紙化できる製品事例をご紹介 | プラスチック製品から紙製品へ

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個人・企業問わずに環境問題への関心が高まったことにより、プラスチックの代替製品の使用例が増えています。
なかでも自然界で生分解が可能であり、長年使用されてきた素材・紙に注目が集まっています。
今回は使用する素材をプラスチックから紙に変更する「紙化」の目的とメリットを、紙化対応した製品例、活用事例などからご説明します。

目次

なぜプラスチックを紙化するのか?

使用する素材をプラスチックから紙に変える「紙化」で実現できることとして、以下のようなことが挙げられます。

参照:環境省 プラスチック資源循環
バイオプラスチックのメリット

紙化の目的として、一度しか使用されない品の廃棄処理における負担を減らすというものがあります。
そのために微生物などの作用により生分解が可能な性質を有していること、化石燃料を使用していないことで焼却しても温室効果ガスの発生が抑えられることから、紙の使用がおこなわれています。

プラスチックは安価で機能性が高く、大量生産できることから多くの製品に使用されてきました。
2021年には約1,045万トンのプラスチック樹脂が生産され、約824万トンのプラスチックが廃棄されています。
有効利用されている廃棄物のうち、62%はサーマルリサイクル(焼却処理をおこなう際に発生するエネルギーを回収)です。
今後の課題として単純焼却・埋め立てにまわっている廃棄物をリサイクルとして有効利用する割合を増やすこと、マテリアルリサイクル(再生利用)率を増やすことが挙げられます。
現状、モノからモノに再利用をおこなうマテリアルリサイクルは21%です。これには分別の手間がかかること、リサイクルコストが大きいこと、品質が劣化することなどのデメリットが存在します。

参照:一般社団法人プラスチック循環利用協会
2022年12月掲載 2021年廃プラスチック総排出量は824万t、有効利用率は87% プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)を公表

一方、紙・板紙の2021年における生産量は約2393万トン、うち古紙回収量は約1846万トンであり約79%という高い回収率が保たれています。
ただ、ワンウェイでの使用により再び資源としては利用できない紙や機能を付随された機能紙が存在するため、回収には限界があります。
そのなかでも古紙利用率は1970年当初の34%から2021年には67%まで大きく成長しています。このことから、日本では使用済み紙・板紙の回収、リサイクルスキームは確立されているといえます。

参照:公益財団法人古紙再生促進センター 
数字で見る古紙再生
日本の紙リサイクル

高い耐久性、加工性を持つことからプラスチックが使用できる場面は多くあります。しかし回収から再利用までを考えると、シングルユース(1度しか使用しない、すぐ捨てる)製品を紙化することは合理的と言えます。

参照:日本製紙連合会 製紙産業の現状
紙・板紙

参照:環境省 
印刷用紙に係る古紙の需給動向

紙化の背景にある3つの環境問題

環境問題は大きな3つの軸に分けられます。
地球温暖化・海洋プラスチックによる汚染・限りある資源の枯渇です。

地球温暖化

温室効果ガスは太陽から地球に降り注ぐ光によって暖められた熱を吸収する性質をもっているため、地球の平均温度は約15℃と、生物が生息できる温度を保っています。
しかし近年では産業活動の活発化などにより温室効果ガスが大量に排出され、大気中の濃度が高まり、熱の吸収が増加しています。吸収の増加に伴い地上の温度が上昇する地球温暖化に繋がっています。

参照:環境省 【平成9年版環境白書】
第1節 2 地球温暖化のメカニズム

参照:環境省 全国地球温暖化防止活動推進センター
温暖化とは?

気温の上昇は様々な変動をもたらします。
氷河の融解による海面水位の上昇、陸および海の生態系への影響、生物全体における健康への影響が考えられます。
温室効果ガスが引き起こす事象についての詳細はこちらの記事をご覧ください。

温室効果ガスが引き起こす事象の詳細はこちら
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今回はなぜ脱炭素が重要で、どんなことに取り組めばいいのかを解説していきます。 ...

海洋へ流出したプラスチックごみ

適切な廃棄処分がおこなわれず、環境内に流出したプラスチックはやがて海に流れ着き、摩擦などで微細なマイクロプラスチックへと変化します。
現時点における世界の海に漂う廃棄プラスチックの量は約1億5,000万トンとされており、さらに年間800万トンが新たに流出していると考えられています。

参照:WWFジャパン
海洋プラスチック問題について

流出したプラスチックやマイクロプラスチックが与える影響についてはこちらの記事をご覧ください。

マイクロプラスチックが与える影響を紐解く
マイクロプラスチックって何?
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日本近辺の海に漂流しているごみ、北極や南極までも漂着しているごみの多くがプラスチック製であると言われています。...

限りある資源の枯渇

多くのプラスチックは、石油を生成して得られるナフサという油を原料にして作られています。
世界の石油確認埋蔵量は、2020年末時点で1兆7,324億バレルであり、これを2020年の石油生産量で除した可採年数は53.5年となりました。
可採埋蔵量は地中の探査により増加する可能性があるため、数値は一定ではありませんが、枯渇するときは必ず訪れます。
また、日本ではほとんど石油が取れないため、入手のほとんどを輸入に頼っています。石油の価格は世界情勢によって変動し、ここ数年は上昇傾向にあります。原料の値段があがれば、製品であるプラスチックの値段も上がっています。

参照:一般社団法人プラスチック循環利用協会 プラスチックのはてな
プラスチックの原料「ナフサ」ってなに?わかりやすく解説します!

