となります。
しかし、その実現プロセスにおいては、素材の適合性、コスト、安定調達、さらには素材特性に合わせた高度な成形技術や品質管理ノウハウなど、多岐にわたる実務的な課題が発生します。
国際紙パルプ商事株式会社が運営するSHIFT ONは、これらの企業の課題解決に特化した包括的なソリューションを提供いたします。
当社は単なる素材サプライヤーではなく、環境対応素材の専門チームとして、お客様の製品用途、目標バイオマス度、予算に基づき、最適な環境対応樹脂(生分解性プラスチック、リサイクル樹脂など)を選定し、提案します。
環境対応樹脂への切り替えは、企業のブランド価値を向上させ、SDGs達成を具体的に推進する重要な経営戦略です。
バイオマス度向上、あるいは環境負荷低減素材の導入をご検討の際は、専門知識と実績を持つ SHIFT ON にぜひご相談ください。
サステナブルな環境対応樹脂素材と選び方を解説

脱プラ実現にバイオプラスチック
バイオプラスチックの種類や選び方、そしてKPPが提供するバイオプラスチック製品を紹介します...
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