参照:経済産業省資源エネルギー庁 令和3年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2022)
一次エネルギーの動向

参照:経済産業省資源エネルギー庁 
カーボンニュートラルで環境にやさしいプラスチックを目指して

紙化する3つのメリット

紙化することで得られるメリットは以下の3つです。

紙の原材料は木材であり、パルプの生成から抄紙加工がおこなわれます。
生産過程ではプラスチックと比べ、消費するエネルギーが少ないことが挙げられます。

さらに木は成長過程でCO2を吸収すること、焼却時に発生するCO2が少ないこと、万が一廃棄されずとも自然環境下で生分解されることから環境負担が少ない素材です。さらに古紙となってリサイクルが可能です。

さらなるリサイクルの仕組みとして、クローズドリサイクルが挙げられます。
弊社では実績として、段ボールの原紙・製品供給(動脈)と古紙回収(静脈)を一元管理し、回収した古紙を原料化し、再度製品化した段ボールをお客様ご利用いただく取り組みを実施しています。
このシステムにより、自社内での資源循環のリサイクルループの実現、使用から回収までの見える化が可能です。

クローズドリサイクルについての詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

クローズドリサイクルについての詳細はこちら
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紙化するデメリット

すべての製品が紙化することに向いているわけではありません。
密封性の高さや耐熱性の高さを求められる製品には不向きであること、著しく汚れのある紙はリサイクルができません。

紙化においてのデメリットや、紙化したことで得られることについての詳細記事はこちらをご覧ください。

紙化とはなにか、詳細な事例はこちら
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紙化対応できる製品例

何層にも紙を重ねたり、圧縮して密度を高めたりすることで耐久性や耐水性を強化した製品が存在します。
紙化対応できる製品例を、以下の3つに分けてご紹介します。

配送・梱包資材

配送・梱包資材では、以下での紙化対応が可能です。

一般的にガムテープといえば、クラフト紙や布・OPPなどの基材にゴム・樹脂系の粘着剤を塗布して製造されている粘着テープを思い浮かべる方が多いですが、本来ガムテープとは、クラフト紙の片面に水溶性の糊が塗布されている、剥離剤や合成樹脂系接着剤の使用のない、水で粘着性を生むテープのことを指します。
弊社で取り扱うリカテープは、段ボールに貼られていてもそのままリサイクルが可能であり、廃棄する際にはがす手間がかかりません。

リカテープについてはこちらの記事にて詳しくご紹介しています。

リカテープとはなにか、詳細な説明はこちら
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パルプモールドは古紙を中心とした植物繊維を水で溶かし、成形する体紙成形品で、緩衝材などに使用されています。
製造の過程で糊や接着材を使用せず、さまざまな古紙を原料とできるため、自然環境への負担が少なく、使用後の焼却時にも有害物質が発生しません。
製品の特長としてクッション性があり、成形自由度が高いことから、卵パックや果実トレーのほかにも、家電や工業用品の緩衝材にも使用されています。

ほかにも紙緩衝材としてRanpakが挙げられます。
Ranpakでの課題解決実例もご紹介しています。詳細はこちらの記事をご覧ください。

Ranpakでの課題解決事例はこちら
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製品の梱包に紙製うち袋の使用を推奨いたします。
フェイスカバーにも使用されている素材であることから通気性がよく、サイズ展開も多様です。

石油由来素材から紙素材へ切り替えるための資料もDLできる記事はこちらよりご覧ください。

石油由来素材から紙素材への詳細資料はこちら
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製品の包装パッケージ

製品の包装パッケージでは、以下での紙化対応が可能です。

プラスチック使用量削減につながることはもちろん、印刷が容易なこと、変形が簡単なこと、軽さがあることが特徴です。

ダイレクトメールとして届く広告の封筒を紙製に変更した事例があります。
フルカラーや写真などの印刷適正があるため、プラスチック製の封筒に比べ視認性が向上し、訴求力のある広告が可能となります。

広告効果向上と環境対応を両立した取り組み例についてはこちらの記事をご覧ください。

広告効果向上と環境対応の両立事例はこちら
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食品容器包装

食品に直接触れる容器・包装や資材の分野では、以下での紙化対応が可能です。

特殊な加工を施すことで、耐水・耐油性を有し、食品に包装紙の臭い移りがないことから、直接食品に触れる容器一次包装にも使用されています。
使い捨てのイメージがあった紙コップは、資源として回収することで再利用が可能となります。
弊社では2022年8月から9月にかけてサッカーJ2リーグ所属のザスパクサツと連帯し、正田醬油スタジアムにおいて使用済み紙コップを回収し、これらを原料としたトイレットペーパーを製造・再利用するという取り組みを実施いたしました。

まとめ

紙化の目的は、使用した資材を一回きりで終わらせないこと、繰り返し使用できない場合でも環境負荷の少ない素材を用いることにあります。
プラスチックと紙、それぞれの特性にあった素材選びをおこなうことで限りある資源の枯渇を避けることが可能です。
当社では用途に合った素材選びをおこない、環境対応と機能性を両立していくためのご提案をさせていただきます。

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